ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳 [DVD]

監督 : 長谷川三郎 
出演 : 福島菊次郎 
  • トランスフォーマー
4.40
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本棚登録 : 23
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4522178009846

感想・レビュー・書評

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  • 原爆といえば東松照明、水俣病といえば桑原史成、といった具合に、イコンを撮った写真家の名前ばかりが記憶に刻まれて、福島菊次郎さんのことは今までまったく知らなかったのだが、90歳になる写真家の追ってきたテーマをならべてみると、なるほどたしかに「ニッポンの嘘」が浮かびあがってくる。原爆スラムの住民や朝鮮人被爆者を消し去って建設された「平和都市ヒロシマ」、ほとんど内戦といってよいほどの安保闘争や三里塚闘争をおさえこんできた国家暴力・・・
    それにしても愛すべき人だ。反骨・社会派の写真家でありながら、「自分こそは反権力の闘士」といった思いあがり左翼男の嫌らしい気負いがまったくない。それは、最初にカメラをむけた「被写体」男性への申し訳なさや、子どもの世話や食事の準備といった生活の雑事を、捨ててしまうことなく誠実に抱えてきたことから生まれているように思える。多くの男の報道写真家が嘲笑したリブ運動を賞賛する態度も、そこに根ざしているのだろう。「自分は国家に負けて殺されるのだ」という言葉に、自分の小ささをよく知りながら、なお反抗をやめない、「靴の中の小石」のような矜持を見る思いがする。墓の前で謝る小さな姿に胸を衝かれた。

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