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- / ISBN・EAN: 4988104076687
感想・レビュー・書評
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靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。ある日、タカオは、ひとり缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていく。居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた。
あらすじより
作品中短歌
雷神の少し響みてさし曇り
雨も降らぬか君を留めむ
雷神の少し響みてさし曇り
降らずとも我は留らぬ妹し留めば
返歌 柿本人麿
雨の描写が美しい。
靴職人を目指すという設定はレアすぎるけれど、その足で歩くといったところか。
これは、この短歌から作品を作りたくなってしまったんじゃないかなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
心の隙間の形が呼応するように、ふっ…とお互いが居場所を占めてしまうことってある。
そんな時間を、細密な映像で瑞々しくも静かに描いた作品。
靴職人を目指している高校一年生の孝雄。雨の日の午前中は学校をサボって新宿御苑内の四阿で靴の構想を練ることを習慣としている。
彼は六月のある雨の日、その四阿に先客を見つける。
朝だというのにチョコレートをつまみにビールを飲む二十代と思しき女性。いかにも出勤前の社会人然といった感じの、きちんとして清楚な身なりとは対極的なその行動に、孝雄は目を奪われてしまう。そしてそんな彼女の足には、シンプルだけど綺麗な靴がはめられていた。
その日から始まった雨の日の邂逅は、それぞれに孤独を抱える二人の距離を近づけていくけど…。
その家庭環境ゆえか、15歳という年齢に反して妙に老成し、自分の世界を築きあげながら夢に邁進する少年・孝雄。
そして、仕事と恋愛双方の不調から、歩みを止めてしまっていた27歳の女性・雪野。
二人の対称性と調和性、そして補完性といった複数の要素から生まれた独自の関係性が、一つの道筋の中でまとめあげられ、たった46分の枠の中でもきちんと描かれています。
新海誠監督の代名詞ともいえる精密な作画がリアリティと暗喩性を添えていますが、あくまで添える程度で、淡い光彩の撮り入れ方の巧みさのお陰で泥臭くまではならずに綺麗に魅せてくれるので、さらりと観るのにいい作品ですね。
個人的には、雪野が読んでいた小説が、私が大好きな作家さんの大好きな作品だったのが、かなりのツボでした。これで星0.5くらいアップしたくなったくらいに。
実在のものを混ぜ込む新海戦略にまんまとハマったのです…。 -
靴職人を志す15歳の高校生タカオは、雨が降るといつも学校をさぼって公園で靴のスケッチに熱中していた。そんなある日、彼は27歳のユキノと出会い、雨の日だけの再会を繰り返しながらお互いに少しずつ打ち解けていく。タカオは心のよりどころを失ってしまったユキノのために、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作ろうと決心する。
「シネマトゥディ」より
雨が好きになるアニメ映画.
映像が本当に美しい.ほんとにアニメ?と目を疑うような画もあり、45分が一瞬に感じられた.
ただ、一途な心根がまぶしすぎて、遠い.ガラスの中の宝物みたいな感じ.
「君の名は」は、あまりにもヒットしていて見る気にならないので落ち着いてから見ることにして、こちらを先に見てみた. -
やばい、私これ好き。
新海作品の中で1番好きだ。
短いながらも、ギュッと詰まった作品。
水面の反射が美しい。
志しをしっかり持った高校生と、精神的に追い詰められてた先生。
雨を介してのこんな素敵な出会い。
新海誠さんはロマンチストだな~ -
相変わらず、新海監督の作品の作り込みの丁寧さを感じました。映像の緻密さと優しさ、先日の大雨で憎たらしかった雨が愛おしく感じました。流れる音楽もいいです。ラストに流れる秦さんの楽曲もいい、作詞作曲が大江千里さん。いいです。東京在住の頃、新宿御苑に行っておけばよかったと思いました。
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靴職人を目指す男子高校生と高校教師になってちょっとたったくらいの20代後半の女性の淡い恋の物語。雨の日に公園の四阿で出会うことがきっかけで、二人の関係がだんだん深くなっていきます。
雨の日にこんなステキな出会いがあったら、靴が濡れても嫌な気持ちにならないなっと思ってしまいます。好意を寄せる女性のために、その女性が前を向いて自分の脚で一歩を踏み出せるような靴を作ろうと思う男子高校生の純粋さが羨ましく思いました。こんなステキな恋があるのかなぁっと思っていると、秦基博さんの「Rain」が流れてくるので、このタイミングが絶妙です。
新海監督の作品は、映像がキレイ過ぎて、現実の映像なのか絵なのか分からなくなるのがすごいですね。 -
高校1年生のタカオ(声:入野自由)は靴職人を目指しており、アルバイトもする一方、こつこつと自分で靴を作っていた。
雨の朝は学校をさぼって日本庭園で靴のスケッチを描きデザインを考えている。
ある雨の日庭園で、チョコを食べながら一人缶ビールを飲む謎めいた女性と出会う。
女性は、ユキノ(声:花澤香菜)といった。その日から、約束はしていないものの雨の日の午前中に会うようになっていく二人。
ユキノが自分の居場所を見失っていることを知り、タカオは彼女が歩きたくなるような靴を作りたいと思う。
揺れ動く二人の心模様をよそに、梅雨はもうじき明けようとしていた……。
雨に濡れた公園の美しさとは裏腹な、不安定な母親を持ち靴職人を目指す高校生とミステリアスな女性との淡い恋そして一歩踏み出すためのモラトリアム。
「人間なんて、ちょっとおかしいところがあるでしょう」「私まだ大丈夫なのかな」
不器用な2人を応援したくなる短編アニメ映画です。 -
不安定な人が不安定な人と出会う話
黙ってても成長できる二人がたまたま出会ってお互いを心の拠り所に思いそうになるところで離れる。でも、それでも強く生きていく。私もあなたも。って感じですかね。私はそもそもこの監督の作風が合わないのもあるが、1時間にするには話が薄く、どの層にどんな形で見て欲しかったのかがはっきりしない作品。作りたいから作ったの典型的例 -
雨の日の午前中は決まって学校をさぼり、公園で靴職人になるという夢のため、靴のデザインをする少年タケオ。ある雨の日いつものように公園に向かうとそこには朝からビールを飲んでいる若い女性がいて…
冒頭すぐの雨が地面や水たまりに打ち付ける映像がとにかく美しく、実写の映像かと思いました。その美しさに心囚われ、そのままアニメの世界に吸い込まれていったような気がします。
それ以外の日常場面の映像ももちろん綺麗で、この映像美だけでも見る価値があるように思います。
ストーリーとしては少年と大人の女性、それぞれの成長、再生そして淡い恋というオーソドックスなものですが、雨や風景、登場人物たちの絵も非常に細かく描かれていて、
そうしたしっかりした絵の中での、二人の淡い恋というものに余計に思いを馳せてしまったように思います。
ラストの二人のぶつかり合い、雨から晴れ間がのぞきエンディングで秦基博さんの曲が流れてきたとき、
日本に生まれて、日本のアニメが好きで、そしてこの映画を見ることができて良かったな、と心から思いました。 -
僕も先生のことを好きになったけど、こんなイケメンな15歳ではなかった。靴職人どころか、氣志團聴いてた。