ミュンヘン [DVD]

監督 : スティーブン・スピルバーグ 
出演 : エリック・バナ  ダニエル・クレイグ  キアラン・ハインズ  マチュー・カソヴィッツ  ハンス・ジシュラー  ジェフリー・ラッシュ 
制作 : ジョン・ウィリアムズ 
  • パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
3.36
  • (3)
  • (13)
  • (12)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 87
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988113765138

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ☸テロに屈せぬ頑強な想いとの狭間で…☸






     本作は公開当時に劇場で観賞しました。164分という長丁場の作品でしたが、どんどん引き込まれていき、中盤ごろからは座席でしだいに固まっていく自分を感じたのを覚えています。


     男優陣の演技ががっちりとタックルを組みストーリーを丁寧に仕上げており、上質なハードさをもって展開していく様はとても見応えがあります。  
     

     お恥ずかしながら今になり知ったのですが…
    本作に、今や大物男優さんとなったダニエル・クレイグ氏やキアラン・ハインズ氏もご出演されていらしたのですね。

     更に『アメリ』でトトゥが恋をする青年役に扮したマシュー・カソヴィッツさんも出演。

     他には、“潜水夫は蝶の夢を見る”“さすらいの女神たち”で非常に良い演技を見せて下さった、
    マチュー・アマルリック氏(この方とても好きです)が良い味を添えていらっしゃいます。   



     《報復*抹殺》=プロの殺戮というものがリアルに再現されており驚愕します。    


     個人的に驚愕したシーンとしては…
    吹き矢のような物によって女性諜報員が肌も露わに殺害されるシーン。

     このとき、僅かな時間差を以って彼女の咽喉付近から鮮血が溢れだすという演出が施されているのを見て、
    思わず身がすくみました、あまりにもリアルでしたので…


     殺害後、薄いガウンが肌蹴け彼女の下半身が露出しているのを庇って、一度は肌蹴たガウンを元に直してやるのですが…

     メンバーが再度ガウンをめくり上げ、彼女の下半身を故意に露出して立ち去る、という演出になっていました。
     こうした辺りにふと、“見せしめの刻印”を残しているような? そんな想いがし鳥肌が立った場面でもあります。

     短いシーンですがそこに暈しが付加されていない点なども作品の品位を損なわせていません。      


     ◆エリック・バナ氏が扮するアヴナーがテロに屈せぬ頑強な想いで任務を遂行しつつも、“夫”として、“父親”として、2人から3人になった“愛すべき家族との狭間で苦悩に苛まれ揺れ動く”そんな主人公の心理をバナ氏が見事な表情演技で見せて下さっており素晴らしいです!◆





    *最後に余談としまして…* 

     
    // モシェ・ワインバーグ(テロリストに抵抗し銃で頬を撃ち抜かれ鮮血を吹き出す“レスリングのコーチ”)を、
    この方の実の息子さんであるという、グリ・ワインバーグさんが演じていたそうです。//

  • イスラエル選手がパレスチナ人に殺された事件をベースに、報復が報復を生むエンドレスな殺りく劇を描いた作品。主人公も最初は任務に誇りを持っていたが、途中で仲間が殺され、自分の家族にも危険が迫ってくる可能性が出てきて、報復からは平和は訪れないことに気づくが・・今年で事件から50年が経ちます。

