キッチン [Kindle]

著者 :
  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • えりこさんの人生観素敵。
    —-
    本当にひとり立ちしたい人は、何かを育てるといいのよね。子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると自分の限界が分かるのよ。そこからが始まりなのよ。

    でも人生さ本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことが何かわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。



    幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。

  • ばなな先生の(おそらく)最高傑作であり、デビュー作でありながらその後の彼女の作品の根底に流れる重い主題が既にはっきりと現れる名作。

    作品全体に流れる基調低音のようなテーマ。家族とは?愛とは?そんなことを逐一読者にじんわりと問いかける物語。

    みかげが深夜にカツ丼を持ち帰りにして、いきなりタクシーに飛び乗り、雄一のいるとなり町へ衝動的に届けに行くシーンがとても好きだ。
    温かいカツ丼から上がる湯気も、サクサクとしたころももふわふわとした卵も、みんなページの、無機質な活字の向こう側から匂い立ってくるような素敵な文章。

    登場人物が一人ひとりとても愛おしい大好きな一冊。

  • えりこさんが好きだという人、かなり多いのではないか?愛した人がいなくなった
    もう男である必要はなくなった。
    物語というより、言葉力を感じる。何か詩や短歌を読んでいる感覚になった。あまり自分には刺さらなかったが。

  • 詩を読んでる清らかな気持ちにさせてくれた
    どこか女性の為のエッセイのような文の強さがあり植物を育てる多さで表されてるところとか自分と照らし合わしてそう感じた
    生は死と常に隣あわせ、大切な人がいなくなることもある、悩み心が不安定に時間は止まてくれず目に見える物はグレー映る。本当にそう思う。でも気づいて欲しいんだと、温かく美味しいご飯、他人の優しい心、その日が辛い1日だったとしても1つ何かしら幸せだったことあるでしょと。まあまだ先は長いから先ずはキッチンに行きなさいと解釈した、ちかちゃんみたいな方法も人によってはあるかもですとも解釈
    ある程度乗り越えてきた今の自分だから読んでよかったと思えたかも知れない

    好きなフレーズ引用
    本当にひとり立ちしたい人はなにかを育てるといいのよね
    人は状況や外からの力に屈するんじゃない内から負けこんでくるんだわ
    私とカツ丼を乗せて
    運命はその時一段もはずせないハシゴだった
    それでも突然息が楽になる瞬間ぎ確実にあるということのすごさが私をときめかせる 度々 ときめかせる

  • 読んでよかった。
    ずっとずっといつか読みたいな〜くらいに思い続けていた本。やっぱりそういう本はどんどん読んで行った方がいい。
    久しぶりにするすると続きが気になっての読み続ける経験をした小説だった。
    今度から理想の人を聞かれたら雄一と答えてしまうだろう。
    「食べ物を作っている時が生きているって感じる」って言っていた友達の言葉を思い出した。その時は笑ってしまったけどそのことを感じていることは凄いことで素敵なことだと思う。

    もっと生に足をつけて、死に自覚的であろうと思った。

    大学に入って恋人という形に拘らない人達と一定数出会って、頭では理解出来ていたけど多分なんとなく理解出来ていなくて。でももしかしたらこういうことなのかもしれないなあと読みながらその人たちの顔が浮かんだ。

    私は多分高校を境に何かに傷つけられたり打ちのめされたりする瞬間がぐっと減って、それは勿論それをされる環境が少なくなったのもあるし自分の生き方が変わって傷つけられないようにたち振る舞えるようになったからだとも思うんだけど、そのおかげでずっと弱くなったと思う。それはいい事でもあるし生きやすいことでもあるけど、強さみたいなものは少し失われたのかも。
    小中の時の固くて痛い強さじゃなくて違う強さを身につけていきたいですね。
    私ももっと強くなりたいし、なるよ。

  • どんなことがあっても孤独なこと、一人では生きられないこと、対照的なようで同じようなことだと思います。大切な人との別れによる心理描写が心に響き、考えさせられました。自分にとってはリアルタイムで読むべき作品だったと思いました。有名なこの作品を読めて良かったです。また読み返してみると、捉え方が変わるかもしれないと思います。

  • 吉本ばななの小説は初めて読んだ。

    なんと文章の綺麗なこと…。
    表題のキッチンよりも、ムーンライトシャドウの方に深く深く感激した。
    どちらも死を扱う物語だけど、痛烈な悲しみをムーンライトシャドウではより深く感じた。
    大切な人を亡くしたことはまだないけど(祖父母は除く)、気が狂いそうになるほどの絶望が簡単に伝わってきて、色々考えてしまい読み進めるのに苦労した。


  • 淡い…
    無くす事と得る事の両方をじんわり感じられる小説。
    有名作品なだけあり、
    読みやすく得られるものが多いと感じた

  •  大切な人を失って、それを乗り越えたい時とか、乗り越えた直後に読んだら、また違った印象を抱くと思うし、何か心に残るものがあるんだと思う。

     今は、まだ、その時期じゃないから、ふといつか、また手に取れたらいいかな。耳に響く重低音の悪夢を見ることが、今の自分には辛かった。形を変えようとしていたものが、元に戻ってしまうみたいで。

  • 両親のいないみかげ。
    たった一人の祖母を亡くした。
    そんなみかげを家に招いた雄一。
    雄一も母(本当は父)を亡くしてしまう。
    そんな二人が絶望の淵に立ちながらも支え合い、新しい人生を歩んでいく。
    そんな再生の物語。
    でも、最後は唐突に終わった感ご否めない。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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