BEATLESS 電子特別版 《後》 (角川書店単行本) [Kindle]

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  • KADOKAWA / 角川書店
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感想・レビュー・書評

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  • アナログハックという言葉を本書で初めて知った。玩具を乱暴に扱う娘に向かって妻が、「くまさんが可哀想でしょ?」と諭すのを見て、これも一種のアナログハックだなぁと感じたのです。人の、かたちに関する感覚は思っているいじょうに強いと思うの。
    法とか倫理とか経済といった社会フレームが技術の進歩に翻弄される様と、人がAIやインターフェースに対し抱く恐怖だったり愛情だったり嫌悪だったりがわりとリアルに感じられて、愉快に読めましたよっと。

  • SF小説後編。
    戦闘シーンの迫力やヒロインの正体など読み応えのあるシーンが多かった。人ではないモノやかたちへの愛情といったテーマは重め。

  • これはラノベの怪作? それとも超ラノベ? ティーン向け小説であるかのような主人公とその妹の会話などには当初付いていけないかもしれないと思いながら読み進み、そして読了。

    途中で決して離脱などできなかったのは、これがどうしようもなくSF (それも、里程標となるような優れたSF) だったから。

    SFとしてとても大切なことが含まれていた。
    1.シンギュラリティ、2045年問題
    超高度AIがついに人類の知恵と技術を超越してしまった社会はどうなるのか。

    2."人類未到産物" (造語)
    人類の理解できない方法で製造された、人類に構造が理解できないモノ

    3."アナログハック" (造語)
    チョロい人類をその気にさせてしまう、人間とほぼ見分けが付かないヒューマノイド・インターフェース・エレメンツ(hIE、略称「インターフェース」)のかたちと振りのはたらきのこと。

    しかしシンギュラリティの概念は最近広まったものでなく、ヴァーナー・ヴィンジの『マイクロチップの魔術師』からだということがググると出てくるが、その小説読んでるぞ儂。だけど1980年代に読んだときはパソコン通信のハンドルネームとの対比(原題は『真の名前』)が優先で、シンギュラリティ(技術的特異点)という観念についてはあまり気にとめなかったなぁ……。

    シンギュラリティって、山を登る列車で説明されるアレがついに峠を越し切ることはないということが証明される時点なんじゃろか。自分でジョークとしてよく使う「人類には早すぎた」ってフレーズが、ついに今後消えることはありえないと証明されてしまう時点。それが来ることが分かってその諦念の裏返しでこんな小説を作者は生み出してしまったのではないかと思うとやりきれない(ほめ言葉)。

  • とても良いボーイズミーツガールでした。後半からの展開に目が離せず、時間が経つのも忘れて読んでました。

  • いやはや後編は惹き込まれました。前半、説明をしないレイシアに疑念を抱くアラト。なんだか不穏なものを行間に感じ、気になる気になる。そして半ばではレイシアとの別れを予感するアラト。七転八倒の海内リョウ。そして後半はもう涙目。別れの予感が現実に。そこに至る過程が。三鷹での戦いからヒギンズ内部での激闘を経て、ココロのない”かたち“だけのはずのレイシアとアラトは2人で1組のユニットであると。レイシアとアラトのやり取りがもう涙目。信頼から愛情に。鼓動のないモノと共に歩む未来へ。
    一度は倒れた紅霞、スノードロップ、メトーデがなんだかんだと復活するし。いろいろ怖いよ。
    前編は、後編との比較で言えば少々冗長だったかと。まあ世界背景を示すためということですかね。その反動か、後編はグイグイのめり込んで、続きが気になる気になる。
    が、しかし最後がちょっと物足りなかったかなあ。もう少し納得できる答えというか、妥当性というか何かが欲しかった気がします。レイシアが別の機体で戻ってきたというのも良いのか悪いのか。破壊されたからしょうがないのだろうけど、データさえあれば、いくらでも機体の乗り換えができるということ?それはそれでコワイ気が。個人的には修復して元の機体、レイシアは1個人、1個体としてほしかったかなあ。まあ、超高度AIとしてではなく、普通の女の子として戻ってきたということなのか?量産型紅霞とマリアージュもね、どうなったの?って感じだし。
    そして人間とモノの恋物語は良いのですが、種の存続としてはどうなるのかー?ということを思うのは野暮なのかなあ。この当たりはやはりFSSのファティマと騎士の関係がシビアに描かれているからなあ。まあ、シビアに書くと暗くなっちゃいそうだけど。
    ヒギンズは「どうして人間はモノを愛してくれないのか」というが、昨今は逆でモノを愛して人を愛せなくなっているような・・・普通に人を愛せなくなっているような心配。奇しくもAKBが握手会にノコギリ男が現れて怪我したとか・・・
    ドーナツの表現は面白かったなあ。中心が空白。まあこの辺も攻殻機動隊っぽいと言えばそれまでなんだけど。ゴーストペインか。アナログハックっていう考え方も良かったな。
    いやーでも総じて面白かった。外伝とかありそうじゃない?紅霞とかマリアージュ目線のお話とか、その後の兄キチームと妹チームのお話とか。お話は作れそうな世界観。
    表紙絵と挿絵にギャップを感じて、今いちレイシアのイメージがわかなかった前編でしたが、チョイチョイの挿絵でイメージ確定。挿絵のレイシア達が活躍です。Amazon見ると画集とかあるみたい。チラ見でさらに脳内補完。アニメ映えもしそうだしなあ。コミックスがあるみたいでちょっと気になる・・・結局、表紙は誰なんだろう?

  • 普通の少年が美女ロボットを偶然手に入れるという、かなりアレな導入の割りにはなかなか骨太な内容ではないでしょーか

    アナログハックという、形で人を惑わすと、いった表現と言うか考えた方が気に入った

  • どうしても,恋愛要素の必要性がわからなかったが,全体的に非常に楽しめた.設定も良ければ,戦闘シーンの描写も素晴らしい.
    アラトと合わせて一つの生き物として運用されることで,初めて超人工知能たるレイシア.人類より高度な知能に誘導され利用されることで成立する次世代生命というコンセプトが痺れる.
    記憶に残る一冊だった.

  • 9784041102909 の電子書籍化。

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著者プロフィール

「戦略拠点32098 楽園」にて第6回スニーカー大賞金賞を受賞。同レーベルにて「円環少女」シリーズ(角川書店)を刊行。「あなたのための物語」(早川書房)が第30回日本SF大賞と第41回星雲賞に、「allo,toi,toi」が第42回星雲賞短編部門にそれぞれノミネートされた。

「2018年 『BEATLESS 上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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