面白かった~! サブタイトルをつけるなら「呪術師のおい」がぴったりくるような設定。呪術を操るアヤシイ三十路男とその甥っ子(高校生)が活躍するのだから。
日本に昔から伝わる降霊術や呪術師によるバトルが面白く、これは「水の精霊」と同じ世界。でも空気的にはもう少し爽やかで重苦しくない。主人公の性格とか筋運びがエンタメっぽくなって読みやすくなった。
もちろん読みやすいだけではなく、内容は恐ろしく充実しているし、大小さまざまな伏線が蜘蛛の巣のように張り巡らせてある。この物語の中心となるのが磐笛。大きな勾玉型の笛、あるいは天の磐笛と呼ばれるものが縄文時代から存在していて、それは祭祀に使われ、実際に降霊術に使われたのではないかという仮説のもとに話がすすむ。(現代でも石笛=穴の空いた天然石を吹き鳴らすと神様が降りると信じている人たちが実際にいる)
考古学者を父に持つ主人公が、父が追いきれなかった磐笛の謎に迫ろうとするも、そこに横槍が入って……という展開。個人的に「勾玉=楽器」説には非常に惹かれるものがあるし、笛という楽器が大好きなのね。
あと、音と言葉の関係にも踏み込んでいるところが非常に興味深い。恐らく物語が進めば、根源的な言葉、音楽と言語が未分化である世界にも迫るのではないかという気がする。
4冊構成の中の1冊めなので、まだまだ物語は序盤。続きは首を長くして待ちます。