経営センスの論理(新潮新書) [Kindle]

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  • <a href="http://blog.goo.ne.jp/rainygreen/e/1cad84d84e6a0bb32d1745037f2e8eb4">『ストーリーとしての競争戦略』</a>の楠木さん、3年ぶりの著作。
    Kindle版にて読了しました。

    もともとWebに連載されたものを書籍化したものということで、一冊を通しての論考というよりもエッセイ風の趣きがあります。
    そのことを以てAmazonのレビューなどでは低評価を下す向きもあるようですが、楠木さんに云わせれば、こういう著作から糧になるものを読み取ることこそ「センス」の成せる業なのだ、ということになりそうな…

    自分にセンスがあるなどと云うつもりは毛頭ないけど、個人的には十分に面白くて刺激的な要素がいっぱい詰まっている一冊であるように思いました。
    名言の宝庫というか。

    ・「イノベーション」は「進歩」ではない。イノベーションの本質は「非連続性」にある。そして、イノベーションとは供給よりも需要(「いまそこにある」ニーズ)に関わる問題である。イノベーションは「できるかできないか」よりも「思いつくか思いつかないか」の問題であることが多い。

    ・企業の競争力を評価する際、「森を見て木を見ず」「葉を見て木を見ず」「土を見て木を見ず」になりがち。
     森:景気や業界構造、木:個別企業の戦略、葉:目につく個別の施策、土:国の土壌

    ・「攻撃は最大の防御」の前提は、すでに「防御」の必要が生じていること。ネガティブな状況に追い込まれている時に防御一辺倒になるとやたらとコストがかかる。「攻撃は最大の防御」の妙味はコストよりもベネフィットがやたらと大きいこと。

    ・多様性(ダイバーシティ)それ自体からは何も生まれない。多様な人々や活動をひとつの目的や成果に向けてまとめ上げる「統合」にこそ経営の本領がある。

    ・グローバル化の本質は単に言語や法律が違う国に出ていくことではなく、それまでのロジックが通用しない未知の状況でビジネスをやるという「非連続性」にこそある。

    ・国が抱える問題は「複雑性」と「不確実性」に分けられる。日本の場合、複雑性が高い。社会を統治する仕組み(ガバナンス・メカニズム)には「市場」と「組織(政治)」がある。市場は不確実性への対応、組織(政治)は複雑性への対応に力を発揮する。

    ・日本企業には「専業」で成果を上げているところが多い。逆に「ポートフォリオを最適化する」ことでうまくやっている企業は多くない。ポートフォリオ経営で求められるセンスは金融業のそれである。金融(投資)という仕事には終わりがある。ポートフォリオ経営の本質は過去を忘れる力。一方、事業経営に終わりは無い。一意専心の経営は時間軸を長く取ればむしろ変化対応力をもたらす。

    ・戦略の本質は競争相手との「違い」を作ること。「違い」を作る考え方には「ポジショニング」と「能力」の2つがある。相対的に資源制約が強くかかっていればポジショニングで勝負することが多い。成熟とともにポジショニングから能力へと戦略の軸足がシフトする傾向にある。資源制約がなければ戦略は必要ない。

    ・抽象と具体を行ったり来たりする振れ幅の大きさと往復運動の頻度の高さとスピード。これが「地アタマの良さ」。

    ・情報をインプットする目的は2つ。1つはインプットそれ自体のため(趣味:自分のため)、もう1つはアウトプットを生むため(仕事:他人のため)。

    ・勉強の面白さは、知識の質に関係している。上質な知識とは「論理」である。

    …などなど。

    いろんな場面で使えそうなヒントに溢れていると思います。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。一橋ビジネススクール教授。専攻は競争戦略。企業が持続的な競争優位を構築する論理について研究している。著書に『ストーリーとしての競争戦略──優れた戦略の条件』『「好き嫌い」と経営』『「好き嫌い」と才能』(共に東洋経済新報社)、『好きなようにしてください──たった一つの「仕事」の原則』(ダイヤモンド社)、『経営センスの論理』(新潮新書)、『戦略読書日記』(ちくま文庫)、『すべては「好き嫌い」から始まる──仕事を自由にする思考法』(文藝春秋)などがある。

「2019年 『室内生活 スローで過剰な読書論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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