タイタンの妖女 [Kindle]

制作 : 浅倉 久志 
  • 早川書房
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (117ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 全ての人間には全て平等に価値はない。人間の目を覆いたくなるようないやらしさや、その逆の高潔さ、それら全てが「大したもんじゃない」と言い切る本書に救われた人は多いだろう。

  • 滑稽で、刺々しく、楽しげで、悲しい。

    登場人物たちは、各々心を託すものを決めて別れていく。生きる中で独りになることは大した問題ではない。運命が意志ある者に制御されていてもいなくても、手元にあるものを肯定することで安寧がもたらされる。
    憎むべきものから受け取るものに、救われることもあるのかもしれない。自分が気づかないうちに、その贈り物はもう既に、押し付けられた後なのかもしれない。
    最後の一文で泣いてしまった。

    読後はやさしくなりたくなる。

  • 海外出張中の機内で、爆笑問題・太田光激賞の一冊をkindleで読了。
    SFというものは、実は作者の人生観や哲学を表すにはもっとも適した形態なのではないか、という気がする。人間とはこういうものだ、だからこうなってしまうんだ、だからこうすべきなんだ…こんな主張が伝わってくる。ユーモアと皮肉をふんだんにまぶしたこの作品も、人間のどうしようもない弱さや哀しさを鋭く指摘しつつも、読後感は悪くない。またいつか読み返したい一冊になった。太田光に感謝!

  • 22世紀の物語だが,1959年出版のSFなので違う世界の22世紀感が半端なかった。異なる惑星まで行く技術を持ちながらテープレコーダーで音楽を聴くとか,銃を持って戦争するとか。また,タイタンで人間が普通に呼吸でき,鳥のような生物が存在するというのも,タイタンの大気組成が明らかな現代の知識を持って読むとやはりどこか違う世界の物語と思えた。タイタンの大気は窒素98.4%・メタン1.4%で,人間の生息には適さない。
    SFとしては人類の発展や宇宙に住む他の生命や現象,また人間そのものの生涯にも重きが置かれ,斬新な発想で興味深い内容だった。なおタイタンに妖女が暮らしているわけではないので,それを期待して読んではダメ。

  • 本書後半に出てくる、誰にも利用されないということは、一番の不幸である、という言葉(少し短かくまとめました)は、サッと読むと、「ん? 人に利用されるのが良いということ?」と思い、スッと心に入らないかもしれないが、要は「必要とされない人は不幸である」ということだろう。誰からも相手にされない存在よりかはマシであるということだ。これは不利益を被ることも多々あるので積極的な意味で述べられたものではないと思うが、この結論を宇宙規模で展開したのが本書である。
    最後の場面は特に印象的なので、必読だ!!

  • カートおじさんの本をちゃんと読もうシリーズ第3弾(今まで読んだのはスローターハウス5、猫のゆりかご)。
    タイトルから勝手に想像していた内容(スペースオペラっぽい)とはぜんぜん違う、とぼけた感じで示唆に富む話で、ちゃんと読んでよかったと思う。まあかなり今更感があるけれども。

    いけすかないやつだなあ、と思っていたラムファードの最後の方のふるまいとか、コンスタントとビアトリクスの最後とか・・・まああんまり言葉連ねるような話でもないか。カートおじさんは優しいね。

  • 1959年作品。

  • アメリカ文学を代表する作家の一人であるカート・ヴォネガットの代表作であり、SF小説の古典と言われているということで読んでみた。

    とりあえず冒頭からカマしてる。
    「本書の中の人物、場所および事件は、すべて実在する。ただし、一部の談話および思考は、やむをえず著者の解釈で構成した。無辜の者を保護するためにあえて名称を変えることはしなかった。無辜の者の保護は、全能の神が天国の日常作業の一部としてなされているからである。」

    人類の行動はすべてトラルファマドール星人の都合で操られていた。しかも絶望的なまでに些細な理由で。(惑星タイタンに不時着したトラルファマドール星人のところに、宇宙船の交換部品を届けさせるために。そのために人類は進化し、文明を発展させ、惑星タイタンに到達した)

    ユーモアと皮肉まじりな文学。

    --

    memo:

    32
    本書の中の人物、場所および事件は、すべて実在する。ただし、一部の談話および思考は、やむをえず著者の解釈で構成した。無辜の者を保護するためにあえて名称を変えることはしなかった。無辜の者の保護は、全能の神が天国の日常作業の一部としてなされているからである。

    1565
    たった一つわしがこれまでにまなんだことはこの世には運のいい人間と運のわるい人間とがいてそれのわけはハーヴァード・ビジネス・スクールの卒業生にもわからんということだ。敬具 おまえのパパ

    4556
    「もし、われわれがここできみに不当な仕打ちをしていると思うなら、これまでのきみの人生のどこかで、これこれの善いことをしたと話してみたまえ。そして、果たしてその善良さの一例が、君のために準備されたこの刑罰を免除するだけの価値があるかどうかを、われわれに判定させればいい」

    5526
    おれたちはそれだけ長いあいだかかってやっと気づいたんだよ。人生の目的は、どこのだれがそれを操っているにしろ、手近にいて愛されるのを待っているだれかを愛することだ、と

  • 「タイタンの妖女」(カート・ヴォネガット・ジュニア: 浅倉久志 訳)を読んだ。30年くらい前に「ガラパゴスの箱舟」を読んで「ヴォネガットはもういいや。」と遠ざかっていたんだけれど、最初にこっちを読むべきだったな。あるいは私がやっとヴォネガットに追いついたのか。いやー、面白かった。

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