里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21) [Kindle]

  • KADOKAWA / 角川書店 (2013年9月10日発売)
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里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)の感想・レビュー・書評

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  • とても面白い。
    サブシステムとしての里山資本主義、とても正しいことを言っていると思う。

    途中、「それで原発を止められるのか」と批判されることがある、という話しが出てくる。ひとつのことで、エネルギー問題を全部解決できちゃうようなステキな解などないとわかりきっているのに、こういう批判がいつまでたってもなくならないこの国のエネルギー議論。だから、著者の「サブシステムとしての」という考え方はとてもしっくりくる。

    日頃、マネー資本主義ど真ん中な自分のなりわいに、違和感というか疑問を感じている中(かと言って現実的にはそれをやめるられるわけでもない)で、ある意味つらい読書だったかな。

    ま、単純に言うなら、「里山行きたーい」ていうことです^^

  • 幸せとは何か?つながりでは?

    地域社会内での物々交換は、GDPには換算されないけど、
    お金が地域外に出て行かないという意味で、地域が豊かになる。

    里山の木材の活用→エネルギー問題のサブシステムとはなりうる
    オーストリアでは、脱原発を達成している。

    化石燃料を購入することは、資産を外部に出しているということ。

  • ツイッターやら2ちゃんやらFACEBOOKやらで日々の愚痴をこぼす前に、これ読んでメシ食ってたっぷり寝て次の一日を過ごしたらいい。

  • うん。経済は経世済民!

  • これ、めちゃくちゃ面白かったです。「世の中はマネー資本主義だけで回る」
    「もっと高い評価を得てもっと稼ぐことが幸せ」
    「原発ゼロは無理、電力の外国依存は致し方ない」
    「大量生産しなければコストが下げられず競争できない」

    このような「常識」のもとであくせく働いている都会人。だれもこの常識を疑わない。そしてグローバルな時代も押し寄せ、一見見放されていると思われている地方の田舎暮らしの人たちが、実は最先端を生きているというお話。地方に生きる人の知恵と自然の恵みと絆、それからモチベーションがスゴイ。

    岡山県真庭市の銘建工業。鉄筋とコンクリートにより廃れた林業であるが、豊かな森林資源にあえて目をそむけず現実を見据えて開発した木質ペレット。これによりほぼ100%の電力を賄うことに成功。このペレットは製材過程で出る木くずなどを利用。自家発電による電気代1億円が浮き、さらに蓄電して売ることにより5000万円の売り上げ、そして木くずの産廃処理2.4憶円が浮く、総じて年間4億円が手元に残っていることになる。

    広島県庄原市。エコストーブの開発。木の枝数本で暖房から炊飯までできる。5~6000円で製作化。これで炊いた飯が美味いのだそうだ。当然電気代ゼロ。

    エネルギー資源に乏しい日本は貿易黒字をエネルギー輸入に使ってしまっているが、田舎の荒れ放題の山を以上のように活用することで少なくともその地域は電気を自給自足できるのだという。

    著者は資本主義も原発問題もなくして、日本人がみな田舎暮らしを始めろと言っているわけではない。しかし大きく膨れ上がった今の資本主義やエネルギー問題が破綻するとその影響は計り知れない。東日本大震災でそれを経験している。そうならないためにもサブシステムとして、地域は地域で賄えるシステムを構築すべきだと提案しているのである。

    オーストリアのとある町は町規模だ。エネルギー資源が乏しいのは日本と同じだが、なんと憲法で原発を禁止(オーストリアでは町民が政治を決める)。

    これだけではない。他国より輸入している6%のエネルギーが原発によるものだとして、このエネルギーも輸入しないことにした。

    どうしたか?

    豊かな木を徹底的に活用し木質ペレットを町全体で活用、このペレットを使うボイラーを開発、ガソリンタンク車のようにペレットを輸送するシステムも作り上げた。ちなみにペレットは燃焼効率92~93%と石油のコストパフォーマンスを越えている。驚くなかれ、オーストリアでは森を管理することを学ぶ大学があり、地位がたかくかっこいい職業なのだそうだ。育った分だけエネルギーに使うため、山から森がなくなることはない。石油はなくなるが。

    里山の力が本当に世界を変えると思っている人たちがいる。東日本大震災や原発事故を起こしても結局は何も変わっていない。いったん原発にそっぽを向きかかけた人々に「電気代上がりますよ」「他のエネルギーは効率悪いですよ」と不安をあおり、思考停止にさせて結局再稼働やむなし。

    ほんとにそうか?

    都会であくせく働き結果を求められ、コンビニ弁当ほおばりながら頑張る。

    その先にくるのは本当に幸せな未来か?

    発売から2年以内に消えるヒット商品ー52%
    新発売かの商品が利益を得られる期間ー1.5年
    仕事の満足度39%

    大量生産大量消費の時代が残したのは結局は短命な商品ばかり。これでほんとうに儲かっているといえるのか?

