卵の緒 坊っちゃん文学賞 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 不思議な親子関係の主人公。
    本当の親子じゃないような 感じだがどういう展開になるのか?
    大きな波はないものの 淡々と時間が流れていって
    ハッピーエンド。
    あっさり終わりました。

  • 「親子の絆はへその緒でも卵の殻でもないこともわかった。それはもっと、掴みどころがなくてとても確かなもの。だいたい大切なものはみんなそうだ。」

    血が繋がっていなくても、親子は親子。言葉で説明できるほど単純なものではない。
    その感覚がこの文章にうまく表現されている。

    子どもに聞かれたことに、自分の信念を持って答える母親の姿が素敵だなと思った。
    当たり前の答えを教えるのではなく、自分の答えを子どもに伝える、その姿勢から学ぶものがあった。

  •  かわいらしくて愛おしい、普通じゃない家族の「家族小説」といった感じでしょうか。

     kindleで無料でダウンロードしたものの、完全に積読に……。著者である瀬尾さんが、本屋大賞を受賞されたのをきっかけに、ようやく読みました。

     通常は2編収録されているみたいなのですが、無料だったためか、収録作品は表題作のみ。なので、『卵の緒』だけの感想です。

     上でも書いたのですが、登場人物がみんな、どこか可愛らしい。主人公の語り口もそうなのですが、登場人物みんなあったかいのです。

     しかし話の内容自体は、書きようによっては、いくらでもシリアスにもっていけそうでもあります。

     なぜなら、お母さんと主人公はどうやら、血が繋がっていないらしい。しかも、お母さんはかなり若く、職場の同僚の男性を家に連れてきます。その上、主人公の友人は不登校。

     こうやって書くと、なんだか問題だらけの登場人物たちのように見えます。でも、話は暗い方向には向かいません。とにかく暖かいのです。

     そこから僕が感じたのは、世間でいう”普通”だけが、幸せではないということ。血のつながりがなくても、学校で会えなくても、そんなことは関係ないのです。ただただ好き。ただただ楽しい。それは軽々と、世間の普通を超えて、普通以上のつながりになり得るのです。

     物語の終盤、お母さんが主人公に、主人公との出会いについて語ります。理屈で割り切れない、無償の好きという感情の大きさを感じます。

     気持ちが疲れたとき、この小説をぜひ読んでみてほしいです。
     
    第7回坊ちゃん文学賞

  • 瀬尾まいこさんデビュー作。育生と君子の不思議な「親子」の物語と、七子と七生の不思議な「兄弟」の物語が、家族という名前の枠組みで括られた2作の小説。

    瀬尾さんの、普通のようで普通じゃない日常を丁寧に描いていく世界観が大好きだ。文庫版はあさのあつこさんのあとがきまで含めて秀逸で、最高でした。

  • 君子から育生、七子から七生への純粋な愛に感動した。

    自分もそういう愛を持った人間になりたいと思った。

  • 『卵の緒』と『7's blood』の2作品が収録されてます。どちらの話も独特な家族の形だけど愛情たっぷりで、本当に大切なのは血の繋がりじゃなくて相手を思いやる心なんだなと思わせてくれるお話でした。7"s bloodの方が好みでした。

    『卵の緒』
    →主人公は小学生の男の子。
    自分にはお父さんがいないし、親子の絆だというへその緒もないから、自分は捨て子だと思い込んでる。愛情たっぷりに育てられてるのにね。

    『7's blood』
    →主人公は高2の女の子。
    父親が病死してから母親と2人暮らしなんだけど、父親の愛人の子である腹違いの弟も一緒に住む事になる。小学生なのに落ち着いてるし、人の顔色を窺ってるようだし、無邪気さゼロ。子どもらしくない事に腹を立てるけど、少しずつお互いを理解し合って、姉弟が仲良くなっていきます。2人とも幸せになって欲しい。

  • 「あと少し、もう少し」を読み終わった後、Netflixで「そして、バトンは渡された」の映画を観た上で原作を再読した後、更に瀬尾まいこさんの本が読みたくなって読んでみました。

    何となくテイストは「そして、バトンは渡された」に近いところもあるけど、文字が大きめでかつ文章短めの短編が2作という事で、デビュー作という事もあるのかも知れませんが全体的にあっさりした感じで正直余り好みでは無かったです^^;。ただ、強いて言えば2話目にある「7’s blood」の方が好みだったかな~。

  • 血のつながりがなくても、家族としてお互いに思いやりを持って信頼し合って繋がっていける・・という、瀬尾まいこさんの世界観が大好きです。

    こういう世界観を信じたいと思う今日この頃。

  • 二つの話が入っていて、どちらも素敵だった。
    私は、二つ目の話の7’s bloodが印象に残っている。
    まず、登場するお母さんがとてもすごい人だと思ったし、
    お母さんが亡くなってからのお父さんの愛人の子供である
    七生との生活も愛おしかった。
    この二人の関係をずっと見ていたいと思ったけど
    別れは来てしまうもので、最後の場面のキスは切なくて
    だけどとても愛のあるものだと感じた。
    血が繋がっている人って、どんなに離れていても
    どこか繋がりがあるのはそんな人だけだ。
    きっと二人の間には強い愛がずっと心にあるのだろう。

  • 記録

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

瀬尾まいこの作品

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