女の一生 一部・キクの場合 [Kindle]

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  • 長崎に大浦天主堂が作られ、プチジャンによる信徒発見があった時代に起こった凄惨な事件「浦上四番崩れ」をテーマにした物語だ。
    甘えん坊のミツと、お転婆なキク。対照的な性格のいとこ同士のふたりは長崎に奉公に出る。
    キクは子供の頃に木から落ちそうになったところを助けてくれた青年・清吉と再会して恋に落ちる。
    しかし清吉はご法度の切支丹であり、そのためにキクは人生を大きく歪ませることになる。
    隠れキリシタン、弾圧、ということは知っていてもこの「四番崩れ」がこれほどすさまじいものだったということ、また明治の近代化に大きく貢献した井上馨や大久保利通などといった名だたる人たちが宗教、キリシタンに対して無理解であったこと、この浦上四番崩れが日本の近代化に大きく影響したことなどは初めて知った。
    作中で、ある男が「神が存在しないならばお前たちのしていることは無意味だ」といった趣旨の言葉を吐くが、それは「沈黙」でも繰り返し描かれた神は存在するのか、人はなんのために信じるのかという宗教の根源についての根本からの問いかけだと思う。

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著者プロフィール

遠藤 周作(えんどう しゅうさく)
1923年3月27日 - 1996年9月29日
東京生まれ。父親の仕事で、幼少時代を満洲で過ごす。帰国後にカトリックの洗礼を受けた。1941年上智大学予科に入学したが、中退。慶應義塾大学文学部仏文科入学・卒業後、カトリック文学を学ぶためにフランスへの留学。帰国後の1954年『アデンまで』を発表し小説デビュー。1955年『白い人』で芥川賞を受賞し「第三の新人」として脚光を浴びた。
1958年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞及び第12回毎日出版文化賞、1966年『沈黙』で第2回谷崎潤一郎賞、1979年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞評論・伝記賞、1980年『侍』で第33回野間文芸賞などそれぞれ受賞。1995年に文化勲章を受章している。
上記受賞作のほか、1993年刊行『深い河』もキリスト教と日本人をテーマにした代表作と見なされており、映画化された。60年代以降「狐狸庵山人」(こりあんさんじん)を名乗り、様々なエッセイを記した。数々の作品が欧米で翻訳され高い評価を受けており、存命中ノーベル文学賞候補だったこともよく知られている。

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