タイタンの妖女 [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • Amazonのレビューに書いてあってハッとしたけど、確かにこの小説、今流行りのクラウドの概念を、50年前にして見事に描き出してしまっている。SF作家の想像力というのは本当に恐ろしい。

    我々は自分の人生を完全に操作することはできない。「偶然」といったり「運命」といったり、そうしたよくわからないものに翻弄され続けるしかないーーー作品に通底するのはそうしたニヒリズムで、と同時にそれを乗り越えようとした小説だった。
    何万光年を反復横跳びするかのような場面転換が次々に繰り返され、ともすれば物語としての力強さを失ってしまいがちだが、強度を失わずに保たれていたのは、それぞれの場面にちりばめられた印象的なイメージと魅力的なフレーズのおかげだろう。訳が本当に良いということでもある。
    「単時的な意味において、さようなら」という言葉が妙に気に入った。

  • そういうことかと納得

  • 1この本がテーマとしている問題提起は何か? どんな問題を提示し、 どんな解決方法を提案しているのか?
    .時間の眺めるとはどいうう感じがでそのためにラムフォードのパンクチュアルな視点からマラカイの物語を見ていく作りになっている
    2この本はどのように始まり、どのように終わったか?
    .たぶん、天にいる誰かさんはおれが気に入っているんじゃないかなというマラカイコンスタンの言葉から始まりストーニィがだがな、天にいる誰かさんはお前が気に入っているんだよというセリフで終わる
    3 あなたはこの本から何を学びたいか?
    .タイタンの幼女の時間感覚
    4この本が同じジャンルの他の本と似ている部分、 違う部分はどこだろう?
    .似ている部分はタイタンや火星のような他の惑星を行き来する点で違う点は物語の時間を点のように見ながら進んでいくところ
    5 この本はなぜ重要なのか?
    .時間をながらというより点で捉えるような物語構成になっているところ
    6この本のタイトルは内容と合っているだろうか? あなたが本のタイトルを付け直すとしたら?
    .合っていると思う、つけなおすなら時間点とタイタン
    7この本のキーポイントやコンセプトは何だろう?
    .1人の人生の物語を時間を点のようにして眺めてみること
    8本の書き出だしをチェックして、作者は読者を引き込むために どんなトピックを展開しているか?
    .1時間ごとに太陽系は四万三千マイルずつヘラクレス座のM13球状星団へと近づいてる、それなのに進歩なんてものはないと主張する非順応者がまだなくてはならない。というトピックをてんかいしている
    9 本で扱われているビジュアル・・・チャートラベル グラフ 写真図解から何を学んだか? それらの要素からどんな種類の情報を得ることができたか?
    .特にない
    10著者は読者に対してどう考えてほしいと思っているのだろうか?
    .点としての人生と愛を感じることについて
    11人に勧めるとき、どの章どんな情報を1番に取り上げるか?
    .冒頭の時間についての捉え方
    12 作者はこの本をおもしろくするために どのような工夫をしているだろうか?
    .各章の初めに登場人物たちの言葉がその章のテーマに沿って置いている
    13作者の主張のどこに賛成できるか?その理由は何か?
    .時間を見ているラムフォードもさらにその上から眺めている存在がいてそれもさらに上がいてのようになっている感じには日本史の神様のあり方とかとも重なってなるほど思ったので賛成する
    14 テーマを説明するために作者がどのような事例を 出しているのか? 興味深かった例は?
    .冒頭の太陽系の話
    15 この本を読んでいるときにどんな感覚になったか?
    .時間の捉え方が流れから点になった
    16 この本で最も重要な一文はどれか?その理由
    .わたしを利用してくれてありがとう
    17本の内容を振り返って、自分にとって 一番さった箇所はどこか?
    .あとがきの人間に選択権はあるのだろうか?

  • 発想力と想像力の違いをひしひしと感じた。想像力が半端じゃない。ストーリーで読んでも面白い作品だが、それ以上に小説で読むことの快感がある。文体や視点、突飛な展開など、小説ならではの醍醐味が詰まってる面白さ。描写の例えが独特で好き。章の冒頭で本の引用する演出ってあんまりしっくりきた試しがなかったんだけど初めて面白いと思った。どんな展開でも常にサッパリとした文体なところがいい。この淡々とした感じが凄く好き。想像力がすごすぎて脳内でのイメージ変換が大変だった。 咀嚼しきれない。

