文藝春秋 2013年 12月号 [雑誌]

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  • / ISBN・EAN: 4910077011235

感想・レビュー・書評

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  • 春樹なんか、読めるかい!
    偏屈な読書人にとっては、人気がありすぎ既に評価が完全に定まってしまっている村上春樹の作品など今更ありがたがって読むのには抵抗がある。なにを読むべきかの選択眼になまじ自負があり過ぎて、「自分が見出した」とか「自分だけが解っている」という満足感がない本にはなかなか手がでない。

    かくいう私自身も、この書き手の桁外れの才能は認めながらも『1Q84』も『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』にも背を向けて手に取ったことがない。
    それでも、家に送られてくる航空会社のPR誌にたまた掲載されていた、たしかギリシアのどこかの島を何十年かぶりに訪れた短い旅行記をなにげに読んでこの人のただ者ならざる文の魅力に舌を巻いた。
    ブックオフの100円のワゴンに打ち捨てられていた薄汚れた文庫本に収められていた『蛍』を立ち読みから、気がつけば知らぬ間に会計を済まし「歩き読み」してあっという間に読めてしまったこともあった。

    この度は、地下街の小さな書店のレジ脇に積み上げられた文藝春秋の最新号に添えられた、「村上春樹の短編掲載」とポスイット大の小さなチラシが目に入った。目当てだった別の本と一緒に買い求めパラパラ見てみるだけのつもりが、立ち読み~歩き読み~思わず近くのカフェに入り一気読み~気がつけば読了。エスプレッソは冷え切り。
    私のような素直じゃない隠れ春樹ファンにとっては、こういう脇道的というか変化球的な出会い方がよい。
    「春樹には人間が書けていない」とか、極めて生意気な毒舌をはいた太田光なんかも、こんな出会い方をしてたらもっと素直に楽しめただろうに、と思ってしまう。

    今回の『ドライブ・マイカー』なのだが、主人公の中堅男優は職業として演じることと、夫婦生活を一種「演じて」いたことに、やはり女優だった妻を失った痛みを抱え続ける中で思い至る。だが、その演技は真実とは異なる「虚」なのではなく、互いに演じている部分を内包しながらも(妻も理由不明の不倫を幾度も重ねていた)そういう日々を積み重ねるうちにその日々はかけがえのない「実」の人生となる。
    そして、彼が職業として演じることにも、妻が「虚」の男女関係を重ねると同時に彼との夫婦関係を演技にしてしまわざるを得なかったことにも、なにやら人間存在の奥に潜む根源的な理由がありそうなのだ。物語はその理由を一貫して暗示しながら終わる。その深さに、私は読んでいる間に一度も息をついた気がしなかった。

    わき役と小道具もまたいい。
    語らせ役の若い女性運転手のキャラもじんわりいい。
    主人公の愛車の黄色のサーブカブリオレもいい。個人的な感慨なのだが、二十年ばかり前、国産車からボルボのワゴンに買い換えたとき、同じスエーデン製のその車とどちらにするか大いに迷ったことがあった。ボルボもサーブもともに堅実で実直なデザインと作りの車だが、そのころ売られていた黄色とかマーブル・グリーンの目に鮮やかなボディーカラーの車体に趣味のよい濃茶の幌をかぶせたサーブのカブリオレだけは、北欧車のイメージからは突き抜けた煌びやかなのにあか抜けたなんとも魅力的な一台だった。
    主人公が「革のシートに深く身を沈め」という字面の上を目が通り過ぎたとき、私は二十年前の、あの、後ろに幌を巻き込んで、その収納部分があるおかげで2人しか座れない後部座席の、硬くいかにも良質そうな革シートをぽんぽん手で叩いて確かめた時の感触がありありと蘇った。
    こんな、狭い嗜好的なエピソードにことよせて、その実普遍的な深みへと落としてくれるトラップを随所に仕掛けてくれているのもこの書き手の芸なのかもしれない。

    『蛍』が『ノルウェイの森』に発展したのと同じに、『ドライブ・マイカー』もやがてくる長編大作を予感させてくれる。と、いうのも『ドライブ・マイカー』もまた、ビートルズナンバーにちなむタイトルであるからだ。
    今、この一遍を800円で読めてしまうのは極めてリーズナブルである。

  • 村上春樹の書き下ろし新作短編「ドライブ・マイ・カー」を読んでみた。タイトルはビートルズの曲名。「女のいない男たち」という副題がついている。北海道中頓別町の町議がたばこのポイ捨ての描写に噛みつき、村上春樹が謝罪したことで話題を呼んだ。亡くなった妻の不倫相手と語りあう男が主人公。喪失感の描き方がいかにも村上春樹らしい。この作品だけでは短すぎて消化不良だと思ったら、翌月号に「…2」が掲載されるというので読んでみることにする。
    (B)

  • 中頓別(なかとんべつ)町で話題になった、村上春樹のドライブマイカーを読んだ。その他、みのもんたのインタビュー、伊藤忠社長の猛烈仕事感、ケネディー暗殺のソ連陰謀説、ユニクロ労働現場批判、五木寛之選の読者投稿うらやましい死に方。

  • 村上春樹の『ドライブ・マイ・カー』だけ。

  • 村上春樹「ドライブ・マイ・カー」

  • 村上春樹氏書き下ろしをとりあえずコピー。

  • 春樹さんの書き下ろし短編目当て。
    うん、アッサリしてるけど結構面白かった。
    余韻のカンジがいい。

  • 村上春樹の書き下ろし小説”ドライブ・マイ・カー”目当てで読む。
    初老?中年の中堅俳優が、亡くなった妻の断続的に相手を替えて浮気をしていた事実に悩み葛藤している、無口なお抱え運転手(女性)相手に
    車中で打ち明けている… という内容。

    春樹には珍しく、出てきた運転手の女性が地味な女の子というのが良かった。

    五木寛之監修の”うらやましい死に方”興味深く読む。
    病院よりも、自宅で亡くなるほうが、圧倒的に安らかな死を迎えられるのだと気付く。

  • 機内で借りて読む。「山崎豊子先生の素顔」という秘書のエッセイで初めて山崎作品をささえた分厚い取材の裏側に触れた気がする。情熱の作家を有能な秘書がささえて、あのような素晴らしい作品がうまれたのだろう。あらためて山崎豊子は立派だとおもう。

  • 村上春樹のドライブ・マイ・カーを目当てに買った。
    藤原智美のSNSが人の読書欲をなくさせてひとをだめにするっていう主張もおもしろい。気をつけよう!!


     俳優の福家と亡くなった美人女優・奥さんの夫婦関係はぎこちなかった。奥さんは結婚をした後、4人の男性と関係を持った。奥さんが亡くなったあとに、そのうちの一人高槻さんという二枚目俳優とよく飲むようになった。しかし、今はもう会いもしない。福家は運転手の若い女性と過去のできごとを話す。
     
     素直で何を考えているのか全て見通せてしまう高槻さんが素敵だと思った。いい俳優にはなれなさそう。。。奥さんの話をするときに目がうるっとなるのがいい!

    文芸雑誌はたまに読むと面白いと思ってあんまり買わないけど、村上春樹の連載があるから買おうと思う。

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