    『ミュンヘン』(Munich)は、2005年12月公開のアメリカ映画。スティーヴン・スピルバーグ製作、監督のサスペンス・スパイ映画。
    概要:
    映画は1972年に起きたミュンヘンオリンピック事件と、その後のイスラエル諜報特務庁(モサッド)による黒い九月に対する報復作戦を描く。
    ジョージ・ジョナスによるノンフィクション小説『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』を原作とし、トニー・クシュナーとエリック・ロスが脚本を担当した。『シンドラーのリスト』、『プライベート・ライアン』に続くリアルなグロテスク描写のある作品であり、日本における公開ではPG-12指定を受けた。
    この映画に登場する、アヴナー率いる暗殺チームは実在した集団であるとされ、一部創作しているが、この映画の大体の様に「黒い九月」の幹部達を次々と殺害したと言う(なお、アヴナーら当事者は全て仮名である)。現在アヴナーは名前を変えてアメリカで暮らしている。しかし、モサッドの元高官らはアヴナーの証言を否定している。
    この映画公開にあたり、テロ犠牲者の遺族は「悲劇を伝える良作」と歓迎する一方、当時のイスラエル諜報特務庁(モサッド)関係者からは「事実と違う」などの批判が続出した。当時のモサッド長官ツヴィ・ザミールは地元紙ハアレツのインタビューで「ゲリラ暗殺は報復ではなく、次のテロ発生を防ぐ目的だった」と発言した。
    ラストシーンに2001年の米同時テロで崩壊した世界貿易センタービルがCGで再現され挿入されていることも議論を呼び、「同時テロとイスラエルを混同するな」と批判され、モサッドの元要員らからの投書も相次ぐなど物議を醸した。
    報復を行うモサッドのメンバーを主人公として描いていることから、パレスチナ側からすれば、一方的に作られた映画ともいえる。しかし復讐の標的とされているパレスチナ人物は、イスラエルのパレスチナに対する姿勢を劇中で批判する等、必ずしもイスラエル寄りの目線では描かれていない。
    『シンドラーのリスト』でイスラエル寄りとされてきたスピルバーグだが、今作では逆にパレスチナ・テロリストとイスラエルを共に批判する様な描き方をしているため、双方から批判を受けた。特にイスラエルから「反イスラエル的」の非難を浴びた。スピルバーグ作品でもっとも物議をかもした問題作となっている。スピルバーグ自身は、「自分はイスラエルに味方するわけでも敵対するわけでもなく、暗殺に手を染めていくことで精神的に病んでいく主人公達の苦悩を描きたかった」と語っている。
    第78回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞、作曲賞にノミネートされたが、いずれも受賞は逃している。

    ストーリー:
    1972年9月5日、ミュンヘンオリンピックの開催中、パレスチナの過激派組織「黒い九月」のメンバー8名が、オリンピック村のイスラエル選手団宿舎に武装して侵入、抵抗した選手ら2人を殺害し、残る9人を人質に取る。彼らはイスラエルに収監されているパレスチナ人テロリストの解放を要求した。
    解決は西ドイツ警察に任されることになったが、ミュンヘン空港でのテロリストとの銃撃戦の結果、ヘリコプターに乗ったイスラエル選手団9名が殺害され、人質11人全員が死亡という最悪の結果に終わってしまう。
    この事件に対し、イスラエル政府は報復を決意。テロの首謀者とされる11名のパレスチナ人の暗殺を計画する。首相ゴルダ・メイア臨席のもと、アヴナーは実行部隊のリーダーとして、モサッド上官エフライムから「神の怒り作戦」の説明を受ける。実行部隊のメンバーは、南アフリカ出身の自動車のスペシャリスト・スティーヴ、爆弾製造を担当するロバート、現場の「掃除」係である年長者のカール、文書偽造の専門家のハンスである。暗殺のターゲットの多くは、ヨーロッパで活動するPLOの幹部や協力者であり、イスラエル政府とは関係ないがごとき行動が強く要求された。彼らはフランス人のルイという情報屋に接触、情報を得て作戦を進めてゆく。
    第一の作戦の標的は、アラファト議長のいとこで、ローマで翻訳家として活動しているワエル・ズワイテルだった。待ち伏せし小口径の拳銃で射殺する。第二の作戦の標的は、PLOパリ代表部幹部のハムシャリで、電話に仕掛けた爆弾での殺害を計画、ハムシャリの娘を誤爆しそうになるものの、殺害に成功する。第三の作戦の舞台は、キプロスのホテルで実行され、滞在しているPLO幹部フセイン・アル=シールの部屋のベッドに爆弾を仕掛けるが、爆薬の量が多過ぎ、無関係の宿泊客も巻き込んでしまう。第四の作戦は、レバノンのベイルートで行われ、PLOと黒い九月のメンバーが宿泊していたアパートをイスラエル軍の部隊とともに襲撃。PLOのスポークスマンであったカマル・ナセルも含め標的3人は殺害される。
    第五の作戦は、ギリシアのアテネで行われた。あらかじめ手配されていた宿の一室で、アヴナーのチームはPLOメンバーと名乗る男と出くわし、ETAのテロリストを装うものの、パレスチナ人としての立場、すなわちイスラエル勢力に母国を奪われてきた境遇を直に聞くこととなる。アテネでの作戦では、標的抹殺には成功するものの、現場にいたソ連のKGBエージェントも銃撃してしまう。
    次の標的は、ミュンヘン・オリンピック事件の最大の黒幕とされる「サラメ」であった。彼をロンドンで発見するものの、作戦着手寸前で酔っ払いに妨害される。ルイの情報では、アメリカのCIAの関係者が、サラメと裏取引をしており、作戦を妨害している可能性があった。そんな中、アヴナー達のチームもカールとロバートが暗殺されるなど一人、また一人と暗殺されてゆき、ルイからも作戦の中断を働きかけられるなど、彼らは次第に追いつめられていく。(ウィキペディア)

