十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「十角館の殺人」
    多くの人が好きな作品に挙げる今作
    ハードルが高くなっていたのだが「紅蓮館の殺人」を読んでから、自分の中で推理モノブームが巻き起こっており「占星術殺人事件」を読みさらに加熱し、誘惑に勝てず…読む。

    凄惨な事件の起きた「角島」
    その島にある「十角館」にて、数日間の冒険気分で生活することになった大学のミステリサークルのメンバー
    だが…その島には事件を起こした犯人の霊が出るという噂が…

    こういう物語のお決まりである「一人ずつ死んでいく」単調な展開が続くかも…と思いきや…

    島の中(現サークルのメンバーと殺人鬼またはメンバーの中の誰か)に加えて

    島の外(元サークルメンバーの二人と探偵である寺の三男坊)
    にいる人物達が登場する。
    「探偵」である飄々とした男、何故か懐かしく感じる名前なのだが、それは置いといて
    この「島の外」の探偵達は「島で起きた過去の事件」と「サークルの飲み会で事故により亡くなった女性」について推理を進める。

    「島の中」にいるメンバーは徐々に追い詰められていくため「このままでは、探偵達が推理をしようの無い、全ての証拠が消えてしまうのではないか?」という緊迫感があり、引き込まれるように読むのが止まらなかった。

    動機は明確なのに、誰なのかがわからず…負けました。

    「仕掛け」っぽい要素は、目につくのに真相がわからないもどかしさ…でも、その分明かされた時の衝撃が大きかった。

    「推理にのめり込む探偵達」に被害者の気持ちや、他人の私情に入り込む権利(警察ではないので)についてモリス君が指摘してる。この辺りちょうどそのように感じていたので唸ってしまった。

    コレが噂の「館シリーズ」の一作目ですか…「占星術殺人事件」の時も思いましたけど、一作目が強力過ぎませんか?
    楽しませていただきました!

    朝読み終えたのですが、余韻が…
    ラストシーンが良かった。

    島田君が子供達の釣りを
    邪魔してたのが謎…

  • 再読。
    Huluで映像化・配信されると聞いて読み直した。改めて思うのは、どんでん返しの傑作には間違いないという事と、やっぱり映像化は無理では?という事。
    どんでん返しの名作はたくさんあるが、例のあの一行だけで「あっ!」という驚きと共に全てが分かるのはやはり秀逸という他ない。新本格ブームの契機となった綾辻行人のデビューにして最高傑作。

    さて、映像化作品がどれだけガッカリさせられるか一応観てみるとしよう。

  • 『誰かに勧めたいミステリー作品』等にかなりの頻度で載ってるであろう本作品。前々から気になっていたので、満を持して読んでみました。結果としては、予想を裏切らない面白さでした!かなり期待値高めでしたが、期待通りで大満足です…感動。

    【ザックリ概要】
    半年前に謎の四重殺人が起こったという孤島『角島』へ、大学の推理小説研究会・7名が合宿のために訪れる。本土との連絡手段を絶って無人島生活を楽しむ彼らに、連続殺人を示唆するような奇妙な事件が起こる。一方その頃、本土でも『四重殺人事件』と推理小説研究会に関係する奇妙な手紙が届く。
    孤島と本土で同時に進められる、臨場感溢れる溢れる本格ミステリ。

    【感想】
    登場人物たちが、みんな作家にちなんでるため最初は読みにくいなぁと思いましたが、慣れれば全然サクサク読めます!登場人物たちがミステリ研究会に所属しているせいか、所々鼻にかかったようなセリフが出てきますが、それもまた良いスパイスになっていたと思います。

    (以下本文抜粋)
    「それにね、僕は思うんです。たとえば殺意なんていう極端な感情を長く心に維持しつづけるのは、普通に想像するよりも遥かに大変なことだ、と。(中略)人間の神経はそれほど強靱にできてはいないと思うんですよ」

    読み終わってから、このセリフがかなり余韻を残しました。精神が強靭にできていないにも関わらず、殺意を持ち続けた犯人。四重殺人にしろ、ミステリ研究会員たちを襲う事件にしろ、犯人はどれだけ強い想いで実行していたのか…再読必須の小説です。また少し内容を忘れたら、もう一度(とは言わず二度くらい)読みたいと思います。

    • けんとさん
      コメント失礼します、本当に面白かったですよねこれ。
      抜粋されてるセリフ、何ページにありましたっけ、、覚えていらっしゃったら教えてください…!
      コメント失礼します、本当に面白かったですよねこれ。
      抜粋されてるセリフ、何ページにありましたっけ、、覚えていらっしゃったら教えてください…!
      2024/03/22
    • ずんさん
      コメントありがとうございます。
      共感してもらえて嬉しいです…!
      144ページだったかと思います。よければ探してみてください〜!
      コメントありがとうございます。
      共感してもらえて嬉しいです…!
      144ページだったかと思います。よければ探してみてください〜!
      2024/03/22
    • けんとさん
      探してみますありがとうございます!
      探してみますありがとうございます!
      2024/03/24
  • 14 「ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうがやっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック…絵空事で大いにけっこう。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。ただし、あくまで知的に、ね。」

    ----------------------
    感想
    シンプルにめっちゃおもしろかった!引き込まれた!

