- Amazon.co.jp ・電子書籍 (375ページ)
感想・レビュー・書評
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Amazonのレビューに書いてあってハッとしたけど、確かにこの小説、今流行りのクラウドの概念を、50年前にして見事に描き出してしまっている。SF作家の想像力というのは本当に恐ろしい。
我々は自分の人生を完全に操作することはできない。「偶然」といったり「運命」といったり、そうしたよくわからないものに翻弄され続けるしかないーーー作品に通底するのはそうしたニヒリズムで、と同時にそれを乗り越えようとした小説だった。
何万光年を反復横跳びするかのような場面転換が次々に繰り返され、ともすれば物語としての力強さを失ってしまいがちだが、強度を失わずに保たれていたのは、それぞれの場面にちりばめられた印象的なイメージと魅力的なフレーズのおかげだろう。訳が本当に良いということでもある。
「単時的な意味において、さようなら」という言葉が妙に気に入った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そういうことかと納得
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発想力と想像力の違いをひしひしと感じた。想像力が半端じゃない。ストーリーで読んでも面白い作品だが、それ以上に小説で読むことの快感がある。文体や視点、突飛な展開など、小説ならではの醍醐味が詰まってる面白さ。描写の例えが独特で好き。章の冒頭で本の引用する演出ってあんまりしっくりきた試しがなかったんだけど初めて面白いと思った。どんな展開でも常にサッパリとした文体なところがいい。この淡々とした感じが凄く好き。想像力がすごすぎて脳内でのイメージ変換が大変だった。 咀嚼しきれない。
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正月再読本。
やはり「なんだこれは!?」と思ってしまう。
世の中すべては嘘っぱちだ。だとしても、人は幸福になれるのかもしれない。 -
終始コミカルでドタバタ、読み始めた時は「何が言いたいの?」と頭の中は???だけど、読了後じんわり暖かく、「面白かった!」と胸を張って言える小説。予備知識無しで読んだ方が逆に面白いのでは?爆問太田さんの愛に満ちた解説もよかった。
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読んでみたかった本、ちょうど風邪をひいていたこともあり、読み進めるのが体調の問題?私の読解力?どらもだと思うが時間かかった。マラカイをタイタンに送り込んだあたりのラムフィードのことが急に嫌いになってこの本の結末もなんか嫌な予感してたけど、最後のエピローグを読み終えた時には、じんわり。
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英語版のオーディオブックを購入し、三週間ほどかけて聴いた。
ちょっと昔の本にありがちな表現が多分に含まれていた印象。読書の習慣がまだ浅い僕には、凄く細かい情景描写やセリフの言い回しが鼻につく箇所がちらほら。気づいたら一章まるごと聞き落としていて、慌てて巻き戻すことが2回あった。
英単語の音を使った言葉遊びも小説内に散りばめられていた。特に火星軍の小太鼓の下りは訳者泣かせだなぁ。
読み終わったあとにモヤモヤが残ったので、ネットで解説をいくつか拝見。物語終盤の種明かしは「なるほどねー」と思ったけど、それに至るまでの伏線はあまりなかった(と思った)ので感銘は受けなかった。
SF要素よりも、人生の「意味」「目的」を訓える哲学的な面が強かった。
時間を置いてまた読みたい本。