    今の日本人たちが思いこんでいる「常識」をすでに疑い、行動に出ている人たちが本書ではたくさんでてきます。

    これは読む価値ありです。

    中学生の時、将来就きたい仕事にただ一人「農業」と書きました。里山を見据えて先見の目があったか(笑)

  • 里山は資源の宝庫。
    いわゆるGDPの成長率じゃなくて、
    もっと違う発展の仕方があるよね。
    ってのがザックリとした総括。
    お金のやりとりが活発になる=幸せ
    ではないよねというのを、
    いろんな事例を示しながら述べてくれています。
    エネルギーはやっぱ大きいよなーと思いました。
    自給できるだけの資源があるんやから、
    できるとこからやっていけばいいのに。
    重厚長大の時代は終わったよ。

  • うーむ、「里山」というファンタジーだねえ。
    仮想敵たるマネー資本主義のカウンターパートとして想像された、理想郷的な理念。論者によっても文脈によってもその意味するところはころころ変化する同床異夢のぼんやりとした概念のまま、「里山」というキーワードだけが一人歩きしている感じ。オルタナティブな経済体制の提案なのか、経済的な豊かさとは別の価値観の復権なのかすら定かでない。通して読むほど里山資本主義がなんなのかさっぱりわからない。それにもかかわらず、とにかく里山資本主義はいい!ということだけが語られる。
    そもそも、日本の地方で里山として考えることのできる地域はごく僅かだと思うんだよね。地方といっても、その大部分はもはや里山ではなく、かなり郊外化してる。ロードサイドにはチェーン店が並び休日にはイオンに行くような日常と、ここで描かれる里山とでは同じ地方でも大きな隔たりがある。けっきょく、里山と言ってもそれは一部の地方のそのまた一部の条件が揃った地域の話。
    もう一つ言えば、見方や考え方を変えてマネー資本主義を超克すれば、「本当の暮らしの豊かさ」と「お金より大切なもの」のある「楽し」く「素晴らしい」「桃源郷」が実現するかのような言説は、人々が「里山」から去った理由をずいぶんと甘くみているなと。里山資本主義でポジティブに語られる地域の繋がりや絆といったものそれ自体が束縛や陋習を生み出しているわけで、ことはそう簡単には進まない。里山の衰退は、経済的事情だけではないのですよ。
    もちろん、ここに紹介されている各地の成功例は確かにあるし、それを否定する必要はない。たぶん参考にできる地域もいっぱいある。でもそれは、各地域が個々に実践する生存戦略として有効ということであって、あくまでも個別的・局地的な解に過ぎない。里山"資本主義"と呼ぶほどの普遍性・全体性があるかと言えばまったく弱い。「里山細腕繁盛記」くらいにしておけばなるほどなーこんな取り組みしてるんだー、で済んだのに、マネー資本主義へのなんちゃらとか本当の豊かさがどうとか言いだすからファンタジーになっちゃう。此処ではない何処かという彼岸を里山に仮託したファンタジーでは、人は食べていけないし幸せにもなれないと思うんだけどね。

  •  いわゆる「マネー資本主義」の流動性は様々な脆弱性を生んでいる。それは東日本大震災でそれが露呈されたのだが、未だにその脆弱性にすがったままでいる。
     そんな脆弱性へのリスクを少しでも回避すべく(むしろ「マネー資本主義」とは別の原理で動く原理として)、著者が提唱するのが「里山資本主義」だ。詳細は本書を読めばわかるが、サブシステムとしての別の原理を持つべきであることには賛成だ。都市に生活している者の視点から見れば、お金では換金できない事態が起きたときにどうやって資源や物資を調達しながら質のある生活していくかを考えると、基本的なことだが、基本的な人間関係や「絆」、自活できる分の備蓄など、心の内面に関わる関係性やシステムを構築しなければならないわけだ。
     ただし、人口減少社会である以上、都市だろうが地方だろうが、全体としての人口は確実に減っている。つまり、UターンやIターンで地方での人口が増えても、最初から人口減少を想定した制度に大幅に改めなければならない(そこに移民受け入れの議論をしても同じことである)。そこまでの制度設計が急務である。

  • 金融資本主義の限界が見えてくる中、特に日本では高齢化、人口減が進み、もはや大きな成長は望めない昨今。どことなく社会全体に閉そく感が漂う。本書で紹介される、里山を中心としたエコシステムは、エネルギー、食糧の自活だけでなく、人々の暮らしに生きがいをもたらす可能性がありそうだ。50年後の日本。人口は減るが、高齢化は一息つく。東京でグローバル社会で第一線で働く人々と、そうではなく、地方を中心に穏やかな暮らしを送る人々とが、絶妙なミックス感を醸し出し、世界で初めて高齢化社会を克服した国として独特の存在感を持つ国。そういう道もあるかもしれないと感じさせてくれるだけで、社会に与えるインパクトは大きい1冊だと思いました。

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