海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 (flowers コミックス) [Kindle]

著者 :
  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  •  父親が不倫の挙げ句に家を出て、母親も別の男性と暮らすために家を出て行き十数年。鎌倉の祖母の家で暮らす三姉妹に、父の訃報が届いた。そして、山形で病死した父が残した異母妹・すずは、鎌倉で三姉妹と同居することに。
     仕事に、恋に、部活に……様々な人間関係と鎌倉の四季が織りなす、四姉妹たちの成長のドラマ。


     かなり前に途中まで読んだのを、改めて通読。
     きつすぎず緩すぎずの家族の絆や人間関係と、鎌倉の魅力が一杯の作品。吉田秋生作品は「吉祥天女」と「BANANA FISH」くらいしか読んだことが無かったので、ずいぶんとイメージが違った。
     いかにも“真面目な日本人”を体現したような長女と四女がメインの役どころだが、大酒飲みで恋の狩人な次女や、マイペースなお笑い担当の三女にほっとさせられた。
     脇役の親類縁者たち、鎌倉の人々、四女の同級生などの人物造形も良い。
     実の母親や親戚との軋轢や、四女のさりげない意識の変化など、なかなか読ませる人間ドラマだった。

     ただちょっと気になったのが、姉妹達の生活が鎌倉を出ないで閉じているように見えること。人間関係すら、ほぼ同じメンバーだけで完結している。
     もちろん、旅行に行ったり法事で山形へ行ったりはしている。中学生である四女や友人達の世界がそう広くないのもわかる。
     しかし上の3人は……収入が低い訳でもなく、乗り換えが多少必要とはいえ交通の便も悪くないのに、鎌倉からまず離れないというのが驚きでしかない。
     地元を離れたくて仕方がない私には、その辺りの感覚は全く理解出来なかった……。

  • 映画化されていたからかタイトルは聞いたことあったけど
    読んだことなかった。
    吉田秋生だったんだ…
    吉田秋生といえばバナナフィッシュだが、
    作者名とか、タイトルとかから連想された物より
    もっと奥深くて引き込まれる作品だった。

    主役の4姉妹(内1人は異母妹)の複雑な家庭環境もそうだけれど、
    一番下の中学生の妹の成長を中心に鎌倉の街の人たちとの繋がりを通して
    生きていくって何か、深く考えさせられる。
    それはきっと、ただ人と関わって生活していくことだけでなく
    時折現れる「死」があるからかもしれない。

    全巻ほぼ一気読みしたけれど、引き込まれるというか、
    物語の中にではなく、自分の思考…自分の中の死の記憶が溢れ出て
    涙が止まらなかった。
    こんな漫画は初めてかもしれない。

  • 昨年の漫画大賞受賞作。さらに「グレーテルのかまど」でも梅酒のエピソードが取り上げられていて、読みたいな~と思っていました。

    お話は、両親の離婚により長く離れていた父のお葬式から始まります。

    しっかり者の看護師のさち姉、
    酒豪の信金OL佳乃、
    スポーツ用品店店員のアフロ千佳の3人姉妹は、父と父の再婚相手の間にできた妹、すずに出会います。

    お葬式でいろいろあった後、すずは3人姉妹と鎌倉で暮らすことに。

    読んでいてつい興味がいくのは、すずちゃんはサッカー少女。
    サッカーチームのメンバーとの交流なども今後出てきそうなので楽しみです。

    この作品も「櫻の園」の時のような静かに心にしみる感じがいいですね。
    また、鎌倉の風景も魅力のひとつ。鎌倉観光ガイドにできそうなマンガかもしれません。

    そして「グレーテルのかまど」の梅酒のエピソードはこの巻に載ってました。すずちゃん飲みすぎ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「すずちゃん飲みすぎ。 」
      そうかな?
      「すずちゃん飲みすぎ。 」
      そうかな?
      2014/02/01
    • にゃんこさん
      まぁ中学生ですから(^^)
      まぁ中学生ですから(^^)
      2014/02/02
  • 家族の機微を描いているけど、ここが、と感想を言葉にしづらい。それよりそのまま読んでいく方がすんなり心にくる。
    作者がここ一番主張したい時、アップで字が一段と大きいので受け取り手としてわかり易い。
    鎌倉の環境がしっとりとした世界をだしてる。背景世界を描くのが本当に上手い。

