ルポ 資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄 [Kindle]

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  • 東洋経済新報社
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  • 刊行されてから10年以上経っているのでちょっと古いが、いまだにちゃんと読める、読むに値する渾身のルポタージュ。著者は毎日新聞の現地特派員。アフリカで過ごした4年間の各地での取材が記されている。

    圧倒的な経済格差のために治安が崩壊した南アフリカ。
    産油地帯で生まれる暴力に翻弄されるナイジェリア。
    豊富な資源に翻弄されて秩序が破綻したコンゴ民主共和国。
    石油利潤による人道危機に脅かされるスーダン。
    政府が消滅してしまったソマリア。

    10年が経った今も、著者が取材したこうした国々の問題は解決されていない。悪化したところも、きっと多い。

    資源開発が格差を生み出したと聞くと、短絡的に「利益だけを追求して現地に侵入した外国企業が悪い」とか、「外国からの利権を独占する特権階級が悪い」などの極端な主張に走りがちだが、人の世界の問題はそれほど単純な図式ではない、というのが、この本を読むとわかる。いや、「分かったつもりになるけど、やっぱりよく分からなかったり、むしろ疑問が深まったりする」ことが分かる、というのが正確か。

    著者が取材した人々の中には、我が身を売られて売春を強要されている女性や、武装勢力に目の前で子どもを射殺された男性、民兵に両眼をえぐられ全盲になってしまった男性など、その悲劇を想像するだけで胸が張り裂けそうになる人たちもいる。月並みだが、「悲劇を知ること」と「その問題意識の中で、日本にいる自分ができること」を、こういう類の本を読むたびに意識させられる。

  • 自分がいかにアフリカについて無知で無関心であったかを痛感した。事細かに取材されている良書。
    定期的に読み返したい一冊。

  • 長編なので、途中飽きてしまうところもあったが、知らないアフリカの実情が知れ、コンゴ、ナイジェリアなどの政治情勢がわかって、勉強になった。
    特にソマリアについての流れが把握できよかった。
    めちゃめちゃな無政府状態のソマリアの記述はゾクゾクした。

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著者プロフィール

1970年生まれ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社でヨハネスブルク特派員、ワシントン特派員などを歴任。2014年に三井物産戦略研究所に移り、欧露中東アフリカ室長などを経て、2018年から立命館大学国際関係学部教授。『ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄』(東洋経済新報社と朝日文庫)で2010年の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞。著書に『日本人のためのアフリカ入門』『アフリカを見る アフリカから見る』(以上、ちくま新書)、『はじめてのニュース・リテラシー』(ちくまプリマー新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授を兼任。

「2021年 『はじめてのニュース・リテラシー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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