教室に雨は降らない (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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  • 音大のピアノ学科を出て、取り敢えず小学校の音楽担当非常勤講師となった森島巧。その一年の苦闘の奇跡。

    まあ、事件や厄介ごとが次から次へと起こること起こること。あまりに理不尽なモンスターペアレント、イジメと家庭内暴力、特定の子供を精神的に追い詰める年増音楽教師、離婚した元妻を監視する居眠り教師、学年をあげての教師への村八分、そして学級崩壊。(フィクションではあるものの)一本木な性格を武器に一年間孤軍奮闘した主人公には、ホントご苦労様と言いたい(笑)。

    「古きよき昭和の先生みたい」、「友人にも、融通がきかないとか、頭が堅いとか、笑われます。お前はタイムスリップした武士か、って」。主人公は、とにかく真っ直ぐでいいやつなのだ。

    (恐喝紛いの)モンスターペアレントのクレームも怖かったけど、事なかれ主義と責任転嫁の権化のような教頭や学年主任はもっとヤバいかも。本書にどこまでリアリティあるのか分からないけれど、こんなストレスフルで報われない職場、自分には絶対無理! もちろん、教師の魅力もしっかり描かれていて、主人公は結局その虜になってしまうのだけれど…。

    いずれにしても、本書、面白くて一気読みした。教頭や学年主任の理不尽な言動を、ガンズ・アンド・ローゼズやセックス・ピストルズ、ジミ・ヘンドリックスのハードロック/パンクロックのメロディーとともに吹き飛ばす主人公の気持ちも分かる~。音楽って素晴らしいな!

  • Kindle Unlimitedにて読了。
    小学校の非常勤講師が主人公で、勤務する公立小学校で次々と起こる、モンスターペアレント、いじめ、無気力教師、学級崩壊という問題に巻き込まれていく・・というあんまり救いのない話。
    こんな公立小学校も実際あるんだろうなとか思うと、先生も大変だろうな、なりたくないだろうなとか思う。

  • 熱血でもなく、教師としての自覚もあやふやなアルバイト教師の森島が、音楽家と教師の道に迷いながらも、人としてそして教師として成長していくお話。

    最初は教室での些細な出来事を解決していく短編集かなと思ったが、徐々に各章の話がつながりだし、最後まで読んでようやっと上で書いたような森島の成長譚だと理解できた。

    森島のやったことってそんなに悪いことか?と思いつつも、必ずしも森島を責める周りの教師が絶対に悪というわけでもなく、フィクションではあるが、教師としての振る舞いは難しいなと感じた。

    また小学生の子供たちの心境や振る舞いも、大人としては非常に理解しにくく、他の教師、家族との関係でなく、生徒とのかかわり方についても、教師は大変だなと感じた。

    こういった難しい環境において、特に教師になるぞーとか意気込んでいない森島が、様々な経験を通じて最後に教師になろうという決意を固める様子が、一人の人間の成長・生き方を描く作品として非常に楽しく読むことができた。

  • 音楽の道を目指していた主人公がその道を諦めて非常勤講師となり、生徒たちとの関わりを描いた作品。
    ミステリー要素もありつつ、何が正しいのかを考えさせられる物だった。
    秩序か感情か。安定か自分の心情か。

  • 若い先生ってこんな感じなのかも。生徒との年齢が近いだけ、距離も近いというような。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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