- Amazon.co.jp ・電子書籍 (344ページ)
感想・レビュー・書評
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「あの時の意図はこういうことだった」という中にいた人の貴重な証言。分かりやすく伝えるのは政府の責任だけど、一国民としてもマスコミの報道に踊らされないように情報を見極めたい。
あと単純に官邸内部の力学がなんとなく分かって非常に面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[箱の中、飛び込んで来ました]菅直人首相の誕生と共に内閣広報室審議官として政府の要職を務めることになった「メディア人」の回顧録。縦割りの広報体制からの脱却、震災時の広報体制等について触れられています。著者は、テレビ報道を主としながら、市民メディア活動に携わられている下村健一。
いきなり監視「する側」から「される側」になった著者の戸惑い、思うようには改革が進められない憤り、何もできないかもしれないというもどかしさ、一方で、でも何か変わりつつあるという期待等、著者がそのときに感じたことが素直に記録されていると思います。本当にチャレンジ続きの2年間だったんだなと感じるとともに、政権の中枢にいた人の貴重な記録にもなっており、近年の政府公報を考える上で重要な一冊になっているかと。
審議官になる前の段階では、下村氏ほどのジャーナリストでもこんなに政府が見えないものになっているんだなというのも一つの驚きでした。例えば以下の一文は著者が強く本書の中で強調している点なのですが、裏を返せばこれほどに当たり前のことも感ぜられなくなるほど政府が遠い存在になっていると思うと、やはり本書を通じてその実像の一端を示した意味は大きいかと思います。
〜首相官邸で働いて、初めてわかったこと――それは、とても当たり前なことだが、「政府」とは「人の束」なのだ、ということだった。〜
下村氏のもがきが随所に見られる本でした☆5つ