日の丸電子書籍はなぜ敗れたか -21st century eBook Story- 電子書籍の世紀 [Kindle]
- hidebook (2013年3月17日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (254ページ)
感想・レビュー・書評
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★最後まで読んでみて
・有名人じゃないかぎり、著者紹介くらい入れようよ(自分で)。
・立ち位置が終盤までよく分からなかった。結局「ぼくちん取次にいたんだぜー→eBookJapanに飛び込んだ→メンヘラ→BookLive!で何かは分からないけど何かやっている」でok?
・「Amazonやappleに自由を奪われるな!」って叫んでいるけど、なら、能書きはいいからBookLiveで電子化してくれろ。まずは『永遠のゼロ』と『銃・病原菌・鉄』と『ぼおるぺん古事記』。
・シァアじゃなくシェアでしょ(呆)。
・唐突に出てくる「巨神兵」ってなんですか? そういうことはラノベでやってください。
・唐突ライトセーバーってなんですか? そういうことはコバルト文庫でやってください。
・ケータイコミックケータイコミック言い過ぎ。路上で売ってる「数百円弁当」も外食産業ですか(そりゃそうかも)。ケータイコミックも電子書籍に含めて「俺も一山当てたかった!」と言いたいのか何なのか。そこに蓋をして語ることも必要なのでは?
・「記憶の隅から離れることがなかった」ものを「久しぶりに思い出した」り、支離滅裂。
・全体に、例えば「民主党2012年敗退までの3年半回顧録」みたいな印象。日の丸嫌いなのに日の丸日の丸言うなと。
・同じ期間の電子書籍の隆盛について、別の人による描写を読みたい。
・e-honやhontoではなくBookLive!が最近いい感じになってきたのはなぜなのか、それを読みたい。
・いまBookLiveはAmazonKindleの次に私が電子書籍を探す場です。この著者が中枢で関わっていませんように…。ナムナム。
★振り返ると、序章にあたるウチの娘が云々って何ページかは結構良かった。一応ほめるところもあったのでほめておきます。
★中盤感想
曰く「2012年にスタートした電子メディア『cakes』は30代~40代男性の本好きネットユーザーの間で話題を集めました」
…って、こちとら全く名前も聞いたことが無い(-_-)。
曰く(cakesに続く二つ目が)「作家エージェント会社コルクです。この2つの会社は、マニアックなこの本の読者の方はすでにご存じのはず。マスコミやネットメディアでも頻繁に取り上げられていたので、当ブログ (※cyal注: この「書籍」は実はブログの焼き直し本なので) で改めて解説しなければならないことは何もないのかもしれません」…って、コルクってほうも聞いたこと無いし、なにこの「フツー知ってろよ」感の押しつけは!
こういう人たちが、「俺たち話題になっている、身内のあの人も話題になっている!」と勘違いしているから日の丸電子書籍は敗れたのだと良く分かるお話です。
★序盤感想。
良さげと思って読んでみたけれど、
大昔に「あの」ダメダメな「Σブック」を「コレってかっけー!」と思っちゃった人がやってきたあれこれを散文詩みたいにつづったもの。
日の丸より火炎瓶(が出てくる)が好きそうなのに日の丸電子書籍を名のって書いてる自分史でした。文章ガタガタ、段落に字下げ無し。どこからどこが引用か、地の文かもわかりにくく、まともな編集方針無し。
「こんなふうだから敗れる」ということが分かるサンプルでもあるような。 -
2013/3/24読了。
出版社を通さず著者自らがKindleダイレクトパブリッシングのシステムを用いてセルフパブリッシング(自費出版・個人出版)したものと思われる。内容はおそらく著者のブログの再編。
内容は滅法面白かった。会社は違うし面識はないけど同じ業界の先輩が書いた本を読むのだから当たり前だ。ただこの面白さは本を読む面白さというよりは、飲み屋で酔った他社の人が商談を離れて熱く語る話を聞く面白さに近いような気がした。こうしたニッチな本は従来の出版ではまず出ない、出ても私の手元には届かないから、その意味では電子出版とセルフパブリッシングのプラスの側面を実証している。
マイナスの側面ももちろんある。本としての作りが雑なのだ。誤字脱字、言葉の誤用はいうまでもなく、Amazonのレビューで指摘している人がいるように書籍としての基本的な体裁が乱れている。奥付もない。これは編集者という他人の目を経ず、素人もしくはシステムが生成した電子書籍データであろうということを意味する。目の肥えた読書家は必ず違和感を感じ、内容の信憑性にフィルターを掛けて読むはずだ(もしプロの編集者とオペレーターの方が関わっていたなら済みません)。
と言うと必ず「見た目の細かいことを気にするのは本好きのマニアだけ。大事なのは著者の熱い思いと旬のスピード感」とか言う人が必ずいて、もうそういう人に反論するのは疲れたし今の時勢では負けるのでやめる。ただ本書は幸いそうしたマイナスの側面を吹き飛ばすくらい面白くて目頭が熱くなりさえしたが、同じテイストの例えばビール業界人の本だったら、私は途中で読むのをやめていただろう、ということだ。
とはいえ、本とはもともとそうした胡散臭いものだったわけだし、分かる人だけ分かれば良いという本が存在できなかったこと自体が高度にビジネス化した出版の弊害でもあったわけなので、原点回帰と多様化への道を開いて本書のような面白い本を私に届けてくれたということでセルフパブリッシング自体は歓迎したい。願わくば、「セルフパブリッシングが儲かりそうだと聞いてやってきました」的なニューカマーたちに食い荒らされてガラケーコミックの轍を踏みませんように。