    お友達のオススメで初綾辻さん。
    名前はよく見かけていたし、東野圭吾さん好きなのでこーゆーミステリー系は好きなんだろうと思いつつもなかなか手が出せずにいた。

    ようやく読めましたが、面白い!!
    1987年の作品だけど、全面改訂のおかげもあってか読みやすく、違和感を感じることなく読むことができた。
    トリックも凝っているし、各登場人物のキャラも立っていて、ページをめくる手が止まりませんでした。
    本土と島を行き来する展開も引き込まれる。

    寝る前に読み始めると続き気になって寝れないので注意です!

    ほかの館シリーズやAnotherなども気になってるので読んでみます。
    綾辻さんでほかにもおすすめあれば教えてくださいっ

  • また買ってしまった(^_^;)

    やっぱりいい!
    再読なのにいい!
    フーダニットなのに!誰が犯人か私は知っているのに。それなのにこれだけ面白い!?

    再読でまずびっくりしたのが、コナンくん。
    ここに出ていたのね!?

    森須くんも、そうか!モーリス・ルブランなのか!って今さら(笑)

    煙草のヒントとか、一回目では気付きにくかったけれど、再読は別の面白さが盛りだくさん。

    綾辻先生の作品は本当に大好きだ!文章も素敵。話の進みかたもトリックも登場人物もあだ名まで、何もかも素敵だ!


    そうだ、若き日の私はこの本を読んで、絶対にエラリークイーンを読もうと思ったんだった。
    クイーンを読んだ後この作品を読むとまた一味違う!
    アガサのそして誰もいなくなったは既読だったが、これは絶対読んでおいた方がいい(*^^*)

    1日ちょっとで一気読み。最高の時間だった!!

  • 大好きな作品で、何度も好きな場面を読んではいたけど、久しぶりに最初から最後まで読み返した。
    改めて読んでみると、本土編が今後のシリーズに繋がるものすごく重要な話をたくさんしていて、初めて読んだ当時とは注目ポイントが全然違ったのが面白かった。なにより、中村青司についてこんなに色々語られてたんだと驚いた。シリーズを読んでから読み直すと、十角館の犯人も中村青司(の館)に魅入られたのかなぁとか思った。

    ちなみに個人的に好きなシーンでかなりマニアックなものは第十一章の事件の概要が新聞記事で出るところ。カタカナのニックネームで呼ばれていた面々が初めて漢字氏名で表記される部分。今まで洋風のそれこそ小説の中の物語だったものが一気に生々しくリアルな殺人事件に感じられる一方で、仰々しいニックネームで呼び合ってた彼らを所詮ただの大学生だと皮肉っているようにも感じた。この部分によって一気に小説の重みが増したような感じがしてなんか好きです。

    他のシリーズも改めて読み返してみようと思います。

  • おすすめでよく見る本だったし、Huluで実写化される話を聞いていたから図書館で借りた!
    でもプロローグを少し読んで、なんとなくどうだろうと思って続きを読むのを躊躇してたんだけど、読んでよかった!!
    7人の名前を覚えるのに一苦労して、相関図を書こうかと思ったけど、2日で読み切ったからぎり書かなくても覚えられて最後まで読めた!1日少しずつならメモしてたほうがいいかも!
    なんで続きを読もうと思ったかというと、ピアノの先生の家にこの本があって、別の本を貸してくれたからまず手元にあるこの本を読んでしまって図書館に返さないといけないからだ!

    とにもかくにもみんながおすすめするだけあって、おもしろかった!
    例の一文はまんまと「えっ!」と声に出たし、みんなにも「えっ!」て言ってほしくておすすめしたくなるのがわかった!
    どうやって映像化されるんだろう!3月22日が楽しみ!!
    ちなみに漫画がKindleで1巻無料だったから読んでみた!漫画ならぎりできるけど、アニメは無理だなと思った!
    ひとつだけ納得いかないところは殺しの動機が弱すぎる!そういう意見が多かったのか漫画もその部分変わってた!

  • 「映像化不可能」と言われてきた理由が、分かった!
    でも、映像化されたんですよねぇ…どうやって…?

