ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(上) [Kindle]

  • 早川書房
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  • カントの主張
    傾向性や快楽を追うなどの外から与えられる目的を実現する手段として行動するのは「他律的」な意思決定→誤り

    自らが与える法則に従って、それ自体を目的として「自律的」に行動する→正しい生き方
    だから他の人の福祉や幸せのために人を使うのは間違いである。これが功利主義が間違っている本当の理由

    行為の道徳的価値は動機(義務)で決まる。
    重要なのはその人が正しい行いを正しい理由ですることだ。

    仮言命法と定言命法の違い
    「もし好意が、単に別の何かのための手段として飲み良いのであれば、命法は仮言的である。行為がそれ自体に良いと示され、それが理性と一致している意思のために必要であるなら、命法は定言的である。」

    「政府や法が存在しない状態でも、私有財産権は生じる」by ロック

    政府を作る目的は所有権を守るため。
    しかし、何を持って所有権とするか、どうやって生命や自由を尊重していることになるのかを定義するのは政府である。

    私たちは生まれると社会に従うという暗黙の同意がなされていて、それを放棄することはできない。

    私たちは同意する際に権利を放棄することができないから、政府は制限される。それが正当な政府に関するロックの説明の真髄

    リバタリアンはとロックの考えは別。
    ①権利は不可譲だから、結局自分自身を本当に所有していることにはならない。

    ②一度同意に基づいた正当な政府が誕生したら、ロックが考える唯一の制限は生命や自由、財産を恣意的に取り上げることだけだ。
    しかし、それが公正な手続きによって正式に選ばれたものなら、課税であろうと徴兵であろうと権利の侵害にはあたらない

    自由に行動することは、自律的に行動することてむある。
    そして自律的に行動することは自分自身の与えた法則に従って行動することであり、食べたり飲んだりする欲望などといった、物理的な法則や原因と結果の法則に従うことではない。

  • - 優しい話はしていないが、講義録でもあり置いてきぼりにならずに読ませてくれる。
    - 簡単な正解はないのだが、様々な立場の主張の対峙を見ることで色々な刺激や思考を引き起こす本。噛み締めて読むべき本。
    - ***
    - 私たちが同胞市民の道徳的・宗教的信念を尊重する方法は、ほかにもある。  それを無視するのではなく、それらに関わり、関心を向け、ときには挑み、競い、そしてときには、耳を傾け学ぶことだ。
    - 講義の最初にこの場所に集まったとき、私は政治哲学を称賛するとともに、その危険性について話した。  つまり、「政治哲学がいかに私たちを慣れ親しんだものから遠ざけ、私たちの安定した前提を不安定なものにするか」という話だ。  私は、「一度慣れ親しんだものが見慣れないものに変わると、それは二度と同じものになることはない」と君たちに警告しようとした。  君たちが、多少はこの不安を経験してくれていればいいと思う。なぜならこの不安は、批判的な考え方や政治的な改善、そしておそらく道徳生活さえも活気づけるものだからだ。
    - 私が、素晴らしいと感じたのは、みんなが異なる見解を示し、みんなが心に深く根差した信念によって異議を唱えながらもなお、お互いの意見に耳を傾け合ったということだ。そして、問題の根底にある道徳原理を探ろうとして議論してきたことだ。我々は問題を解決することはなかった。しかし、ディベートや道徳的議論、公共の討議は、大抵の場合、全員の合意を得られるものではないだろう。
    - 政治において意見が合わないとき、道徳や共通善、正義が直面する大きな課題について決して同意することがないのに、どうしてわざわざ考え続けるのか、と言われることがある。  ある意味で、それは正しい。哲学は不可能に見える。なぜなら偉大な哲学者が、何世紀にもわたり著述してきたのに、合意に達していないし、結局彼らにも結論は出せなかった。では、どうして我々が、それ以上にできると自信を持てるのか?  私の答えは、哲学はある意味では不可能だが、決して避けられないということだ。我々は毎日、その問いに対する答えを生きている。これが哲学者たちの問いだ。

  • 2010年にNHKで放映された『ハーバード白熱教室』の内容を書籍化したもの。基本的な内容はマイケル・サンデル自ら書いた『これからの「正義」の話をしよう』と同じ。時系列的には以下となる。

    2005年 『ハーバード白熱教室』の講義を収録
    2009年 アメリカで『これからの「正義」の話をしよう』が出版、PBSで『ハーバード白熱教室』が放映。
    2010年 日本で『これからの「正義」の話をしよう』が出版、NHKで『ハーバード白熱教室』が放映、東大でサンデルが講義、本書の元本が出版。

    本書の特徴は講義が一つ終わるごとに日本人向けとして小林正弥教授の解説が入ることと、おまけとして東大講義の内容が入っていることである。『これからの「正義」の話をしよう』を読んでいない人は本書の方が分かりやすくていいかもしれないが、既に読んだ人は新たに得られるものはほとんどない。

  • 功利主義「最大多数の最大幸福」byベンサム

    財産の所有権は自然権。高取得者の財産に対し政府は課税を強制できない。自然権は不可譲。自らの命すら神に授かったものなので自殺もダメだよ。byジョンロック

    行動自体が定言的に善であるべきだ。byカント

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著者プロフィール

1953年、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。アメリカ合衆国の哲学者、政治学者、倫理学者。ハーバード大学教授。

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