あの頃映画 松竹DVDコレクション SADA 戯作・阿部定の生涯

監督 : 大林宣彦 
出演 : 黒木瞳  片岡鶴太郎  椎名桔平 
  • 松竹
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感想 : 5
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  • / ISBN・EAN: 4988105067608

感想・レビュー・書評

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  • なんだか自分にとっては2015年がSada Yearだったらしい。「愛のコリーダ」(1976) に続いて本作も銀幕で鑑賞する機会を得ることに。

    「戯作」とサブタイトルにもあるように開演と同時に登場人物がスクリーンに向かって劇場の入口へといざなってくれる。この頃までにはこの手の「大林手法」には驚かなくもなっているし、むしろ吉本新喜劇を観ているような感覚で拍手してお出迎えしてしまっている自分がいることに気づく。大正時代から昭和初期にかけての雰囲気を白黒とカラーをふんだんに切り替えつつ表現してみたり、定に洋装を着せてみたりするのは大林監督ならではの取り組みなのでは。大島版とは対極をゆくような、それでいて人のこころの切なさ、頼りなさを詩的に繊細に綴ってくれているからほっとする。

    最終幕にて日本国内においてはハンセン病の扱いが96年になって初めて改善された旨のテロップが流れる。どの程度阿部定事件との関連性があったかの事実関係はさておいて、本作を通して得られる重要なメッセージであることには間違いない。大正生まれの女性を描くため、98年に公開された作品だからこそ伝わる説得力がそこにある。

  • 戦前の猟奇殺人の主人公・阿部定がどういった人生を歩み、事件に至ったのかを大林監督なりに描いた作品。
    黒木瞳の年代による演じ分けが秀逸です。

  • 阿部定を モチーフにして
    愛に狂った一人のオンナを ドラマとする。

    どうも 安部定にこだわりすぎて・・・・
    説明が多すぎる映画である。
    映画をみるときに 「説明」を求めているわけではない。
    どうも この監督は そういうことが 
    わかっていないのかな?

    畳屋の娘・・・定(黒木瞳)は 14歳のときに
    慶応ボーイに 強姦される・・・
    といっても そこまでついていった定にも問題が。
    そして 岡田(椎名桔平)は 医学生で 手当てを受ける・・
    いつの間にか 岡田がすきなっていた。
    画面が 白黒からカラーに変わるが 意味があるのだろうか?
    白黒がフィクションで カラーがドラマといいたいのかな。
    そして 岡田は ハンセン氏病で 定の前をたちさる。

    それで 定は 子供のように遊んでいた・・・
    映像が まるっきりチャチになる・・・
    あまり映す気がないのならば 飛ばせばいいが
    どうも そういうところは 真面目なのだろう。
    文脈を大切にしたいのかもしれないが
    観ているほうは 退屈である。

    置屋に行くことに・・・
    三味線もできる定。
    といっても オトナの三味線ではない。
    コケティシュな 三味線。
    関東大地震 1923年。 定 18歳のとき。
    そして 娼婦として・・・
    男の顔が 連続的に出るのは・・・
    よく考えている。この表現はいい。
    結局は マンガチックに表現するチカラが
    あるようだ。

    父親が 三木のり平で
    定との会話が いい味が出ている。
    大林監督は このような画も作るのに・・・
    それが 瞬間的にしかできず 持続性がない。

    ベンガル扮する 立花先生(大宮五郎)にであい
    変化をするが・・・
    小料理屋の修行に 東京の中野にいく
    その主人龍蔵(片岡鶴太郎)にであい・・・
    阿部定の人生は 大きな変化を遂げる。

    片岡鶴太郎が 中原中也の詩を出したり
    夢二の絵を説明したり・・・
    都都逸が いなせで いい感じである。
    龍蔵は 少なくとも存在感が必要で
    それに応じた 役割を果たした。 

    この映画は・・・
    黒木瞳のよさがあまり出ていない
    というより
    阿部定に 黒木瞳を持ってきちゃダメだ。
    あまりにも あかるすぎる。
    心の中に もっと ヤミがほしいなぁ。

    殺してまで愛したい・・・というテーマになるのかな。

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著者プロフィール

映画作家

「2018年 『大林宣彦 戦争などいらない‐未来を紡ぐ映画を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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