「空気」と「世間」 (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • この著者の人生相談がおもしろかったので、理論編ともいうべきこの本を読んでみたが、理論としてはちょっと弱いかなあという気がしたりしました。もちろん、空気と世間という枠組みをもって世界を見れば、それなりにすんなり腑に落ちることもあるとは思いますが、しかし、どうもそれだけで見てしまうと誤解してしまうことも多いんじゃないかなあと思ったりして。【2023年4月19日読了】

  • 日本社会をよく分析された一冊。排他的な世間。日本型雇用のあちこちで見られる風景だけど、我が職場の人事を見ててもよくわかる。理屈は全く通用しない。
    この「空間」を言語化されているのが面白い。

  •  アダムが知恵の林檎を食べた見たいな感覚を持った。いままでは、モヤモヤの曖昧だったものの実体を見てしまったような罪悪感。筆者の「世間原理主義者」は、頭の中でシナプスがバチバチ音を立てるほど大きなキーワードだった。林檎は甘いのか❓
     信仰のあるヒトは、自分の中に神という名の無意識の自己があって、困った時、迷った時、拠り所になる。信仰のない私は、自分の中には拠り所を持たず、外に求める。だから、世間体を気にしたり、承認欲求が高まったりする。 
     信仰のあるヒトは、みんな同じ神を見ていると思っていたが、ベースには無意識の自己があるので完全な中立ではなく、常に自分寄りの神である可能性が高い。教義の解釈についても同じと思われる。だから、信仰宗教に依らず、争いが起きてしまうのではないか。自分的には、腑に落ちる気がする。

  • 家族・親族で集まった時に感じていた漠然とした違和感の正体は「世間」や「空気」だとわかり、腑に落ちた。何となく「面倒だから話さなくていいや、寝てよう」と考え、家族や親族を軽視していたのは、今思えば精神衛生上正解だったのかもしれない笑
    この本のお陰で「世間」「空気」「社会」をより意識することが出来るようになったので、家族・親族関係においても、友人関係や仕事関係においても、よりストレスを分解しながら自身の行動を決められる気がする。

  • なかなか面白い本でした。世間が流動化し空気となり、空気では支えきれずに世間への原点回帰のような動きが出てきているというのは、なるほど、と思いました。2009年の本ですが、ますます指摘されている事象が進行していってるのではないかなと思います。それに対抗するには、偶然でたまたま生まれる出会いが大事なんじゃないかと思ったりしました。最近、ネットワークというのも空気みたいなもんになってしまうんじゃないか、と懸念していて積極的に水を差せるネットワークじゃないと意味ないなと思ったりしています。

  • 「空気」の存在に怯えている人は多い。なぜ「空気」は怖いのか? その正体を探っていくと見えてきたのが、崩れかけた「世間」の姿だった……。人気の脚本・演出家が、阿部謹也、山本七平といった先人の仕事を現代に投影させながら、自分の体験や発見を踏まえた会心作!
    「空気」と「世間」を知り、息苦しい現代日本を生きていくための方法を示します。

  • 自粛にて図書館利用できず。。。自衛と言われるようになってしまうと不特定多数の方が手にするレンタル産業利用は難しいな。。
    都内感染者は増えてしまっているし。。。 個人の選択と自由が問われそうだ。。

    勝手なイメージだが新書 という感じ。固くもなく、当時の事件や環境を例にして 様々な角度から考察している。
    大学時代、教授出版のお堅い本が題材だったけれど
    こういうのがあれば もっと授業がとっつきやすかったのになぁ。。
    漫画をテーマの教材にしてくれていた教授もいるけれど
    講義の面白さは題材よりも 教授の授業の進め方が大きくて シラバス読んで面白そう、となって体験授業でがっかりして 結局同教授の講義を全制覇したりして。

    コロナによる働き方 とか 自粛警察 とか 今回の騒動に対して、作者の新書を読んでみたい。
    今のこの動きをどんな見方しているのだろう。。


    以下メモメモ

    冒頭のお笑い、司会者のたとえ話がわかりやすかった。
    学生時代もクラスにムードメーカーがいるとイベント時や夏休み明けの先生の 楽しかった?という質問とか 些細な事に関しても楽であった。。。

    世間=自分に関係のある世界
    社会=自分に関係のない世界
    世間が流動化したもの=空気
    西欧の世間=宗教
    西欧の個人=宗教の神という絶対的な中で事故を確認しようという動きの中で生まれた
    日本も都市化と経済的・精神的なグローバル化と格差社会により班より個人・集団より個人の快適さを求めるようになり中途半端に世間が壊れる中、
    日本は宗教に頼れない→空気という言葉の乱発

    大学の卒論テーマ時に出会いたかった!!
    せめて阿部謹也氏と山本七平氏の著作を知っていたら…!!!
    何故日本トイレには音姫があるのか で、理由を村社会による日本人気質=西欧がまず個があってのプライバシーと捉えることに対し 日本はまず周囲があっての個という認識、よって社会という集団の中で とてもプライベートな行為をすることに羞恥心を抱く と結論つけたのだが

    明治10年にSociety・17年にIndividual 翻訳して初めて社会・個人という単語が生まれたとは。。。
    それ以前はその概念が無い という事実を学生時代知っていたら 西洋化との比較をして もっと違う結論に出来たかも。。。

    『孤独と不安のレッスン』

    『空気を読む力』放送作家田中大祐

    『世間とは何か』『学問と世間』『近代化と世間』阿部謹也
    =日本の個人は社会の中に生きる個人であって 西洋的な個人など日本には存在しない よって 独立した個人が構成する社会も日本にはない

    『人間を幸福にしない日本というシステムj』カレル・ヴァン・ウォルフレン
    =仕方がない=政治的な無力感を社会に広める

  • 9年前に書かれた本であるが、日本という国がよく分かる本である。「よく世間をお騒がせして申訳ありません。」と謝罪する光景を見るが、その理由がよく分かる。また、キリスト教を信仰する国(特にアメリカ)との対比、世間と社会について分析が面白い。若い人から高齢者まであらゆる人に読んでもらいたい本である。

  • 日本独特の「世間」と呼ばれる無言の圧力と、西洋的な「社会」の考え方の違い
    かつての共同体意識としての「世間」は時代の変化とともに変わってきているが、その代わりに「空気」という見えない同調意識が日本人を苦しめている。
    「世間」「社会」「空気」とはなんなのか。なぜ人はそれにとらわれるのか。その圧力から自分を取り戻すにはどうするのが良いか。
    後書きに「グループに所属するために何十通もメールを書かなくても良いのだ」とあった。2009年の刊行なので今なら延々と続くグループLINEに当たるだろうか。
    人は共同体に所属することで安心する。だがそれに依存しすぎないように適度に所属を分散させ、「世間」だけでなくシステマティックな「社会」的な関わりを多く持つことがこの息苦しい「空気」の中で生きていく一つの方法だという点は非常に納得できた。

  • 空気読め!に対して、かなりな違和感を感じてるというかそんなもん読むなよ、と思っているのであるが、前半でああそういうことなのかーとやや納得。空気の正体を読み解くために世間が登場するんだけど、これがまた日本人とはなにかみたいな話で大変面白かった。この概念を用いると、いろんなことに説明がつくからすごい。たしかに、「世間」って様つけて呼ぶくらいの存在なんだもんねえ。文体も平易で読みやすいし、最後のほうはとても切なるメッセージが語られて、それもまた印象に残る。

  • 分かりやすい話から入って、専門的な解説を経て、最終的に実行可能な行動提案に持っていく。
    とてもよい本でした。
    あとがきも納得。

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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