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感想・レビュー・書評
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ざっくりと理解するにはいい。
特に聖書と関係ない話が、ところどころ入るのだが、それがあるおかげで読みやすくなっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
稗田阿礼は旧約聖書を読んだに違いないと 確信した。するといみじくも著者自身が
古事記を引き合いに登場させて来たので そこで私もこのエッセイを置いた。
信仰を持たぬものが幾ら読んでも理解できないと凡人はギブアップ宣言 -
ユダヤ人を定義するのは単純ではない。
アブラハムから始まる一族の物語は、神によって提示されたカナンの地に移り住んだところから、ヘブライと呼ばれるグループになっていく。ひ孫ヨセフがエジプト王に重用されたためにナイルへ移ったときもあったけれど、時代が下るに連れてそのエジプトでは疎まれ迫害を受けるようになってしまう。モーセによって彼らは立ち上がり、エジプトを逃れ、民族の約束の地カナンへと向かうのが出エジプト記(BC13頃)。モーセと神の間に十戒という契約が結ばれたのもこのときだ。紆余曲折しながら他民族との土地争奪戦を勝ち抜いた結果として、再度カナンに居を据えた。ヘブライグループは成功して拡大してイスラエル王国となっていく(BC10頃)。最盛期の伝説的な王がダビデとソロモン。しかし、エルサレム神殿建設などの放漫な財政が祟ったために隆盛も下りを迎えていく。ソロモンの後継争いの揉め事で王国が分裂、12あった小民族が北のエルサレム王国と南のユダ王国(首都エルサレム、ダビデの後継)とに別れてできあがる(BC930)。周辺に強国が勃興してくる。北エルサレムはアッシリアに攻められ滅亡。南ユダもバビロニアに滅ぼされ、ヘブライ人たちはみなバビロンに連行されてう(バビロン捕囚、BC586)。のちに捕囚を解かれ帰国を果たすも、変転していく宗主国への従属の下で、一時は王国を再建するも内部分裂によってまた崩壊していき、遂には国をまったく失ってしまう。1948年にイスラエルが建国されるまで、彼らは2千年を云うに超えてディアスポラ(撒き散らされたもの)となった。“ユダ王国の遺民”、それが民族的に捉えられるユダヤ人だと言える。
この民族的郷土を失い、ばらばらになるしかなかったユダヤ人たちを繋ぎとめてきたのが、ユダヤ教だ。
モーセが石版に刻んだ神と約束した「十戒」が、ユダヤの国教、現在の(旧約)聖書になっていく。十戒に示された「律法」は神(ヤハウェ)からユダヤ人に与えられ、それを守ることで、選ばれた民のユダヤ人は神からの救済を受けることになる。その契約が結ばれているということだ。ユダヤ民族の最高のとき、ダビデソロモンの時代に、ヤハウェ信仰が形を為した。それは絶頂を迎えつつある王統の正当性を確固たるものにするための最も有効的な手段が取られたということだ。天地創造、アダムとイブ、カインとアベル、ノアの方舟、バベルの塔。神の血統はアブラハムに繋がるのが創世記。神の物語をまとめそれに連なるユダヤの民という民族のよすがと信頼、そしてそれを約束するのが聖書、という形になっていく。
神を信じ、律法を守り、生きていれば、私たちユダヤ民は救済される。救世主(メシア)が現れてくれる。この信仰は、何度も国を失い、遺民であるばかりの歴史の中に生きてきたからこそ、彼らの真ん中に据えられ、民族的憧れとして、強く結びつけ続けることに働いてきたのではないだろうか。
紀元頃には、ローマ帝国が彼の地を支配していた。ユダヤは属領となっていた。そこにキリストが生まれてくる。キリストはギリシャ語における「救世主」という意味だ。 -
この本は旧約聖書の主要な物語を、聖書になじみのない人にも大変わかりやすい形で紹介していた。時折作者の体験談を交えたり、とっつきにくい話をユーモラスに表現したりしていて、すらすら読めてしまった。
旧約聖書は多くの神話が書かれているのかと思っていたが、それだけでなくイスラエス民族の建国史や近隣諸国との紛争なども書かれていた。また、旧約聖書が西洋の文化や思想に大きな影響を与えていることもわかった。これを機に、西洋の歴史や中東問題等の本を読み、知識を深めていきたいと思った。 -
旧約聖書の要所を、著者のコメントが時々混じりながら、分かりやすく解説してくれる書籍。
書籍にも書いてあったが、もちろん原著を読むのが最も良い。だけど、ビジネスパーソンが読むにはボリュームと難易度が著しく高い。しかも即応用できる類のテーマではない。そういう時に、基本知識をインプットするのに最適だった。