ヌマ叔母さん (深夜叢書)

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  • 深夜叢書社
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  • 再読。函入りクロス装丁、旧漢字旧仮名遣い。少女の如く清く可憐で儚げながらに毒をひそめる短篇七作を収録。何れも此れも愛おしく、本を胸にあてギュッと抱きしめたくなる。死と狂気が鱗粉のように少女(または少女の心のままの女性)を纏い、月光を反射しつつ頑なに孤立し、茫洋と彷徨う姿に背筋が凍る。自分をも向こう側に引き込まれてしまいそうな恐怖、怖いけれど魅かれずにいられない。そして男の不在感。この時代、精神の自由の為には依存しない決意が必要だったろう。ネーミングや会話の言葉のセンスが抜群。古めかしい日本語に時々差し込まれるハイカラな語感の塩梅が程よくて、ちょっと真似したくなる。

    〈収録作〉ヌマ叔母さん/沙子死す/曼珠沙華の/綠年/星の記録/月影/灰色の扉

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著者プロフィール

野溝 七生子(のみぞ・なおこ):1897年、兵庫県生まれ。本作『山梔』は、懸賞小説として応募され入選し、新聞連載後、1926年に春秋社より刊行された。さらに北原白秋主宰「近代風景」や長谷川時雨主宰「女人藝術」などに作品を発表。また東洋大学で教鞭をとり、森?外に関する論考などを執筆した。他の著作に『女獣心理』(講談社文芸文庫)、『南天屋敷』(角川書店)、『月影』(青磁社)、『ヌマ叔母さん』(深夜叢書社)、『野溝七生子作品集』(立風書房)、『暖炉 野溝七生子短篇全集』『アルスのノート』『眉輪』(展望社)などがある。1987年没。

「2023年 『山梔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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