薄闇シルエット (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 「なんにも持っていない」ハナが、周囲の変化を見、自分自身を受け入れていくまでの物語。
    ハナに重ねるようにして自然と自分自身のことを考え、また、終盤のハナの様子に励まされるような気分になった。

  • 角田光代さんの本は初めて読みましたが、主人公のハナちゃんの生き様は、二十歳で授かり婚して結局離婚して、三十代で再婚しときながら結局バツニになったような私とはまるで接点がないはずなのに。
    むしろ、友達よりも家族との時間ばかりの人生の私には眩しいくらい羨ましいのに、それでももがいてるハナちゃんの気持ちにシンクロしてしまう文章の紡ぎ方に魅せられた。
    実は人と比べて焦ったことのない人生だった私は疑似体験的に比べる心理を知った。
    怖かった。私も好きなことをしていて、それに満足できなかったら…。
    まるで、人生の分岐点で違う道に歩んだような気持ちになる。
    胸がキューッと締め付けられる場面も多々あるが、それもコミで面白かった。

  • 悩ましいお年頃だな。結婚せずともいいじゃないか、と思った時にあっさり決まるものかもね。やりたいことがあって、仲間がいれば満ち足りていそう。

  • 15年以上前の小説だけど、30-40代の女性の共感を得られそうな作品。
    変わりたくない主人公と、「何者かになろう」ともがく人々。

    何者かにならないといけないオブセッションは人生の通過儀礼なんだろうね。
    個人的には「何者か」になろうと足掻く必要はないけど人間変わっていかなきゃいけないんだと思う。

    なんだかんだで自分の価値観がずっと揺らぎっぱなしの主人公が、最終的に穏やかな帰結に至るのは良かった。
    あとタケダくんとは全然結婚しなくて良い。

  • 独身女の楽しい夜。

    こう書くと避難されそうだけど、ほんとそんな感じ。
    ちょっとさみしい帰り道すら、楽しそうでなにより。

  • お母さんがいつも作ってくれた苺のケーキ。
    そんなお母さんが倒れ、これまでの家族の時間を思い起こす。
    そのケーキしか知らなかった自分が大人になって、お洒落なケーキに衝撃を受ける。
    お母さんは何のためにケーキを、手間をかけて作ってきたのだろう・・・
    私は好きじゃなかった。
    家族がいて、みんなで鍋を囲む。ジュースをこぼして、あーあ―言ってわいわい言って・・・
    お母さんが求めていたものはこれなのかもしれない。
    結婚した友人も新しい世界を築きつつある。

    相変わらず角田さん、うまいです。揺れる気持ち、痛いほど伝わってきます。

  • つくづく私はこの手の話が好きだな〜と、わかりやすくって我ながら笑ってしまう。

    ナエが、専業主婦は家出するにも計画をたてないといけないのよ、というようなことを言っていて、なんというか、いろいろ考えさせられました。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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