解夏 [Kindle]

著者 :
  • 幻冬舎
4.13
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感想 : 14
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  • さだまさしの短編集。
    表題にもなっている"解夏"は、ベーチェット病に冒された隆之が視力を失うまでを描いた物語。
    いずれ視力を失う恐怖と戦いながら日々を過ごしていた隆之は、ある日出会った老人から、失明した瞬間にその恐怖から解放されることを禅宗の習わしに例えて、"解夏"だと言われる。そして、ある日突然失明の瞬間がやってきたとき、隆之は穏やかな気持ちでそれを受け入れる。

    他に、"秋桜"、"水底の村"、"サクラサク"。いずれも思い通りにいかない人生を送りながらも人の持つ優しさが心を打つストーリー。
    特に、"サクラサク"では、仕事に明け暮れ家庭を顧みなかった俊介に対し、老人性痴ほう症が始まった父親が言った、"良いことをしたら褒めてやらにゃあ人間、前を向いて歩けなくなる。褒めてやるにゃ、その人間を一所懸命に見つめていなくっちゃいけないんだ"という言葉は響いた。
    いずれ記憶をなくすかもしれない、その時の恐怖を思うとやりきれない、切ない気持ちになるが、痴ほう症の人に接するとき、最後まで人は元来持っていた優しさやプライドを持っているんだということを忘れずにいなくてはと改めて思った。

  • 読み始め…11.4.15
    読み終わり…11.4.24

    以前から一度読んでみたいと思っていたさだまさしさんの小説。のっけから情景描写がこと細かく、冒頭の主人公とその母親の二人が父親のお墓参りに行く様子がまるで映像を観ているかのように目に浮かんできました。お墓にたどりつくまでの複雑に登っていく階段。そして、そこここに咲いた花々と高台のお墓から見える長崎の海の風景。

    主人公が母親と交わす会話や恋人と交わす会話。そしてその他に登場するすべての人と主人公とが交わす会話にも、なぜか目の中に映像としてくっきりと浮かび上がってきます。映画を観たというわけでもないのに・・。不思議です。

    それだけさださんの情景描写はとても繊細なものでした。

    そしてこの「解夏」という言葉は単に季節に関する語句だと思っていました。確かに夏の季節にも関係するのですが、本当は仏教の言葉だったんですね。この本を読んで初めて知りました。

    読み終わって十日ほど後にDVDを借り 映画を観ました。原作に忠実にそった内容でしたが、やはり原作を読むことにまさるものはありません。

    特にさださんの場合はその繊細なまでの情景描写。読んで目に浮かぶ映像は最高でした。

    ※ 読んだのは紙の書籍です。読んだ当時のカバー書籍が見つからず電子書籍にあった方を拝借させて頂きました。

  • FFさんが読了ツイされてた2002年の作品。病名こそ異なるとはいえ自分も2001年発症、2003年失明ということで、かつてを思い出しながら読む。当時は相当に落ち込んだはずが今は懐かしささえ覚えるのだから不思議なもの。それだけ闇の先にも実は光は溢れてたということなのかも。

  • 読了。さだまさしさんの短編小説4作品。どれもさださんらしい小説。4作品とも家族との関わりを考えさせられる。さださんの小説は、言葉が優しく描写が細かく読みながら風景が思い浮かぶ。
    どれも辛く、哀しくも、心が暖かくなる話。
    息子と母、嫁と義父、娘と母、息子と父。
    家族でもきちんと言葉にしなければ伝わらないこともある。

  • 段々と視力が無くなっていく。ベーチェット病に罹った隆之は長崎に帰ってきた。教師を辞めて、母のいる長崎に帰ってきた。婚約していた陽子には、婚約の解消を申し出ていた。

  • 電子じゃないんだけどね。探せないから。
    2度ほど読んでいる。
    薦めて面白かったということだったので登録します。
    第三話がよかったらしい。

  • 5つくらいの話。それぞれ結構長め。
    さだまさしの本ってなんでこんなに泣けるんだろう。
    それぞれちょっと切ないけど、最後にはちゃんと光が見えるところもまたいい。

  • 詩は、よく耳にするので、『きれいな詩を書く人』という印象でした。
    表題作の『解夏』も良かったですが、『秋桜』『サクラサク』は更に、目頭が熱くなりました。家族とかは何か、人は結局一人では生きられないのかと考えさせられました。
    ほかの作品も読みたいです。

  • さだまさしって凄い。
    この人の小説、かなり好きだ。

  • 短編集。心が暖かくなる

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著者プロフィール

一九五二年長崎市生まれ。シンガーソングライター。二〇〇一年、初小説『精霊流し』がベストセラーとなる。『精霊流し』をはじめ、『解夏』『眉山』アントキノイノチ』『風に立つライオン』はいずれも映画化され、ベストセラーとなる。その他の小説に『はかぼんさん―空蝉風土記』『かすていら』ラストレター』『銀河食堂の夜』など。

「2021年 『緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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