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- / ISBN・EAN: 4935228131457
感想・レビュー・書評
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夫の名は無辜歩(むこ あゆむ)、妻の名は妻利愛子(つまり あいこ)。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う若い夫婦が、田舎暮らしを始める。犬や虫、植物など周囲の生き物の声が聞こえてしまうが屈託なく明るいツマを、背中に大きな鳥のタトゥーが入った売れない小説家のムコはやさしく見守り、二人は穏やかな生活を送っていた。しかしムコ宛に届いた差出人のない一通の手紙をきっかけに、二人の関係は揺らぎ始める。
以前読んだ原作は、ファンタジーのような不思議な印象が残っている。どのように映画化されるか楽しみだったが、原作の温かさを損なわず映像にしてくれていたように思う。
ムコとツマが暮らしているのは田舎の古い一軒家。台所にはコンロの代わりにかまどがあって、畑で育てた野菜が食卓に並ぶ。軒下には大根がつり下げられて、夏には蚊帳をかけて眠りにつく。近所に住むアレチさん、セイカさん夫婦とドンジャラをしたり、小学生の大地、洋子とはしゃいだり。二人の生活を包む、のんびりとした空気感が心地よい。
生き物の声が聞こえるツマと語らう、庭に生えるソテツの言葉が印象に残っている。「奇跡とは、日常です」ムコとツマが出会ったのは奇跡と言えるかもしれない。しかしそれ以前にそれぞれの父と母が出会わなければ二人は産まれておらず、もっと前に父母の父と母が出会っていなければ…と考えると、ムコとツマが一緒にいることはそれだけで奇跡なのだ。すべてのものは可能性の上に成り立ち、世界は奇跡に満ち溢れている。一時は気持ちがすれ違い、二人の関係が不穏な色を帯びる。しかしムコは気づく。ずっと過去に囚われてしまっていたが、“一番大切なものはいつもここにある”ツマだということを。
今、そばにいてくれる人たち。決して同じ日はないこの時間。そのすべてが奇跡で、私たちは奇跡の均衡の上を歩いている。普段は意識しないけれど、大切なことを思い出させてくれる映画だった。 -
原作は昔々に既読です。
こんなヒリヒリする空気の作品だったかな…と思いました。もうちょいおおらかだった淡い記憶です。
お互いを「ツマ」「ムコさん」と呼び合う夫婦。名字呼びなのですがかわいい。それに、ふたりの暮らしもなんだかおままごとみたいで。
不安定なツマと見守るムコさんの前半の日常がふわふわしていたので、途中からだんだんと心が通わなくなってくるのが痛々しかったです。ツマがムコさんを傷付けるのとか。
でもムコさんは過去を乗り越えてツマと居ようと思った。それで東京から帰ってきた。それでいいと思いました。
ツマの宮崎あおいさんは不安定な人って端からはこう見えるのか…と思いました。可愛いのですが怖いです。向井理さんの佇まい好きでした。
龍臣くんも望結ちゃんも可愛いな。
植物や動物の声の方々が豪華メンバーですごかったです。蘇鉄が大杉漣さんだったの切ない。
途中挟まれる画、「にしかなこ」ってなってたので多分原作者の西加奈子さんが描かれたのだろうな。素敵でした。 -
この映画は原作読んでから観たほうが良いと思いました。
本で好きな小学生からの妻へのラブレターは映画でも良かった。
ロケ地の田園風景も良かった。
原作の設定場所って宮崎県の日南か串間じゃないかな?
だって庭にソテツがあるんだもん。
そしてそのソテツと話ができるなんて素敵な物語なんだろう。-
2015/01/12
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宮崎あおいは相変わらず不思議な魅力。
この作品だけに限らず、この頃(だけではないかもしれないが)の小説やコミックの映画化には、時間の制約や監督の解釈により、やや作品の全体像や世界観が反映されていなかったりしているような印象を受ける。
映画としてだけ楽しめばいいのかもしれないが、それだと原作の狙いが解りにく、物足りない場合も多い。 -
原作を読んだ方がいいらしい。だけど、読まなくていいやとは思わせない映画。
ムコさんのおじいちゃんのそのまたおじいちゃんが、つらいことや苦労とかめっちゃいっぱいあるのに懲りずにまた誰かを好きになって、だからムコさんがそばにいてくれる。
その奇跡。
奇跡とは日常。
そのシーンがとても胸に入ってきました。
そして子供が、それでもいいんだ。かっこいいじゃないかと思わせるような、オトナになりたいと思った。 -
向井理、身体の線きれい。
ツマが分裂気質で、ムコ(無辜ワロタ)はそういうタイプが好みらしい。結婚しているのに苗字系で呼び合うのも如何にもな感じ。
原作は要らないな。
宮崎あおい、マグロは演技か地かw -
動植物の声が聞こえるツマと 背中に鳥のタトゥーのある小説家のムコは 結婚して田舎で暮らしている。
平穏な日々をおくる二人だったが、一通の手紙が届き、ムコが働く施設で介護していた老人が亡くなった頃から、気持ちがすれ違いはじめていく。。
予告編 http://t.co/E45M5vHP
役者の演技も素晴らしく、映像も美しく、西加奈子さんの原作を想像させるシーンは沢山あるんだけど、如何せん 話が難解すぎる。
たぶん原作を読んでないと理解できないと思う。
構成次第でもっとわかりやすくできると思うんだけど…。
たとえば、ツマがムコの○を執拗に○○くシーンも、原作ではこんなに長く痛々しい描写なのかな。
原作は読んでみたいと思ったけど。 -
原作未読。ただ、とても西加奈子作品らしい映画だと思いました。
ほのぼのとした田舎の若い夫婦の物語のような始まりですが、段々と不穏さが物語を覆っていきます。二人がそれぞれに抱える闇が明らかになるにつれて、それを観ている人に突き刺すような演出は、人間性をむき出しにして描く西加奈子の作品のそれで、なかなかに苦しくなります。
静かなハッピーエンドが、観た人の中でこの物語の続きに思いを馳せさせる作りになっていて、なかなか良かった。 -
原作はかなり前に既読。
その時の印象とはだいぶ異なるが
ロケーション、料理のシーン、空気感は好き。
本質的なストーリーは決して「面白かった!」って
ジャンルではなく、表現方法も含めて
観た人の感想が大きく異なるのは仕方がないのかな…