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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (106ページ)
感想・レビュー・書評
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表題作は知的に遅れがあると思われるあみ子の幼少期が描かれる。
好きなものに一途で微笑ましく思える一方、父と再婚した義母が死産した場面でのあみ子の行動は"本心からのプレゼント"なだけにやるせない。あみ子の様な子の行動や言動は一般的に"悪気はない""理解できないから仕方ない"で済ませがちな気がするが、読み進めるほどに周囲の徒労や諦念がのしかかる。苦しい。
「こちらあみ子」と問いかけるあみ子に切なさを感じるも、あみ子自身はきっとそのまま生きていく。
「ピクニック」は虚言癖のある同僚との境界が徐々に壊れゆく過程の描写がいい。
踏み込む範囲のバランスが崩れると、良心の中に潜む悪意が顔を出すものなのかもしれない。残った者達は後味の悪さを感じても、それを都合良く解釈して忘れていくのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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