思考の整理学 (ちくま文庫) [Kindle]

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  • 筑摩書房
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感想・レビュー・書評

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  • 考える事の大切さを改めて感じました。学校教育では知識を覚えることが大事と教わったが、コンピューターが現れてからは知識を覚えることなどがコンピューターに抜かれてしまい人間は知識を覚えることではなく、考え創造することが大事でそうしないとコンピューターに仕事からなにから奪われてしまう。

  • 難しそうな本が読めてうれしい!書かれていることの全部は理解できなかったが、、一部分は分かったのでよしとしよう。笑
    新聞の広告欄に、「大学生に読んで欲しい本」とあるのを発見したことからこの本を手に取ってみたが、読みやすく、普段このような本を読まない私でも理解できたので良い本だなと思う。学生におすすめしたい。

    人間が頭の中で考えていることは目に見えないが、どのような仕組みで思考を整理しているのかをこの本が分かりやすく教えてくれる。

    読んでいてなるほどと思ったのは、大学の講義中に必死にメモをとっても、実は忘れてしまうということだ。メモをとるのに必死になり大事なことを忘れてしまうのだそうだ。これはノートをとったという安心感から脳が「忘れてもよい」ということになってしまうからだという。そもそも脳にとって、「忘れる」ことは良いことだそうだ。人は寝ている間に忘却の作業をし、頭の中を整理している。そうすることで、頭の中のスペースが確保され、高能率に働くようになるのだそうだ。

    知識を取り入れるのは大事だが、それ以上に自ら考えることのほうが大事だとこの本は言っている。コンピュータが登場し知識を与えてくれるようになったことで、人間は単に知識だけを持っていても必要とはされなくなる。大学の勉強は答えがないものが多く、自分で考えて答えを出さないといけない。これからも考えることを怠らず、考え続け、思考を深めていきたいと思った。

    あともうひとつ。おもしろいと思ったのが、ピグマリオン効果だ。人は褒められ続けると、脳には良い影響がもたらされ、良い結果を出せるのだそうだ。ささいなことでも他人に褒めてもらうことによって、良い方向に働くのだそう。

  • 本書は、受験などで力を発揮するような受動的に知識を得る「グライダー」型の能力と、自分自身でものごとを発見・発明する「飛行機」型の能力を比較したうえで、「グライダー兼飛行機」になるために何を心掛けるかを考えるためのものだと宣言するところに始まります。とはいえ一冊を通して一塊の思想を伝授するといった趣向ではなく、一話完結のエッセイ形式で進行するため、目次等で気になった部分だけを抜き出す読み方に適しています。

    内容については、仮に現在の流行りの言葉で呼ぶならば、"思考のライフハック"とでも表現できる、考えることにまつわる助言やコツともいうべき情報が紹介されています。そんな数々の知見を一概に要約することは難しいですが、雑にまとめてしまうなら、力押しではなく「押してダメなら引いてみろ」に類する発想による思考法と言えます。そのような主旨である本書のなかで、たったひとつ重要な知見を挙げるとすれば、やはり複数の章にわたって最も多く紹介されている、「忘却」が結果として「思考の整理」を導くというアドバイスであり、これによって本書の位置するところを大まかにイメージして頂けるのではないでしょうか。

    本文で取り上げられる思考するものの対象としては、著者が英文学者であるだけあって論文の執筆が例として頻出しており、「ものを書くのは人間を厳密にする」という言葉にも表れるように、読者のメインターゲットは文筆を職業や学習のために必要とする、もしくは志す人々にあると言ってよいでしょう。具体的なテクニックについては、スマホどころかコンピューターも一般家庭に普及していない時代だけあって、スクラップブックやカード・ノートの利用法といった今となっては参照されがたいであろう情報も存在しますが、同時に刊行時点では未来の話である、コンピュータの普及によって従来の仕事が奪われる社会を予見するなど、いまだからこそ光る部分も存在し、見所のひとつでもあります。

