- Amazon.co.jp ・電子書籍 (294ページ)
感想・レビュー・書評
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※この本は途中で挫折しました
他の作品の感想にも書いたが、私は『無礼なキャラ』が苦手だ。
この本に登場するとあるキャラクターは出版社の下請けであり、地方をあちこち飛び回る職であり、それなりにイイ年齢なわけだが。初めて訪れた土地でもてなしを受けている最中に、その集落の風習を否定するような発言をバンバンかます。空気が読めないわけではなく、ギスギスした雰囲気を感じ取ると同行した先輩に事態を丸投げ。でも飽き足らず、また同様の発言を繰り返す。
いい年した大人としてその行動はどうなのか?
そんな人間が下請けとしてやっていけるのか?
同行した先輩もなぜたしなめないのか?
社会人なら誰しも疑問に思うところではないだろうか。現実にそんな下請けがいたら真っ先に切られるだろう。
キャラの性格が『そういう発言』をさせているわけではなく、作者の都合で言わされている感がにじみ出ている。そんな印象を受けて読むのを止めた。
キャラが自発的に発言している体をとりたいなら、該当の会話の前にもうすこし性格の掘り下げが必要だろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鹿児島の田舎、という設定のために全編方言だらけ。
まずこれが違和感がある。鹿児島に長く住んでいたので、よく書かれているとは思うけど…。
同じことで、事件に巻き込まれる?探偵役と助手役、その助手役にあたる女性の視点で物語は進むのだが、なんか思考も言動も男性的だし、ユーモアのバランスもおかしい。つまり地の文がチグハグなところがあって、盛り上がりに欠ける。その一方で妙に荘子や竹についての蘊蓄が長すぎる。
作者がよく勉強されているのは分かるけど少し鼻につく。
ただ立て続けに起きる事件、その解決が二転三転するさまは本格物らしく面白く楽しめた。
キャラがこなれてきたら、もっと面白くなるだろうな。 -
著者のデビュー作にして、第21回横溝正史ミステリー大賞優秀賞受賞作。大量に生えている竹が象徴的で、老子や荘子の思想を尊重する竹茂村という人里離れた村を主役の2人が訪れ、その間に数人の村人の死体が発見される。死の真相と村の秘密が解明されていく様は面白かった。
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私は著者に対し、または本書に対し、何も知識がなく読み始めた。
なんとなく「中空」、「鳥飼否宇(とりかいひう)」という漢字から連想し、禍々しい感じ!だと勝手に思っていた。
読んでびっくり玉手箱!
まるで高田氏の「QEDシリーズ」を読んでいるような感じがしましたねぇ~。
最初の出だしは鯨氏の「邪馬台国はどこですか?」かな~(笑)。
この2冊でわかるように、本書は鳥飼氏の博識さがとってもよくでています。
「竹取物語」と「老荘思想」の合体。
なんとなく一族の秘密は薄々感じていたものの、いろいろなところに散りばめられたプロットが集結する時のゾクゾク感はたまりませんでした。
私はあまり荘子とか老子とか興味がないので、中盤までちょっとダルダル感があったのも確かですが、それでも読むことをやめさせてくれなかったですね~。
それだけ魅力があるということなのでは?と思います。
またこの登場人物が謎を解決する作品があるとこのこと。読まねば!