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- / ISBN・EAN: 4988113765138
感想・レビュー・書評
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☸テロに屈せぬ頑強な想いとの狭間で…☸
本作は公開当時に劇場で観賞しました。164分という長丁場の作品でしたが、どんどん引き込まれていき、中盤ごろからは座席でしだいに固まっていく自分を感じたのを覚えています。
男優陣の演技ががっちりとタックルを組みストーリーを丁寧に仕上げており、上質なハードさをもって展開していく様はとても見応えがあります。
お恥ずかしながら今になり知ったのですが…
本作に、今や大物男優さんとなったダニエル・クレイグ氏やキアラン・ハインズ氏もご出演されていらしたのですね。
更に『アメリ』でトトゥが恋をする青年役に扮したマシュー・カソヴィッツさんも出演。
他には、“潜水夫は蝶の夢を見る”“さすらいの女神たち”で非常に良い演技を見せて下さった、
マチュー・アマルリック氏(この方とても好きです)が良い味を添えていらっしゃいます。
《報復*抹殺》=プロの殺戮というものがリアルに再現されており驚愕します。
個人的に驚愕したシーンとしては…
吹き矢のような物によって女性諜報員が肌も露わに殺害されるシーン。
このとき、僅かな時間差を以って彼女の咽喉付近から鮮血が溢れだすという演出が施されているのを見て、
思わず身がすくみました、あまりにもリアルでしたので…
殺害後、薄いガウンが肌蹴け彼女の下半身が露出しているのを庇って、一度は肌蹴たガウンを元に直してやるのですが…
メンバーが再度ガウンをめくり上げ、彼女の下半身を故意に露出して立ち去る、という演出になっていました。
こうした辺りにふと、“見せしめの刻印”を残しているような? そんな想いがし鳥肌が立った場面でもあります。
短いシーンですがそこに暈しが付加されていない点なども作品の品位を損なわせていません。
◆エリック・バナ氏が扮するアヴナーがテロに屈せぬ頑強な想いで任務を遂行しつつも、“夫”として、“父親”として、2人から3人になった“愛すべき家族との狭間で苦悩に苛まれ揺れ動く”そんな主人公の心理をバナ氏が見事な表情演技で見せて下さっており素晴らしいです!◆
*最後に余談としまして…*
// モシェ・ワインバーグ(テロリストに抵抗し銃で頬を撃ち抜かれ鮮血を吹き出す“レスリングのコーチ”)を、
この方の実の息子さんであるという、グリ・ワインバーグさんが演じていたそうです。//詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1972年に起きたミュンヘンオリンピックでイスラエルの選手が「黒い九月」なるパレスチナのテロリストに殺害された事件からその後の報復合戦を描いた長編。
イスラエル政府の指示で報復団のリーダーとなり、ひたすら暗く殺伐とした地下世界に潜って「敵」を殺害していくうちに自分の仲間すら信用できなくなり、最後は自己嫌悪から精神を病んでいく主人公をエリック・バナさんが目立たず好演していました。
報復団のなかでは、やはりダニエル・クレイグの青い瞳が目立っていました。
この彼が後にジェームズ・ボンドを演じることになるとはなぁ…と今になってこの作品を観ると007が雑音になってしまうのは残念。
今を生きるべき人間が過去や未来のために今を殺して生きる矛盾を上手に表現した作品でした。
かなり長編だけれど、だからこそこれだけの時間をかけて彼らは何をやっているのか?って思ったよ。
日本は平和だね。 -
イスラエルとパレスチナの関係、また1970年代当時のヨーロッパはじめ世界の様子が学べる伝記映画として秀逸でしたが、どこかキャラクターそれぞれの個性が際立たず愛着が湧かない。殺して後悔する前にもっと早い段階で、人間って内省があるのではないかと思いました。
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争いは悲しい。
その中でも民族紛争が悲しい。
報復は負の連鎖しか生まず誰も幸せにならないが、
被害を受けた方々に黙って耐えろとは絶対に言えない。
争いのない世界になって欲しい。 -
深い
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中東の問題は何度聞いてもよくわからない。今生きている地域より、自らの祖先とか出自だけを大切にする生き方もありなのか。疑問だけが残る。民族のアイデンティティーがそんなに大切なのか。わからない。
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テロにおける情報戦と、今日のサイバー空間を支配する、情報を持たざる者と持つ者とのたたかいを観ていて感じた次第。
登場人物のだれにも感情移入できなかったけど、緊張感を楽しんだ。と書いていて、このような実話ベースのドラマを楽しんでしまう自分である。 -
祖国のためにってのがね、どうしても感情移入できない立場なわけさ。
パレスチナの人の主張もイスラエルの主張もわかるわけさ。
正義はどちらにもあると。
ただ、結局争い、暗殺、戦争、ということになつてしまうと、正義もへったくれも無くなっちまう、と思う。
それにしても、オリンピックにも悲しい歴史があったんですね。