    実は通読したうえで、本書の内容をさほど目新しくは感じなかったのですが、40年近く前に刊行され源流となった本書にある知恵の多くが間接的に伝わった、または常識として定着しているからこその感想かもしれません。

  • 読んでなかったのでブックオフで100円で買った。今更ながらだけど、読んでみたら意外と面白かった。

    東大生や京大生が読んでいる本という触れ込みで、ベストセラーになった本だが、当時としては革新的な発想も多々盛り込まれていて、まず内容が面白かったのだと思う(第一刷=1986年4月24日となっていた)。

    エッセイ調で書かれていたので、最初のうちはパートごとにエッセンスをメモしていたが、そのうち途中で投げ出した。以下はその投げ出すまで。

    ***
    ・グライダー:自分で飛ぶ能力を身につけろ(受身でなく自主)
    ・不幸な逆説:学校がグライダー養成所になっている
    ・朝飯前:朝方学習の推奨(昼寝で朝方学習×2回)
    ・醗酵:良い素材+醗酵+熟成の時間=よいoutput
    ・寝させる:「発見は朝を好む」「三上=馬上・枕上・厠上(欧陽脩)」
    ・カクテル:自信と謙虚さ。一つでは多すぎる。not混合酒。
    ・エディターシップ:全体は部分の総和にあらず。二次的創造。
    ・触媒:二次的創造=触媒的創造。
    ・アナロジー:メタ認知のことを述べている。慣性の法則と残像効果。
    ・セレンディピティ:予期せぬ発見
    ・情報のメタ化:思考の整理とは「低次の思考を抽象のハシゴを登ってメタ化していくこと」一次的情報→二次的→三次的
    ・スクラップ:クロスリファレンスが有効
    ・カード・ノート:情報蒐集。出典の記録が重要。
    ・つんどく法:机上に同種の本を積み上げて一気に読む読書法
    ・手帖とノート:手帖にメモり→ノートに整理
    ・メタ・ノート:ノートからメタ・ノート(テーマ別ノート)への移記
    ・整理:記憶(倉庫の役割)は、コンピュータに任せろ
    ・忘却のさまざま:リフレッシュ(食べる・飲む・散歩)
    ・時の試練:時間のもつ風化作用→忘却されなかったものが古典として残る
    ・すてる:本を捨てるのは難しい(結論がかかれていない)

    この中で、「朝方学習(起きたばかりの頭がすっきりしてる状態での勉強は効率が良いというもの)」の中で、昼寝をすれば朝が2回来るので、1日の効率が増すという発想が面白かった。最近の昼寝の推奨にも合致する。

    「全体は部分の総和にあらず」あたりから、ただ情報を扱ってるだけじゃだめで、自分で考えて、寝かせても一度考えてみたいにして、単なる情報から価値ある情報へ醸成していくようなことを述べられてくる。メタ化という言葉をそのような意味で表現されていると思う。

    「グライダー型=受身=ただ言われたことを鵜呑みする」のに対し、「飛行機型=自分の頭で考える=自分の考えで実行する」という姿勢を著者は押しており、学生の論文では後者のタイプが本物の論文だという主張だ。

    古い本なので、もう目新しさはないかもしれないが、Ⅵ章の「第一次的現実」というパートの記述に少々考えさせられた。

    現実には二種類あって、我々が直接接している物理的世界を「第一次的現実」とし、知的活動の中で、つまり頭の中で作り上げた世界を「第二次的現実」と呼んでいる。

    ある事件をTVニュースが報道し、その情報で我々は事件を知る。我々が知っているのは「二次的現実」だと。あるいは本の情報もそうだと。たしかに旅行雑誌を読んでいると、あたかも現地を旅行したかのような気になる。しかし、雑誌を読んで知ったのは「二次的現実」だ。

    著者は、サラリーマンは「第一次現実」の中で生き、学生は「第二次現実」の中で生きているなどと、わかりやすくするためにそう述べている。

    二次的現実の中で生きるのはある意味「観念」の世界で生きている。すると小説にのめりこんでいるのは、「一次的現実」が存在しない「二次的現実」の中で生きてるんだなと思う。

