登場人物たちの送る1日1日の濃厚なこと。物語の肝に到達して更に激しさを増してきた。特に長老ゾシマの過去の話には引き込まれた。そして真理の考え方や社会の責任について、これがあるべき姿だと頷く部分が非常に多い。正しい人なのだと思った。
信仰の入り口はもしかしたら、心の弱さからくるかもしれないが、信仰を続けるには心の強さが必要なのだと思った。まったく簡単なことではない。
ゾシマを皮切りにアリョーシャ、グルーシェンカ、ミーチャと、「もう一つの内面」を読者は知るに至り、また一歩物語の芯に近づく。どんな人もそれぞれの正義を心に持ち、周りからどう見えていようと自分は自分のことを解っている。それだけに自分だけは誤魔化せないという苦悩を強く感じる。