イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ [Kindle]

  • 翔泳社
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感想・レビュー・書評

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  • 経営コンサルになるべく勉強をしているのですが
    その中で出てくる「イノベーションのジレンマ」を提唱した
    クリステンセンのハーバードビジネススクールの最終講義。

    手っ取り早い「解決策」を与える人生の指南書が巷に
    あふれるなか、本書は耳障りのいい気休めはいっさい言わない。
    人生はやり直しがきかない。
    過ぎ去った時間を取り戻すことは決してできないという、
    厳しい現実を突き付けてくる。

    以下、抜粋。

    わたしはどうすれば次のことが確実に出来るだろう?
    ・どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろうか
    ・どうすれば伴侶や家族、友達との関係をゆるぎない幸せの
     よりどころにできるだろう?
    ・どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?

    「報酬」はハースバーグの動機付け要因ではなく衛生要因
    最も陥りやすい間違いの一つは、それさえあれば幸せになると信じて執着することだ。
    もっと高い報酬。もっと権威のある肩書き。本当の意味での動機づけは何だろう?

    お互いに対して最も誠実な夫婦とは
    お互いが片づなくてはいけない用事を理解した二人であり、
    その仕事を確実に、そしてうまく片づけている二人。

    自分がそばにいて見守っていなくても、
    正しい選択が出来るように子供を育てたいと、どんな親も思っている。
    これを最も効果的に行う方法の一つが、適切な家庭文化を築くことだ。

    この仕事で成功するには、どんな仮定の正しさが証明されなくてはならないだろう?

    忙しさにかまけ、図らずもおろそかにしてしまった友情の
    一つや二つは誰にでもあるだろう。自分の友情だけは、
    放っておいても壊れないと思うかもしれないがそんなことはまずない。

    一般に企業は将来へのイノベーションへの投資を考えるとき、
    投資の限界便益が限界費用に見合わないと判断すれば投資を見送る。
    だがこの考え方には大きな間違いが潜んでいる。

    まだ経営コンサルになっていませんが、なった暁には
    同僚にこの本を推薦したいと思います。

  • ハーバードビジネススクールの講師で、「イノベーションのジレンマ」の著者。卒業生に対してスピーチする内容を、理論として発展させて記している。「キャリア」「人間関係における幸せ」「罪人にならない」が軸。

    衛生要因という言葉はこの本で初めて知った。衛生状態が悪ければ健康を害するが、良くても健康を増進させるわけではない。同様に、賃金などの働く上でのモチベーションを決定するのが衛生要因。この他に、動機づけ要因が必要。

    割とがっつりビジネス寄りの話をしている。

    ・序講
     ・羽があるからと言って…
    ・幸せなキャリアを歩む
     ・私たちを動かすもの
     ・計算と幸運のバランス
     ・口で言っているだけでは戦略にならない
    ・幸せな関係を築く
     ・時を刻み続ける時計
     ・そのミルクシェイクは何のために雇ったのか?
     ・子どもたちをテセウスの船に乗せる
     ・経験の学校
     ・家庭内の見えざる手
    ・罪人にならない
     ・この一度だけ…

  • ・経営の理論を人生にあてはめた本
    ・どんな優先事項をもてば、幸せになれる仕事を見つけられるか、それは本当に動機づけるものは何かという話。
    ・こうした動機づけられるキャリアを見つけるために、意図的な計画と、その道中で必ず訪れる予期されない機会とのバランスを図る。
    ・そして、こうした計画に合わせて自分のもてる資源を配分する
    ・人生のなかで家族に資源を投資した方が、長い目でみればはるかに大きな見返りが得られることを、いつも肝に銘じておかなくてはならない。
    ・家族や友人との揺るぎない関係こそ、努力して勝ち取る価値がある
    ・仕事でもプライベートでも、自分が「どんな用事を片付けるために雇われているか」を理解すれば、計り知れないほど大きな見返りが得られる。
    ・日々の雑事に追われると、相手に用件を伝えるだけのコミュニケーションになりがち。
    ・子供に「どんな講座を受けさせるか」を考えて経験させること。宿題を単に親が手伝って一緒にやることは「ズルをする講座」を受けさせているに他ならない。
    ・子供にどんな能力を身につけさせたいかを常に意識し、そのためにどんな経験をさせるべきか考える。
    ・企業と同様に人生に強力で実りある目的が重要
    ・自分の人生の目的を自力で明らかにし、
    毎日実践していくには人生の目的を成す三つの部分、自画像・献身・尺度を理解する事が最も信頼できる方法

  • ■目的
    仕事だけではなく、個人としての幸せを追求した時にどのようことを意識すべきなのか、それをビジネスのフレームワークに落とし込むとどうなるのかを学ぶため。

    ■本質
    一個人としての幸福≠学歴・職業上の成功ではない。

    ■感想
    本来ビジネスにおいて、想定リターンに基づいて投資を決定するという至極当然なプロセスがことプライベートの設計になるとおろそかになるケースが散見される。様々な書物に、死ぬ前の公開は「仕事をし過ぎたこと」になると読むがそれでもワーカホリックに生きてしまう人が多いが、そんな状況に対する明確な回答になっているのが本書である。

