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感想・レビュー・書評
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読むきっかけは、何を隠そう同名のジブリ・宮崎駿作品を観たから。
映画では堀越二郎と堀辰雄を合わせ持った人物で描かれているけれど、単純に彼に興味を持った。そうでなくては、今後私は堀辰雄と出会ってなかったかもしれない。
「風立ちぬ、いざ生きめやも」
サナトリウムと言う人里離れ、死が漂う隔離された場で静かに二人だけの幸せを探し、育む純粋な愛の物語。
激しく求め合ったり、物語性に富んでるわけではない。
ただそこには彼が愛した女性が彼に生き甲斐を見いだし、生きたいと願う気持ちと、彼女を見守り寄り添う作者の生活が、そっと綴られ、死と隣り合わせにある生を深く感じる作品だった。
ただのフィクションではなく、堀辰雄自身の体験に基づいているという事。それが作品にリアリティーを感じさせ、しかしどこか美しく不思議な雰囲気を漂わせているのは、これが伝記ではなく小説だからなんだと感じた。
美しい村、麦藁帽子、旅の絵、鳥料理、そして風立ちぬ。
すべてを通して感じたのは、彼が書く自然や生きるものすべてに現実が現実でありながらも現実ではなく感じるまでのなにか静けさのようなものでした。
彼と出会えて良かった。その一言に尽きます。 -
若い時に読むといい本がある。太宰治だったり風と共に去りぬだったり、ライ麦畑だったり。反対に年を重ねたほうが読みやすい本もある。本書を中学生の頃読んだ時は何がなんだかさっぱりわからなかった。しかし今読むと逆に他愛ない純愛ストーリーだったんだと驚かせる。
ここに描かれた5編の短編は、いずれも戦前のトレンディードラマだ。国内でさえ汽車で旅行するのが贅沢な時代に館山に海水浴に行ったり、軽井沢に避暑に行ったり、神戸を旅行することは庶民にとっては憧れのことだったに違いない。
時代が時代だけに男尊女卑というか、作者が上から目線で女を捉えているのは面白くはないが、反面そんな時代だからこその純粋な愛情表現が微笑ましい。 -
『美しい村』・『麦藁帽子』・『旅の絵』・『鳥料理』・『風立ちぬ』という構成の本。『美しい村』を読んでいる途中で飽きてきたのだが、ミーハーで『風立ちぬ』のみを読むよりも、最初から読んで良かった。『美しい村』を読んでから『風立ちぬ』を読むべきだ。
どことなく死のにおいが漂い、村上春樹の『ノルウェイの森』と似た印象を受けた。ファンタジー要素はなく、ジブリ映画になったのが信じられない。 -
「風立ちぬ」のみ読破。
愛する人がどんどん弱っていく姿を見ながら、自分は傍にいることしかできない。。
哀しい話でした。