コンテナ物語 [Kindle]

制作 : 村井 章子 
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  • 貨物をコンテナという規格化された箱で輸送するという実に単純なアイデアが世界の物流に革命を起こした話。物流関係の仕事をしている人には勿論、そうでない人にもオススメしたい。

  • 20世紀最大の発明品の1つといわれるのがコンテナ。コンテナの海上輸送が始まったのは1956年3月のことだ。アメリカの陸運業者マルコム・マクリーンは、コスト削減と交通渋滞回避のため運賃の安い沿岸航路に目をつけ、トラックから「箱」だけ切り離して船に載せるアイデアを思いつく。陸上、海上輸送の兼業を禁止する規制当局と戦い、さらには埠頭を牛耳る沖仲仕の組合の抵抗を押さえ、1956年3月、コンテナの海上輸送が世界で初めて実現する。
    天性の企業家マクリーンは次々に船会社を買収し、ベトナム戦争では軍事物資の輸送に食い込み、世界最大級の海運業者に飛躍する。日本、韓国、シンガポールなどアジアの国々は、巨大なコンテナ専用埠頭を設置し、欧米との貿易で巨額な黒字を溜め込み、世界経済への影響力を増していく。グローバルな経済の成り立ちを「箱」に焦点を当てて振り返ったノンフィクション。

  • kindleのセールで購入。

  • 全14章のうち、最終章「コンテナの未来」だけ読んでおけば十分。歴史ドキュメンタリーに耐性があるなら、最初から全部読んでも大丈夫。最終章を読んで、コンテナ運送が発明されるところから現代のグローバル経済までの間に何があったのかに興味が湧いたら、最初から読むとよい。

    舞台の大半はアメリカで、中心はマルコム・マクリーンというコンテナ輸送を商業化した人物で、地理もよく知らん地名が連呼されるし、距離も重量も速度も金額もアメリカのあれなので、早いうちにそのあたりは諦めた。

    間違いなく破壊的イノベーションの実例。動かす金額の大きさや、法規制との絡みで、なかなか開花しない。でもどうにかコンテナ船が開発できて、コンテナ積み下ろしできる専用の港ができてからは、ドラゴンボールばりに船の大きさとかインフレ起こしてて、なんじゃこれやべえなって。こういうことかと。

    各章読んでいくのは辛い。例えば6章の、コンテナ海運で従来の港湾労働者が職を失うのはそうだろうなあと各章の執念深い掘り下げに驚嘆しつつも、本全体における各章の位置付けが見えにくく、いつまでこの労働争議の話が続くんだ、、、辛い、、、投げたい、、、みたいな感じで13章あって、とにかく最終章から読め。

    コンテナが海運鉄道トラック運送をシームレスに結びつけることで、グローバルなサプライチェーンを成立させる一方で、コンテナ船が停泊できるような港がない場所や、港から鉄道やトラックにシームレスに連携できてない、社会インフラ整備が遅れている国や土地が、グローバリゼーションの恩恵を受けきれてない姿を描いたのは上手いと思った。

    エンジニアリング組織論への招待にあった、PDCAからトヨタのジャストインタイムから紆余曲折でアジャイル開発への流れがあった歴史の話と、コンテナによる予測可能な運送がトヨタのジャストインタイムを成立させたという話は、複数の本がひとつのエピソードで交差してるのを目撃してニヤリとした。

  • 概要: コンテナが海運をどのように変えたか; 既存の海運会社や労働者(沖仲仕)の抵抗; リスクをとる強い起業家; 標準化におけるデジュールとデファクトのせめぎあい; 港の間での設備投資競争
    思ったこと:
    - たとえメリットが大きくても技術革新が普及するには時間がかかる
    - 運輸コストの低下はグローバリゼーションの進展に大きく影響したといえる。別の国で作ったものをローコストで運べるようになると同一労働同一賃金に近づく。

  • 最近、IT業界では、クラウド技術の中核として、Dockerコンテナーが流行っていて、何と無くノリで買ってしまったが、非常に考えさせられる内容で満足。

    1950年代に先見の明があるマクリーンによって、それまでの船による輸送の効率化にコンテナーが使われるように。それまでクレーンとかも整備されておらず人の力で、船からの荷下ろしなどをするモデルだったところに、荷物をコンテナーに入れて、クレーンで荷揚げ荷降ろしをするモデルに変え、大量輸送によるコスト削減を実現。
    当然ながら、旧来のモデルでご飯を食べていた沖仲仕などからの反対などにあいながらも少しずつ発展していった。

    この新しい輸送の発展で、利益を得たのが日本の電機産業というのは知らなかった。アメリカからコンテナーで物が届いて、空のコンテナー送り返すの無駄なので、輸送料金も安くして日本からの電化製品をアメリカに送ってたらしい。

    コンテナー普及には、コスト削減が発展の為のドライバーになっていて、その裏の計算には、コンピューターの採用も有ったらしい。最適化とかはまだ出てきてない頃の話。

    しかしながら、コンテナーによる覇権は、一社によらない所が切ない。発展の為の規格が、スイッチングコストも限りなく下げてしまった。努力しても安い方が選ばれてしまう。顧客にとってはありがたい話だけど。

    IT業界も既にAmazonによってクラウド領域は、非常に低価格の価格競争に陥っているが、ここにDockerコンテナーが普及することで、Microsoft ,google,IBMなどレッドオーシャン必死。インフラ構築のSEと沖仲仕が被って見える。
    コンテナーの発展の影響をうけて企業のサプライチェーンが高度化していった辺りは、IT業界に起きている変化の次を考えるポイントになりそう。

    この本は、IT業界の人は読むと良いかも。

    本自体は、中盤の記録的記述がおおいので、流し読みで良い感じ。






  • コンテナが導入されることで物流が変わり、企業は国内生産から人件費の安い場所へ国境を問わずに工場を作るようになる。伝統的な港湾労働者は仕事を失っていく。
    いかに、一つのシステムの形成によってエコシステムが変わっていくのかがみえて興味深い。

  • 機械化の歴史はストライキとの戦い
    経営者はいかに人を使わずすすめるか

  • コンテナという発明により、工場は立地に縛られる事がなくなり、輸送コストは激減した。導入部の展開は面白そうではあったが、アメリカ国内の労働組合、利権との関連などそこまで興味は惹かれなかった。時間があるときに再読したい。

  • 20世紀最大の発明であるコンテナの歴史を追ったもの。コンテナという標準化された規格と、それに最適化された機械装置や物流システムというのは、考えてみれば確かに大変なことだと思う。それが現在のかたちとなるまでには様々なプレーヤーの思惑やそれ同士の対立があったけど、それでもわずか半世紀で世界中に普及し物流のパワーバランスをガラリと変えてしまほどにコンテナの威力は凄まじかったわけで。
    ただ、いかんせん長い。コンテナをめぐるあれやこれやを微に入り細に入り活写するのでなかなか進まない。流石にもう少し切り詰めてくれてもいいんじゃないか。半分の長さだったらすごく面白かったんだろうに。

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