ルールを変える思考法 (角川EPUB選書) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • ゲームを通じて「ルールを変える」ことの重要性に気付いた著者ですが、ビジネス世界でも同様だと断言。確かに、現実社会でも仮想通貨や脱炭素のカーボンプライシングなどいち早く新たな市場をみつけ独自のルールや仕組みを作ったものが有利という状況になっている。本書では、ドワンゴやニコニコ動画での体験が興味深く語られる。

    著者:1968年生まれ。京都大学工学部を卒業後、コンピューターの知識を生かしてソフトウェア専門商社に入社。同社倒産後、1997年、PC通信対戦ゲームのシステム開発会社として株式会社ドワンゴを設立。2000年から代表取締役会長。携帯ゲームアプリや着メロなどのサービスを次々と手がける。2004年東証一部上場。2006年には子会社ニワンゴにて動画共有サービス「ニコニコ動画」を開始。2014年株式会社KADOKAWA・DWANGO会長に就任。著書に『ルールを変える思考法』(EPUB選書)ほか。

  • 相​手の出方次​第でまったく局面が変わってくる​将棋や囲碁の​対局で求められる思​考は、現​実社​会で求められる思​考と近くなります​。▼『ルールを変え​る思考​法』 川​上量生(​角川EPUB選.​..

  • ビジネス

  • 『ルールとは変えられるもの。競争に勝つには自分が有利なようにルールを変えることこそ、現代社会での競争の必勝法なのです』という川上さんの言葉は本質を捉えている。川上さんの言葉は分かりやすく、深いです。

  • ドワンゴ会長川上氏の、無類のゲーマーであるゆえの独自の経営観が詰まった一冊。深い洞察に裏付けられた納得的で刺激的な意見が多数散りばめられていて、激しく面白い。マジ頭いいなこの人。

    現実のビジネスは最もリアルな「ゲーム」であり、ゲームに勝つためには「ルールを変える」視点が重要。与えられたルールの中でパラメータの振り方を考えているだけでは勝てない。

    すべてのビジネスは、「時代性」と向き合い、常に覇権交代の危機に晒されていることを自覚すべき。Facebookのように実名ベースにするという方法は「やめにくくさせる」ための一つの手段として効果的と言える。

    ビジネスの世界で大切なのは、人を蹴落とすことではなく、自分が生き残ること。いたずらに戦うことを戒める孫子の兵法には一理あり。

    「競争相手が出てきたらそのビジネスからは撤退したい」
    サービスの運営と、それを完成させていく過程の全てをその相手に任せてしまって、自分はそのサービスを利用する側に回る方がラクだから。
    「うちがやめたら誰もやらないようなこと」だからこそ、競争なく楽しく仕事ができ、ビジネスとしての成功確率も上がる。

    ニコニコ動画の黎明期、ひろゆき氏から「ユーザーは『ネタ』を肴に盛り上がりたいだけでコンテンツの良し悪しは重要ではない」「違法動画を駆逐しても他の動画で盛り上がるだけなので問題ないだろう」というアドバイスを受け、「他の動画サイトでは見られる違法動画が、ニコ動では全く見れない」という状態に振り切ったという逸話。
    長期的な戦略としてコンテンツホルダーとの良好な関係を重要視していたためこのような決断ができた。そして結果的にひろゆき氏の言うとおりになった。

    日本は、日本語というローカルな言語が使われ、文化的にも特殊性が非常に強い国である。このため、日本独自のサービスが作りやすいというメリットがある一方で、海外展開が難しいというデメリットがある。この事実を見落とさず、サービスの性質を作り込むことが重要。

    日本には「教育水準の高いヒマ人が多い」「ネットに繋げられるヒマ人が多い」ことで、世界的に見ても特殊なエネルギーを持ったネット文化が形成されている。

    電子書籍は購入後にどんどんアップデートされていく(改版、加筆等)仕組みになっていくべき。「更新や変化を続けていくコンテンツ」には不正コピーも対応できない。

    ブロマガは、いきなり一般ユーザーに展開すれば「金儲け主義のサービスを作るな」的な批判を受けることが予想されたので、まずはコンテンツでお金を取っても当たり前と思われるような著名人に絞ってサービスを開始し、ユーザーから「どうしてプロにだけ稼がせて俺たちには使わせないんだ!」という声が出てきたところで一般解放した。上手い。