    ■ポイント
    ・過去の経験<理論。理論はこれから発生する事象を予測することができる。過去の経験では、レバレッジが効かない。
    ・動機付けとは、しぶしぶなっとくさせるというレベル感ではなく、本心からやりたいと思ってもらえることをいう
    ・「仕事に不満がある」の反対は、「仕事に満足している」でないことがポイントである。そのため、不満を消したとしてもその仕事を好きになることはない。
    ・「この仕事は自分にとってどんな意味があるの?」「何が学べるの?」「責任を任せられる?」などが本当の意味での動機付けになる可能性が高い。年収などの数値化しやすいところに心を乱されるべきではない。
    ・良い仕事や良い環境をはじめから見つけることはできない(本当に何が欲しいのか?などの定義もそもそも難しい)だからこそ自分が求めているものを見つけられる・納得解に到達するまで何度も試行錯誤を繰り返しできるようにしておくことが大切である。(ホンダのカブの事例)=創発的戦略と意図的戦略のバランスをとるべきなのだ。行き当たりばったりを創発的戦略とするのはナンセンスだが、意図的戦略ですべてをまかなうことはできない。(=人生においては、1/1で正解を見つけることはまずできないから、本当の自分の心の声に耳を傾け続けることが大切)
    ・自分の人生という事業における、投資が適切になされているかしっかり目を配るべきだ。
    ・人生において大切なものは短期的に快楽や楽しさを提供してくれず時間をかけてリターンをもたらす。だからこそ、中長期で投資が必要なものに投資をしづけられるかが大切だ。
    ・企業も何か乗り越えるべき困難なシチュエーションをあたえられたときに能力を得ることがある。その中途半端な手助けの方が能力獲得の機会をうしなうことになる。
    ・既存の事業がある場合企業は限界便益と限界費用の考え方で投資を決定するが、結局その思考でとらえると、新しいチャレンジではなく、既存の成長(持続的な成長)を求めることになってしまう。だからこそ、限界思考のマインドのバイアルがあると自覚しよう。(イニシャルコストに耐えよ)

  • 「イノベーションのジレンマ」で知られるクリステンセンによる人生論。こんなにあたたかくて、丸みを帯びた、理論書があっただろうか。しかも理論の当てはめ先は、企業ではなく人間だ。人間と企業の同型的アナロジーを駆使し、相関ではなく因果の視点で、原則に迫る。

  • 迷ったときにもう1度読み直す。自画像、献身、尺度。自分の人生の目的とは何か?

  • ■ひとことで言うと?
     目的設定と自己評価を繰り返し、より良い人生を

    ■キーワード
     ・経営戦略≒人生戦略(人生の指針)
      →戦略1.優先事項の決定:インセンティブ < モチベーション(衛生要因 < 動機づけ要因)
      →戦略2.計画と機会の活用:創発的機会と意図的機会のバランスを取る
      →戦略3.資源の配分:人生戦略を実行するために適切に労力を配分する
     ・仮定を検証する
      →その機会が理想どおりであるためには、どのような仮定が成立すべきか?
     ・「用事」ベースで考える
      →相手が片付けたい「用事」(=求めていること)は何か?
       →相手への献身(≒自己犠牲)が満足感をより高める
     ・子供の教育方針
      →方針1.プロセス重視:資源(知識、能力)< プロセス(過程、価値観)
      →方針2.経験主義:自力で物事を成し遂げる力をつけさせる
      →方針3.文化醸成:文化(≒共通の行動指針)を作る
     ・限界費用と総費用
      →その妥協が招く最終的な「総費用」は?
     ・人生の目的設定
      →なりたい姿(自画像)を描く→目的に献身する→自分の尺度で評価する
       →自分の人生を評価する「基準」を持つ

  • 参考文献のジョブ理論の中で触れられていたので読みたくなり、購入。

    翻訳の用語が違うのが違和感ありますが、こちらの方がより分かりやすいかなと思いました。読者層の意識の違いでしょうかね。ジョブ理論ももう一度読み返したい。

  • 星3.2 読む前の期待値を上げすぎてしまったかも。キャリアの章全部、人間関係のところ半分、あとは気になるところをつまみ読み。キャリアの部分は過去に読んだキャリア本で似たようなことを読んだことがあったから、初見が少なかったかな。あと人間関係の部分は、投資回収始まるずっと前に投資する、関係が1番上手く行ってる時に投資するというのはなんとなくわかっていても出来てないというので印象に残った。

  • 一見当たり前のことのようだが、改めて人生の目的を問いかけてきた本。自分が本当になりたい人物像は?その姿に向けて自分の資源を費やせているか?は改めて真剣に考えなければいけないことだと気付かされた。読むだけでなくポイントを自分なりにまとめ、その問いに対してしっかり時間をかけて答えを出したい。

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