夢を与える (河出文庫) [Kindle]

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 9
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感想・レビュー・書評

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  • ゆうちゃんが転がり落ちるあたりから読むのが辛かった。でも最後の週刊誌とのインタビューの場面で少し救われた気がした。メディアで見る芸能人へのイメージほど勝手なものはない。事務所や企業の戦略に乗っかってイメージだけが独り歩きして、実態は何一つ伝わってこないし、多分伝わってはいけないんだろうな。人に夢をみることの愚かさを描いた作品という印象。

  • ネタバレになってしまうかも知れないが,端的に言って,キッズ・モデルから初めて,長期契約のTV CMにも採用されて徐々に人気と成功を掴んだ少女の芸能人・阿部夕子がスキャンダルにまみれ転落していくお話。
    はっきり言って芸能界のリアルなどわからないので,こういうのが真実に近い世界なのかはわからないが,そこそこの現実感は感じる。
    高校入学くらいまでは超絶な多忙の中,しっかり考えて行動して賢い子だなと思っていたら終盤はもう手のつけられないただのバカになってしまって読むのも辛い感じに。女性は恋愛であそこまで頭が悪くなれるのだろうか。本当に浅はか。17歳位の女の子だからとか言う意見もあるかも知れないが17歳にもなれば普通にわかっているようなことが分かっていないと感じる。何しろ今や18歳で成人だからね。ずっと芸能界にいると非常識になるのかも知れないが。本書の出版されたのは10年前だが,最後のスキャンダルは今やあんなものではすまないだろう。一応ネットに流出したことになっているが,今ネットにあんなものが流出したら手がつけられない事になる。恐らく芸能生命が絶たれるとかでは済まない。ここ数年も芸能人がスキャンダルで,CMの違約金がどうのというニュースが多いわけだが,この作品ではそこまでは語られない。10年前だからだろうか。
    だいぶ前にWOWOWでドラマ化されたのを知らなかったと思ったら,しっかり録画してあったのを見つけた。主演の女優さんが特に好きな人でもなかったので見なかったのだろう。
    しかしまぁ終盤はイラつきしか感じない展開だった。展開がバレバレで読むのが辛くてさっさと破綻してしまえとさえ思った。精神衛生上良くない。

  • 終わり方、きつかったなあ……!でもいろいろ考えさせられる話だし、やっぱり描写はお上手だなあと思う。まるで芸能人であることが普通かのように思ってきちゃうもんね……どうあれ、と分かりやすく定められない存在だなと思う。タイトルの皮肉さ。

  • よくある「墜ちていく」話しかと思ってたけど、主人公の夕子と家族のキャラ設定が固くて最後までブレなくて、歳や年月や慣れとともに変わったりしなくて、そういうところが面白かった。ラストは読めるけど、細かい過程が読めない、というか。
    でもだからこそ、終わり方があっけなかったなぁ、と。よくある芸能界の狂気に墜ちていく、みたいなのじゃなくとよかったけど、あっさりしすぎていた感じがあった。
    というわけで、読後に不満残ったんで評価は★2

著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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