    あるいは今ではバーチャルな世界ってのがあって、これは1.5次的現実のような感じもするなとか、最近のSNSの中の世界や、アバターの世界や、当時とは異なる様々な現実世界が存在しているようにも感じる。

    本書では、「一次的現実」に根差した知的活動が大事で、それをするには、上記の「飛行機型」の姿勢がもとめられるという。

    なんとなくであるが「一次的現実」に根差すということが希薄になってきているように感じる。仮想空間の中で生きる人が多い現実を外山さんはどのようにとらえられるのかを聞いてみたい気がする。

  • 本書の初版は1983年。
    当時はまだPCも今ほど普及してなかっただろうし、事務仕事も手書きが主流だっただろう。そんな時代に「コンピューターに仕事をうばわれる」と書いた著者の先見に驚いた。

    内容は奇抜なものではなく、今現座でも十分通用する。それゆえベストセラーなのだと読んでみて感じた。
    今出ているビジネス書、特にインプットやアウトプット系の書籍の源流と言っても過言ではない。

  • 1986年4月24日発売!!

    売れ筋商品の本!色んな本屋でポップを見かけます。
    図書館で1990年代のやつを借りました。
    なんと当時のこの本は税込350円で買えるみたいです。インフレを感じますね。

    この本の特徴は現代の『自己啓発本・ビジネス本』の根底となっていることだと思います。
    「勉強のやり方」「AI(コンピュータ)に負けないようにするには」などをさほど難しくない言葉で綴られています。
    少し「うーん??」って感じたのは
    ・修飾語を減らす
    1文章1センテンス
    論文では確かにそうだけど、小説などは必ずしも有用ではないと思った点くらいです。

    教鞭を振るう立場の人(つく可能性がある人)必読!
    学生の人もぜひ読んでみてください!
    ※多少、先生などに対して嫌な見方が出来てしまう能力が身につくかもしれません。ただ、それは表面上は隠しておいたほうが吉かも!!ページ数も少なく、朝読書とかにもオススメです。

  • この本を読んでいる間、細谷功の『具体と抽象』という本が思い起こされた。未読の方はぜひ。

    人間的な活動の中で、具体から抽象へと一般化を行うプロセスは普遍であり共通している、ことわざの例はまさしくその通りだと共感をした。
    長い時間の中で"純化"されて、不必要な部分が削ぎ落とされて本質が残る、大きな発見であった。
    よく教養の高い人が能や狂言、歌舞伎を見て面白いと言う。私には全く理解の出来ないものなのだが、彼らは口を揃えて"長い年月の中で残ったのには理由がある"と言うのである。その答えがこの"純化"にあるのだと思う。

    今、私は1年で100冊を目標に読書を行なっている。これは自分の糧になるような、言葉を探究する行為であると自認をしているのだが、この本を通じてその目的を再定義したい。

  • ギリシャ人が輝かしい文化の基礎を築けたのは、すぐれた問題作成の力があり、「なぜ」を問うことができたからだという。
    35年前の本なのに、全く古くない。

  • 全国の大学生に一番読まれた本と帯にあり、知のバイブル的な紹介があったので
    購入。読みやすいので、ほぼ一気読みできたが、内容的に自分に新しく入ってきた知識というよりかは既知の物が多く感じた。
    逆に約40年前に初版刊行なので、この本が既存の様々な本へ影響を及ぼしていたのかも知れない。

  • 日ごろ生活しているとつくづく感じるが、情報が多すぎる。単純に量が多すぎる、信憑性もわかりかねる。わかっていることが多い反面、わかっていないことが何かがわからない。

    このような状況の中で、どのように情報を精査するべきなのか、どう使うのが「人間らしい」なのか?改めて考えさせられる本。

    そして、電車の中でスマートフォンをじっとみている私達には、きっと「白い時間」が必要だ。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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