  • 正月再読本。
    やはり「なんだこれは!?」と思ってしまう。

    世の中すべては嘘っぱちだ。だとしても、人は幸福になれるのかもしれない。

  • 終始コミカルでドタバタ、読み始めた時は「何が言いたいの?」と頭の中は???だけど、読了後じんわり暖かく、「面白かった!」と胸を張って言える小説。予備知識無しで読んだ方が逆に面白いのでは?爆問太田さんの愛に満ちた解説もよかった。

  • 普段SFはほとんど読まないが、岡田斗司夫推薦だったため、手にしてみたもの。同氏推薦の「月は無慈悲な夜の女王」の翻訳が読みづらかったので、少し身構えていたが、本書はその点大丈夫だった。

    本書のそこかしこに見られる、人間社会、あるいは人間の本性に対する風刺的な内容が、コミカルな筆致で描かれているのが、非常に面白く感じられた。愚かで悲惨な結果を招いてしまうことも多いけれども、結果はともかく最終的には善であろうとする人間に対する暖かな眼差しが感じられるところがよい。

  • カート・ヴォネガットの文体は、表紙の和田誠さんのイラストのイメージそのままだった。全体的にコミカルだけど、精読するほどはぐらかされてしまう。掴もうとするほどヌルッとウナギのようにすり抜ける感じ。この表現、どこまで意味があるのだろうか?コレ、必要?と感じる未回収な言葉を乱発しつつも、登場人物たちの意味深なセリフで主人公と読者を撹乱し、カート・ヴォネガットの意図する方向へ導いていく。そうだ、この構図(手法)は、村上春樹さんの初期作品と似ている。独特なリズム感がクセになる人は居るだろう。人間社会に低通するバカさ加減を風刺するシニカルさも村上春樹さん(ハルキストも?!)や爆笑問題の太田光さんのような人たちを魅了し続けるのかもしれない。

    本作のテーマは多岐にわたるが「自由意志」と「存在意義」について言及したい。主人公マラカイ・コンスタントは自分の意志で宇宙の大冒険をしてきたが、実は神のような存在のラムファードに導かれていたことが終盤で明かされる。でもその万能の神ラムファードもトラファマドール星人に導かれていたことが判明する。それだけではない。人類も宇宙船の故障でタイタンに足止めを余儀なくされていたサロを助けるためのメッセンジャーの役割を担わされていたり(万里の長城やストーンヘンジも伝言メッセージだった!)、修理部品を作るために進化させた文明だったと言われて、読者もこの「マトリョーシカ」の入れ子構造に組み込まれる。さらにさらに今はトラルファマドール星人は滅亡して存在しないときた。物語の目的の出発点が不在なのだ。まるで玉ねぎの皮を一枚一枚向いたような話じゃないか。そしてトラルファマドール星が滅亡した理由もドキリとさせられる。高尚な目的を持って発明を重ねてきたトラルファマドールの人々がサロのような有能な機械を作り、機械にもっと高尚な目的を探索させたところ、「生物が高尚な目的を持ち得ない」と知らされ、幻滅し、滅亡するまで殺し合ったというのだ。「人類最後の発明」と言われる汎用性人工知能の誕生を前にこの風刺は痛烈過ぎる。

    こうして「受動意識仮説」のような自由意志のフラクタルの先に自由意志どころか、存在意義さえも消えてしまった、という話だった。

    これは喜劇であり、悲劇である。

  • 読んでみたかった本、ちょうど風邪をひいていたこともあり、読み進めるのが体調の問題?私の読解力?どらもだと思うが時間かかった。マラカイをタイタンに送り込んだあたりのラムフィードのことが急に嫌いになってこの本の結末もなんか嫌な予感してたけど、最後のエピローグを読み終えた時には、じんわり。

  • 英語版のオーディオブックを購入し、三週間ほどかけて聴いた。

    ちょっと昔の本にありがちな表現が多分に含まれていた印象。読書の習慣がまだ浅い僕には、凄く細かい情景描写やセリフの言い回しが鼻につく箇所がちらほら。気づいたら一章まるごと聞き落としていて、慌てて巻き戻すことが2回あった。

    英単語の音を使った言葉遊びも小説内に散りばめられていた。特に火星軍の小太鼓の下りは訳者泣かせだなぁ。

    読み終わったあとにモヤモヤが残ったので、ネットで解説をいくつか拝見。物語終盤の種明かしは「なるほどねー」と思ったけど、それに至るまでの伏線はあまりなかった(と思った)ので感銘は受けなかった。

    SF要素よりも、人生の「意味」「目的」を訓える哲学的な面が強かった。

    時間を置いてまた読みたい本。

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