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感想・レビュー・書評
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猫町倶楽部課題図書を当日になってようやく読了。言わずと知れた20世紀アメリカ文学の代表作で、初読は一昔前に村上春樹訳がでたときくらい。最近また光文社古典新訳文庫からも新訳がでたようだが、イマイチ評価が良くないようだ。今回は1957年初版という野崎孝による古典訳がちょうどKindle入りしたので、その野崎訳で読んで見た。いかにも文学部教授と言った感じの硬質の訳文で、決して読みやすくはないがそれはそれで時代がかっていて面白い。
キャラウェイやギャッツビーの、東部文化へのアダプテーションを中心に論じられることが多いが、個人的にはトム•ブキャナンが妻と愛人の二人を同時に失いかけて狼狽するスノッブぶりや、そこから急展開する物語のスピード感が好きだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世間体ばかり気にする、人生の初めが辛すぎてダメ人間になった話。オックスフォード以外に自慢出来るところないと貴族たちにさりげなくバレバレが印象深かった。確かにその手の人は沢山いるけど、実力備えた人からしたら、それ以外なにも自慢出来るところないのかなと疑うから変な自慢はやめた方がいい。
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無数の流麗な文章表現の中に、ときに作家の鋭い知性を感じさせる箇所がいくつかあって印象的だった。
狂騒の20年代と呼ばれる当時のニューヨークの世相をよく伝えていて、我々の見知らぬ世界、バブリーな空気感を肌身に感じられたのは興味深い体験だった。 -
退屈な小説だった。もし私がアメリカ人だったら郷愁や寂寥感を肌感覚で実感できたのかも知れんが。
何も持たない男が一人の女の愛を得るためにどんな手でも使って成り上がる、という価値観がもう私には理解できなくなっているのだろう…。怖っ、みたいな。
でも主人公の感覚や心情描写にはちょっと驚くほど共感できた。「終わりの始まり」というものへの感慨が自分にもあるからかな?
あとギャツビーを語り手とするのではなく観測者の視点から描写するのは今のキャラクター消費のやり方にも通じるものがあるように思う。ギャツビーを推してるニックを見てる俺(読者)。みたいなコンテンツとして成立させられなくもない距離感というか。推しと自分の関係をつい思い起こしてしまった。
ギャツビーの描写には色々怪しい点があるように思えてならない。急に消えたり現れたり、本当に存在してる?亡霊だったりしない?と疑いながら読んでいた。そもそもあいつ偽名だしな。虚構に生きる刹那い人物だからギャツビーを「解釈」しようとすることは雲を掴むようなもの。彼の存在が主人公以外の人物に何も残さなかったと言わしめているのがかなしい。そんなことってある…?
とは言えアメリカン・ドリームの地縛霊みたいな解釈もされているから、アメリカンマインドに残る何かきらめく概念なんやろうな。一つの時代を象徴に託して有終の美を体現できる作品はロマンがあるね、超てんちゃん!
この作品については先人達が散々考察し尽くしてきただろうし、今の私にわかるのは、この文学がアメリカの地に産まれたことに大きな意義があるということ、そして100年近く経った今も色褪せない繊細で映像的な描写が素晴らしいということぐらいだ。 -
華やかな世界を求めたギャツビーの純粋さ、そしてその世界の空虚さが主人公の目から語られる。アメリカ人の好きな古典と聞いていたので、思った以上にシニカルで驚いた。生来の上流階級を空虚なものと捉え、自身の才覚だけで成り上がるギャツビーへの眼差しの暖かさ、中西部的な素朴さへの愛着を思い出すということが、アメリカ人の感覚にフィットするのかもしれない。しかし戦間期のアメリカって独特の雰囲気を持ってるよなぁ。ガーシュインが脳内テーマになりながら読んでました。
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これぞ文学、観察的でありながら詩的。言葉の力を感じる。ギャッツビィのひたむきさと想いがとても色っぽく切ない。ただ、時代感についていけず共感しきれなかった。
彼は深い理解のにじんだ微笑を浮べた――いや、深い理解のにじんだと言ったのではまだたりぬ。それは一生のうちに、四、五回しかぶつからぬような、永遠に消えぬ安心を相手に感じさせるものをたたえた、まれにみる微笑だった。一瞬、永劫に続く全世界にむかって微笑みかけ――あるいは微笑みかけるかに見えて――次の瞬間、相手の面上に集中し、あらがいがたい過分の好意をたたえて微笑むのだ。ちょうどこちらが理解してもらいたいだけの理解を表わし、信じてもらいたいとおりの信頼を示す微笑。こちらがひとに与えたいと思う最上の印象を、まさにそのとおりぴたりと受けたとそれは相手に信じこませるのだ。 -
再読
した理由は野生の息吹
アメリカ文学の一面を代表する作品で
なぜジェイ・ギャッピーが偉大であったのか
訳文でも伝わる美しい表現で教えてくれる
一冊を持って
お話の筋書きでも文章芸でもなく
ひとつひとつの表現の連なりが納得を生み出す偉大な作品
青春小説でなく教養小説としたい気持ちが良く分かる傑作 -
2018/10/15
大切な人を手に入れたい一心だったのかもしれないなぁ
そう生きてみたいかも