ニュータウンは黄昏れて [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • バブルがはじける前に購入したニュータウンの分譲マンション。住宅ローン返済のためサラリーマンが汗して働いてやっと手にいれたマンションも20年も経つと老朽化し建替か修繕かで管理組合はもめる。
    建て替えるにも多額の金がいる。高層マンションに建て替え、余剰分を分譲することにより現在住んでいる人は追加の負担をしないですむ。しかし、悲しいかなこの物件は駅から遠く売れ残る可能性が高くてその手法は使えない。

    今の日本にはそんなマンションばかりじゃないだろうか?高齢化が進み各居住者の思いもバラバラ。まとまった意見など出るはずもない。マンションなんて所有するものじゃないと改めて思う。

    不動産を多数所有しその賃貸料収入で生活している金持ちにも悩みがある。
    人間はどうして他人の生き方にあこがれてしまうのか?現実を直視してはじめてそれが幻想であったと知ることになる。

    やっぱり、他人の動向に左右されず、自分は自分でしっかり先を見定め、問題は自分で解決していかなければいけない、という物語。
    うーん、身につまされる。

  • ここ一週間で4冊目の垣谷美雨作品。
    東京都下の新興住宅地、いわゆるニュータウンに居を構える人たちの物語。

    バブル期に無理をして中古分譲マンションを買い、結果住宅ローンという
    大きな足かせが。妻の度を超えた節約はジワジワと家族に負担を掛ける。
    そして夫の降格人事、娘の就職浪人。さらに、バブルの崩壊でマンション
    の価値は買値の1/3に・・・。
    ・・・ものすごく身につまされる系の重たい話である。

    実際の地名が出て来てるワケでは無いから、舞台がどこかは定かで無い。
    しかし、新宿から特急で30分(しかし各停だと1時間以上)、そしてあっ
    という間に過疎化が進んだ地区、ということだから、京王永山とか
    聖蹟桜ヶ丘とか、京王線沿線の匂いがプンプン。該当しそうな地域に住ん
    でる人は読むの辛いだろうな、きっと。

    ウチの実家の周辺は正にコレ。
    都心まで快速で1時間・自然豊かな立地、というのに嘘は無く、僕の少年
    時代はそれなりに活気のある街だったのに、今はゴーストタウンのような
    過疎の街。もしあのままあそこに住み続けていたら、と考えると本当に
    ゾッとする。
    ・・・今は隠居した両親がゆっくり暮らすには最適なのかもしれないけど。

    いろんな人たちがきっと身につまされる筈。
    メチャクチャ重たいけど、きっとページを捲るのを止められない気がする。
    良作です、コレも。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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