    ただ、こんな手の込んだ殺され方するには
    そこまでこの子ら悪いことしたかなぁ?と感じたのと、犯人が想像の範囲内の人やったから、噂の1行はコレじゃなくて1番最後にもっと凄い1行があるんかな?と思って探してしまった笑

  • 再読です。

     おすすめミステリに必ずその名前が挙がる作品ということで読んだ。

     個人の感想としては、決して初心者向けではない。1回読んでから、そして誰も〇〇〇、館シリーズを制覇してもう1度十角館の殺人に戻ってきた。

     その間に、推理小説・ミステリの歴史や手法、定義(そこまで大げさではなく)を少しばかり知識として頭に入れた。そして、綾辻行人がどういった作家であるか。

     作品を楽しもうとする前向きな姿勢が読み手には必要だと思う作品でした。

     理解しようとすることで、自分にとってこの作品が推理小説・ミステリへの入門となった事に気付きました。

     名探偵、大邸宅、怪しげな住人、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック

     もうワクワクする脳になっています。

  •  大分県にある大学のミステリ研究会のメンバーは、合宿のために国東半島の沖合にある無人島を訪れる。角島は半年ほど前、島の主であった中村青司夫妻と使用人を含む4人が死亡し母屋が全焼する事件が発生した、いわくつきの土地だった。大学生の男女7人が宿泊するのは、離れとして火災を免れ、建築家でもあった故人・中村氏のこだわりを窺わせる十角形の風変わりな意匠の家屋である。到着から一夜明けた二日目の朝、ホールに集合した七人はテーブルに置かれた七枚のプレートに記された文字を目にして驚愕する。
     そのころ本土では、過去に研究会を退会した一人の学生宛てに異様な告発文が届く。差出人は、かつての角島の所有者で、死亡したたはずの中村青司だった。告発文の謎を解くべく行動を開始した学生は、やがて未解決とされている角島の殺人事件に直面する。

     本作を未読でアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』をお読みでない方であれば、できれば本書よりも先に当たられることをお薦めします。本作は『そして誰も~』にオマージュを捧げた作品であり、作品名は登場人物によっても度々言及されます。『そして誰も~』と同じく無人島を舞台にする本作は、先行する作品に対して大きくアレンジを加えて提示された作品といえるでしょう。

     ここからは雑感です。前述の通り本作は、無人島を舞台としたいわゆるクローズド・サークルといわれる外界と遮断された状況を扱う作品です。これに加え、並行して本土で過去の二つの出来事への調査が進行することが構造上の大きな特色として挙げられます。本作を有名にしたであろう大きな要素としては、やはり改訂版では一頁に一行で記述される有名な真相解明部分が挙げられ、ミステリ作品としての種明かしのインパクトが際立っています。他方でキャラクターの造形に目を移すと、全般に奥行に欠ける印象を受けました。そのことも関連して無人島における展開もスリリングさに欠ける淡泊なもので、登場人物たちの心理描写も手薄に映ります。

     SNSで数多くの評判を目にしたことが読書のきっかけになりました。実際に読んでみた感想としては、ミステリの魅力として重要な一要素である、読み手を驚かせるという点において秀でた作品として読むことができました。一方、ミステリという枠にとらわれずに一介の小説作品として見ると、前述の人物造形や展開の淡泊さに加えて犯行動機なども合わせて考えれば、とりたてて深い印象を残す作品ではありませんでした。

    <登場人物(合宿参加者)>

    【エラリイ】
    男性、法学部・三回生。
    背の高い色白の好青年。饒舌で自信家。キザなところがある。ミステリ研究会の会誌の現編集長。

    【カー】
    男性、法学部・三回生。一浪。
    中肉中背で首が短く猫背。単独行動が目立つ。研究会の女性にフラれたという噂がある。

    【ルルウ】
    男性、文学部・二回生。
    童顔に丸眼鏡の小男。茶目っ気がありムードメーカー。会誌の次期編集長。

    【ポウ】
    男性、医学部・四回生。
    大柄で濃い髭を生やしている。無口だが毒のあるセリフを吐く。大病院の跡継ぎ。オルツィとは幼馴染。

    【アガサ】
    女性、薬学部・三回生。
    美しい容貌。陽気で自信に満ちあふれている。性格は男性的。研究会の女王的な存在。

    【オルツィ】
    女性、文学部・二回生。
    小柄で太めの体型。大人しい性格。劣等感が強く、とくにアガサを意識している。

    【ヴァン】
    男性、理学部・三回生。
    控え目なタイプ。両親を早くに失くしている。不動産業者の伯父が角島を所有。準備のため先行して到着。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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