- Amazon.co.jp ・電子書籍 (19ページ)
感想・レビュー・書評
-
最近統一教会の問題が話題になったり、創価学会が政治に多大な影響を与えていたり、親戚に天理教の人がいたりすることで、なんとなく新宗教について関心を持っていたが、深く勉強したことがなかった。
著書を読むことで新宗教のでき方を理解できたり、種々ある宗教もそう変わり無いのだなと思った。
結局人が何かに縋るときは、本当に絶望してどうしようもない時ではなく、未来に幸福が待っていると信じられるときだけなのだと。
明治維新後の復興や戦後の復興の時には信者は増えていたものの、経済低迷代においては信者が増えてきていないことにも納得がいった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
代表的教団の教祖誕生から死と組織分裂、社会問題化した事件と弾圧までの物語をひもとく
-
主な新宗教を取り上げてその創始者、歴史、特徴を分かりやすく解説する。取り上げられているのは、天理教、大本、成長の家、天照皇大神宮教、PL教団、立正佼成会、霊友会、創価学会、世界救世教、真如苑、GLAなどである。組織家と霊感者のペアで創立された教団が多い。スピリッチュアルなものが求められる現在だが、既成新宗教は一部を除いて勢いがない。やはり高度経済成長に伴って伸びてきたのか、現在の低成長の世の中では関心を引かないのかもしれないな。
-
10大というタイトルで十章から成るが、一章に複数の団体を取り上げている場合もあるため、実際に紹介されている数はもっと多い。章として取り上げられているのは以下の通り:
天理教/大本/生長の家/天照皇大神宮教/立正佼成会・霊友会/創価学会/世界救世教・神慈秀明会・真光系教団/PL教団/真如苑/GLA
本書ではオウム真理教のように反社会的活動に走ったいわゆるカルト教団は除外している。しかし反社会的でない団体はニュース等で大きく取り上げられることも少ないためか、思ったより知らない団体が多かった。
私が聞いたことがあったのは上記のうち5つだけだが、知らない団体でも何十万人もの信者を抱えていると言い(どこまで実数か疑わしいが)、想像以上に普及しているのだと感じる。とはいえ身近にいる新宗教の信者と言えば創価学会くらいしか心当たりがないので、特定地域や階層に集中しているのかもしれない。
本書を通読して印象に残るのは、どの新宗教も既存宗教から分裂したり教義や布教手法を取り入れたもので、まったく無の状態から立ち上がったものはないこと。そして企業から企業がスピンオフするように新宗教からさらに別の新宗教が独立するパターンが多々あることの2点だ。宗教も発展するために必要な要素はビジネスと同様なのだと思える。 -
世直しの思想や終末論を強調し始める時が、その宗教がヤバい時というのは、覚えておこうと思う。
-
宗教についてはあまり知らなかったのでかなり勉強になりました。説明が淡々としていて客観的な感じが好感が持てる内容でした。宗教はとかく感情的な感じが強くて、それゆえにうさんくさく感じるのですが、それがなく信用して読むことができました。
-
-
-
天理教、大本、生長の家、創価学会、霊友会、真光、PL、真如苑……と、おもな「新宗教」の生まれ・生い立ち・成長過程をざっくりと解説。週刊誌などで「芸能界の黒幕・真如苑」みたいにおどろおどろしく取り上げられたりもしているが、そういうアオリ系の書き方ではない。すこし離れた立ち位置から、あまり批判的にもならず、かといって肩入れもせずに淡々と、教団の歴史・教祖の姿・現代への適応を描いていく。
新興宗教を起こすだけでなく、「10大」といわれるくらいに大きくした創始者たち。さすがにパワフルで、突き抜けてる。そーいう「新宗教異人列伝」ふうに読んでいけるおもしろさがある。「聖人君子」というと「おもしろみのない人」という意味だが、ここに出てくる聖人さんたちはかなりパワフルだ。大本の出口王仁三郎のところにある〈暑いときは、素っ裸で仰臥し、天井から洗濯ばさみを紐でぶらさげて、脱脂綿をあてた睾丸をはさんでもちあげ、それを信者に団扇で扇がせていた〉というエピソードには笑った。ほかにも天理の中山みきとか、天照皇大神宮教の北村サヨとか……一種の怪人というか、怪物だったのだなー。
実績のある研究者が、大衆向けにエッセンスを書きましたという、新書の見本のような一冊だ。