    [蝉時雨のやむ時]
    長女の幸姉さん、無茶苦茶しっかりしてる。
    通夜葬式の間にすずちゃんの置かれた状況を汲み取れて手を伸ばせるとは。他人の観察に敏く頭が良くて回転が速い。尤も、”今の奥さん”が自分達を捨てた母親に性格が似てるから嫌悪感あったんだろな。手の中にあるものすら守れない弱さ。すずちゃんに自分を重ねて、近い将来、すずちゃんが重荷にされてしまう事も見えてしまったんだろう。
    都合良く使ってそのうち重荷にして、なのに”家族”を平気で使う、ありふれた家庭の中にそんな残酷さが普通にある。
    すずはいつかの幸の姿、だから守ろうと思ったのかも。
    すずちゃんの慟哭の時、蝉の声は消えていた。その前後には書き込まれているミンミンゼミの声。
    音の出ない漫画だけど、ここの音の入れ替わりが印象的。

    [佐助の狐]
    佐助稲荷の狐
    藤井朋章との別れ

    ここでフルネーム出てくるので、ラヴァーズ・キスの藤井朋章と同一人物だとわかる。ここで示唆された藤井君の”抱えているなにか”はラヴァーズ・キスで描かれる。別作品で同一人物を別角度で描かれている。
    藤井君の物語的にはこの海街diary→ラヴァーズ・キスの順番だろうが、
    連載はラヴァーズ・キスは1995年~1996年、この”蝉時雨のやむ頃”は2006年~2007年で、ラヴァーズ・キスの方が10年も前の作品だから時系列は逆になってる?

    [二階堂の鬼]
    鎌倉宮の薪能での鬼の面
    「あの時おまえと接触しなかったら、発見が遅れて手遅れになっていたかもしれない」
    って慰めになってないな、というか、大人の側の見解だと思う。
    本人は、手遅れになっても最後まで足を失うことなく過ごしたかった、と思っていたかもしれない。あの時風太が接触しなければ病気が発見されることもなかったのに、と風太を恨んだかもしれない。「鬼になって 片っぱしから足をぶった切ってやりたいと思うだろう」と風太は想像してるが、これは健康な人間だからの思考かも。
    だから、しばらく風太が見舞いにいかなかったのは正解だったんだろう。どうしたって、多田君には一人でいる時間が必要だっただろうから。

  • 父の死を聞きかけつけた先には異母妹がいた。そんなところからはじまる海街diary。ラバヴァーズ・キスと地続きの物語でもある。鎌倉を舞台にした姉妹の物語。「子供であることを奪われた子供ほど。哀しいものはありません」長女の幸。看護師。父の葬式でついキレてしまうが、本当にその通りだと思う。「死んでゆく人と向きあうのはとてもエネルギーのいることなの。許容量が小さいからって、それを責めるのはやっぱり酷なのよ」看取る仕事だからこそ出てくる言葉ではあるが。幸を筆頭にしたこの姉妹が綴る物語はいかほどに。

  • 1-3巻。

    今、紙の漫画だと5巻まで発刊されていることを知った。読みたいなー。
    信金の描写がすごいリアルw
    おいしくお酒を飲めるようになりたい。

  • 15年前に家族を捨てて家を出て行った父親の訃報を聞き、次女の佳乃、三女の千佳が山形に行くところから物語が始まる。
    そこで出会った異母妹のすずは、長女の幸と少し似た雰囲気を持っていて……。やがて居場所を失ったすずの身を案じた幸は、すずに鎌倉に来て一緒に暮らさないかと提案する。
    鎌倉の海街に住む香田三姉妹と、異母妹・浅野すずの生活が始まる。

  • 大人も必ずしも完璧じゃない。子供も子供じゃない。

  • 9巻まで読了
    ありふれていそうな、それでいてちょっと波乱万丈な人々の生活をがっちり描いている。ストーリーが本当に説得力ある。主役三姉妹いずれもかわいいし、脇をかためる男たちも魅力的。
    鎌倉のご当地コミックとしても優秀? 鎌倉訪れたいと思った。

  • 9巻まで読みきった。ふだんあまり読まないようなマンガを読んだものだが、この1巻のすずが階段のところで思いを吐き出すシーンで引き込まれてしまったのかなと。

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著者プロフィール

同姓同名あり。

1. 吉田秋生 (よしだ あきみ)
1956年、東京都渋谷区生まれの女性漫画家。武蔵野美術大学卒業。1977年「ちょっと不思議な下宿人」でデビュー。1983年、「河よりも長くゆるやかに」及び「吉祥天女」で第29回小学館漫画賞を、2001年に「YASHA-夜叉-」で第47回小学館漫画賞をそれぞれ受賞。その他代表作に、「BANANA FISH」。
代表作のメディア化が多く、「吉祥天女」は2006年TVドラマ化、2007年に映画化された。「海街diary」は2015年に映画化されている。2018年には「BANANA FISH」がTVアニメ化された。

2.吉田 秋生(よしだ あきお)
1951年生まれのテレビドラマ演出家。学習院大学法学部卒業。

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