  • 1972年に起きたミュンヘンオリンピックでイスラエルの選手が「黒い九月」なるパレスチナのテロリストに殺害された事件からその後の報復合戦を描いた長編。

    イスラエル政府の指示で報復団のリーダーとなり、ひたすら暗く殺伐とした地下世界に潜って「敵」を殺害していくうちに自分の仲間すら信用できなくなり、最後は自己嫌悪から精神を病んでいく主人公をエリック・バナさんが目立たず好演していました。

    報復団のなかでは、やはりダニエル・クレイグの青い瞳が目立っていました。
    この彼が後にジェームズ・ボンドを演じることになるとはなぁ…と今になってこの作品を観ると007が雑音になってしまうのは残念。

    今を生きるべき人間が過去や未来のために今を殺して生きる矛盾を上手に表現した作品でした。
    かなり長編だけれど、だからこそこれだけの時間をかけて彼らは何をやっているのか?って思ったよ。
    日本は平和だね。

  • イスラエルとパレスチナの関係、また1970年代当時のヨーロッパはじめ世界の様子が学べる伝記映画として秀逸でしたが、どこかキャラクターそれぞれの個性が際立たず愛着が湧かない。殺して後悔する前にもっと早い段階で、人間って内省があるのではないかと思いました。

  • 争いは悲しい。
    その中でも民族紛争が悲しい。
    報復は負の連鎖しか生まず誰も幸せにならないが、
    被害を受けた方々に黙って耐えろとは絶対に言えない。

    争いのない世界になって欲しい。

  • 深い

  • 中東の問題は何度聞いてもよくわからない。今生きている地域より、自らの祖先とか出自だけを大切にする生き方もありなのか。疑問だけが残る。民族のアイデンティティーがそんなに大切なのか。わからない。

  • 1972年9月、ミュンヘンオリンピック選手村でイスラエル選手団が、パレスチナのテロリスト集団「黒い九月」に殺害される。

    それを受け、イスラエルの諜報機関・モサドは報復として、「黒い九月」のメンバーの暗殺を決める。そのリーダーとして選ばれた主人公・アヴナーを軸に、祖国が掲げる大義に忠実になるうち、感情のないロボットと化していく哀しさ、大義への疑問や葛藤を描いている。

    事件発生後のシーンで、イスラエルの首相・ゴルダ・メイアらしき人が出てきたのを見て、これは近現代の世界史を知っている人でないと把握しにくいかも・・と直観。幸い始まり20分で、たたみかけるようにプロローグのエピソードが展開するから、その構成の巧さで見切ってしまうようなところがある。

    報復からは何も生まれない―というメッセージはもちろん受け止めた。それ以上に、国家を大切に思うがあまり、妄想を膨らませた一部の支配者たちに、振り回されて使い捨てにされていく構図、そしてその末路にいる人間の傷の深さみたいなものがとにかく痛い。

    こんな構図は国家間だけじゃなくて、日常にもいくらでも転がってるから。報復による憎しみの連鎖。それを越える、人間の知恵とは?実際、その末路にいたともいえるユダヤ人・スピルバーグのどこまでも、中立な視点。それを配したこの映画製作は、その知恵の切実な一歩だったのかも。

  • テロにおける情報戦と、今日のサイバー空間を支配する、情報を持たざる者と持つ者とのたたかいを観ていて感じた次第。

    登場人物のだれにも感情移入できなかったけど、緊張感を楽しんだ。と書いていて、このような実話ベースのドラマを楽しんでしまう自分である。

  • 祖国のためにってのがね、どうしても感情移入できない立場なわけさ。
    パレスチナの人の主張もイスラエルの主張もわかるわけさ。
    正義はどちらにもあると。
    ただ、結局争い、暗殺、戦争、ということになつてしまうと、正義もへったくれも無くなっちまう、と思う。

    それにしても、オリンピックにも悲しい歴史があったんですね。

全14件中 1 - 10件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×