    MMOPRGで数百人のパーティーを仕切るような場合、「出現したレアアイテムは誰のものにするか」等の問題が発生する。これに対して、ドワンゴ社員のスーパーゲーマー佐野氏は「ゲームにおける貢献度」を数値化する仕組みを作り、新しい敵や難しい敵と戦うときには高い貢献度ポイントを用意するなどの工夫で「人の気持ちのマネジメント」を行ったそう。実際にこれで揉め事が全く起こらなくなったらしく、すごいの一言。
    実務のチームビルディングにも十分に応用できそう。

    我々はパソコンやスマホはバリバリ使いこなせても、洗濯機や炊飯器はほとんど基本機能しか知らなかったりする。逆に我々の母親のような世代は洗濯機や炊飯器にはとても詳しかったり。誰しも「自分のフィールド」の外に出てしまえば実はバカな人間になるもの。

    ひろゆき氏曰く、ネットサービスでは「如何にユーザーを囲い込むか」ではなく「人が入れ替わっていくこと」を前提に考えるべきとのこと。囲い込みで「常連ユーザー」が跋扈するようになれば、それはサービスの衰退の始まり。

    Googleを始めインターネットが人の「外部記憶装置」となるという考え方は綻び始めているのではないか。実際のところ、現代人は「頭で考えること」すらもネットにアウトソースしてしまっていないか。

    人類は社会システムによって自らを守る生存戦略を取っているが、これが「自己家畜化」を引き起こしていると言われている。上記の、「人間の思考すらもインターネット上に流出している」という現状を見ても、もはや人間は社会システムの中の部品でしかなく、近年の文明の進化は人間の進化ではなく「人間の外にある社会システム」の進化でしかないのではないか。そしてその進化の速度はインターネットによって今まさに加速しているのではないか。

    歴史は繰り返すものだとするなら、アナログからデジタルへの転換など、古い世界が消えて新しい世界が生まれようとしている時には、むしろ古い世界をなぞるようにして同じことをやるのがいいはず。

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    追記

    「人々はネットを外部記憶装置として活用しているつもりが実際には記憶どころか思考すらもネットに流出していて、人間はほとんど社会システムの部品と化しているのではないか」という示唆に関連して。
    自分はGoogle、Apple、Amazonといった巨人に「支配」されることで生活が便利になるならそれで全く構わないというスタンスなのだけど、その根拠は単純に「ラクしたいから」であり、もしかして思考停止に陥って部品化している状態なのだろうかと少し悩んでみた。
    ただ、自分がラクをするために巨人に依存したいのはあくまで「ネットと実生活の『インタフェース』」であって、支配者であるネットを「逆利用」してやろうという気概はまだ保てている気がするので、今はまだ個人としてこのスタンスを無理に変える必要はないかなという結論に至った。

  • 楽して儲ける、競合調査はしない、意味のない事に意味がある
    など川上さんらしい言葉。

    ゲームから経営、人生を学んでいる

  • 5/13 26冊目。

  • わかりそうで、わからないものに人は惹かれるのか。なるほど。

  • 「ニコニコ動画」の歴史、生まれた背景がよく分かる本。残念ながら、そこまで興味が持てなかったのであまり面白く感じなかった。けど、レイザーラモンRGとの「ルールを変える思考法」の共通項を見いだせた

  • ルールとは何か,コンテンツとは何かについての川上さんの考え方が語られていて,なるほどと思えることがたくさんあった.
    ニコ動を中心とした話になると,ニコ動を詳しく知らないのでちょっと着いていけなくなってしまったが,本書を通じて感じる「ルールというものに対してどう向き合うか」といった姿勢や,「コンテンツというものは何なのか」についての思考などは,(自分がそれを取り入れるかどうかは別として)大変勉強になった.

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著者プロフィール

かわかみ・のぶお 1968年愛媛県生まれ。91年京都大学工学部卒業。97年8月ドワンゴを設立。株式会社KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長を経て、現在はKADOKAWA取締役、ドワンゴ顧問、学校法人角川ドワンゴ学園理事などを務める。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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