小説 体脂肪計タニタの社員食堂 (角川文庫) [Kindle]

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  • ダイエットにまつまわる物語です。

    体重100㎏・体脂肪40%の4人が、
    嫌々ながらダイエットに取り組み始め、
    結果が出始めるや途端に本気になり、
    停滞期で投げ出しかけるも何とか踏ん張り、
    身体が変わると自信がついて心まで変わる物語です。

    よくあるといえばよくあるストーリーですが、
    これが読ませます。

    理由は3つです。

    1つは個人的な理由です。
    気になるテーマだからです、ダイエット!
    さすがに100㎏・40%とまではいきませんが、
    健康診断の度に居残りで健康指導を受けています。
    食べる量と質。
    スポーツをやっていた頃の大盛と脂のクセが抜けません。
    こってりとしたものを好きなだけ食べてしまうのです。
    ダイエットの基本は分かっていても、
    取り組み始めて比較的すぐ出る成果も、
    停滞期で陥りやすそうな罠も知っているのに、
    一緒にダイエットしている気になります。
    応援したくなるし、自分も頑張ろうと思わされます。

    2つ目はこの物語の舞台が、
    体脂肪計で有名な会社・タニタの社員食堂だからです。
    実は主人公はダイエットする方ではなく、
    させる方の社員食堂の栄養士です。
    500キロカロリーでも食べ応えがあるレシピを、
    必死に考えだします。
    タニタ食堂のレシピ本は一時話題になりました。
    もしかしたら実話?と思わせる臨場感があります。

    そして最後は、この本が映画の原作本であり、
    作者が劇団主宰者である点です。
    まるで映像のシナリオのような形で、
    コンパクトな言葉で物語が綴られています。
    映像的で登場人物が目の前に浮かんできそうです。
    さくさくと読み進められます。
    会話のやり取りが上手くて、印象的でもあります。

    ”「たかが食べもんのことで・・・・・・、
      なんでこんなに苦しまなきゃならないんでしょうね」”

    真剣に取り組むことは、時に当事者にとって悲劇であり、
    他者からすれば喜劇に見えます。
    ダイエットといえば面白おかしくも聞こえますが、
    考えようによっては生活習慣病予防の食事療法です。


    ”「要は、自覚さえすればなんでもダイエットなんですって」”

    ダイエット以外にも通ずる言葉かもしれません。
    日々をていねいに生きる、
    自分と世界を自覚して生きるということだと思います。
    なんとなく日々を過ごすのではなく、
    どんな些細な事も自覚して接すると違って見えてくる、
    分かっていてもなかなか実践できないことでもあります。


    ”「やっぱ自分を見放さないってことだよね」”

    できなかった自分に落ち込んで、
    自暴自棄になって失敗以上の罰を自分に与えてしまう。
    もういいやと全部手放ししてしまうことってあります。
    失敗をただ失敗とだけ受け止めて、
    そこからまたリ・スタートすればいいのかもしれません。
    パーフェクトにはできないのだから、
    つまずきながら日々の平均点を挙げていくことが、
    大切なんだと思います。
    大上段に構えず気楽に失敗してもへっちゃらだ!
    という気持ちでとにかくやり続けていきたいです。

    表紙の優香さんの笑顔を見ていると、
    何だかそんな風にできる気がしてくるから不思議です。

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