遠野物語 [Kindle]

著者 :
  • 2013年10月21日発売
3.28
  • (6)
  • (17)
  • (36)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 347
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (77ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 列車は福島を過ぎて仙台に向かっているところです。

    柳田国男のこの作品には口語訳版もあるようですが、オリジナル版を読みました。

    文体が古いのは確かですが、読めますよ。(^^)/

    逆に雰囲気が伝わって良いんじゃないかと思うんです。

    読んでみて、ああこれがあの有名な遠野物語かぁと拍子抜けするくらいシンプルな本でした。

    古くからの言い伝えを聞いたまま記録したものだったのね。

    大学受験に合格したあと、東北本線の夜行に乗って仙台まで遊びに行ったことがあります。

    夕暮れから真っ暗になる時間の経過を、車窓から飽きずに見ていた記憶がとても強く残っています。

    東北ってどういうところか、その印象がそのまま刷り込まれてしまいました。

    夜は魑魅魍魎が支配する世界という印象。

    正に岩手県の片田舎にある遠野が舞台で、その雰囲気がダイレクトに伝わってきて、とても楽しめました。

    さてさて、明日は仙台のあと遠野に行くか?

  • 民話による怪異譚。マヨイガなどの原典も見られ興味深い。荒唐無稽なところはしょうがないか。印象的なのは、夜半谷の底から何者かが「面白いぞー!」と叫んだ怪異。味皇か。

  • 遠野のオシラサマを見たとき、ちょっと怖いと思った。
    それからもう何年も経つけれど、いつか遠野物語を読もうと思っていて、でも、言葉の難しさに挫折し、今回やっと読み終えた。
    郷土に伝わる話や、土地の名前の由来は、私が小さい頃はどこにでもある話だと思ったけれど、関東に移り住み、そういう話をする機会も聞く機会もなくなり、気が付けば、この世界からなくなりつつあるものなのかもしれない。

  • ファンタジー好き,怪異もの好きとしてはやはり一度読んでおくべきだろうということで。直接のきっかけは「岬のマヨイガ」なのだけれど。
    文体が古いので少々読みにくいが意味が取れないと言うほどではない。遠野の話をよく知っている人から聞き取りしたものということで,1話1話綺麗に分かれている話にはなっていない。短い数行の話もあれば少し長めのものもある。
    遠野というところは山の奥にあり人もそれほど往来がなかったところのようだ山に囲まれているため,山に入って怪異に出会って戻ってきたものの何日か寝込んで死んだとか,夕暮れ時に何者かに連れ去られたとかそういう話が多い。あと病に臥せっているはずの人が別のところに現れて仕事を手伝ったりとか。神様は子供と遊ぶのが好きで,御神体を子供が遊ぶのに縄つけて引きずり回しているのを大人が叱ると,大人の方に罰が当たるとかあるらしい。岬のマヨイガの中の迷い家の話もそのまま載っていた。また地名などにアイヌ語が語源のものが多くあるらしく興味深い。

  • 独自の神様、山の神、座敷童、そういったものに敬意を持つということが共同体の共通の戒の様になっていたのかな。そこから出来る連帯性。

     獣と同じ立場で向き合う猟師。アイヌと思われる名残。民族的に面白い事もたくさんあるけれど、やはり閉ざされた共同体の中での世界感がとても興味をそそられる。

     現代においては、「そういうおはなしなんだね」で終わってしまいそうだけど、わたしの幼い頃を思い出すと、似たようなことは田舎にもあった。ひとびとの噂話。あそこの湖にね・・・。とかそういうの。ぼんやり、ふんわり、人の中で共有される話。

     それが山の神や狐、熊、猿の妖怪のような者から、はっきりとした人間がこわいのに変わった様な気がする。なんでもはっきりすることが出来る現代。

     それでもわからない人間って、こわいねぇ。

  •  いろいろな本に引用されたり,紹介されたりしている民話を集めた本。大人になってからずっと気になっていたんだけれども,地元学,ふるさと再発見のながれで,読んでみることにした。
     なるほど,地域に伝わる「狐にだまされた話」や「山姥」の話,ちょうど挨拶記にたときにはその人は死んでいたというような話など,どっかで聞いたことのあるような言い伝えが100以上も集められている。今となっては,どれもこれもどこかで聞いたことのある話だが,それも,テレビや映画でいろいろと取り上げてきたからかもしれない。
     こうして青空文庫で無料で読めるのはありがたい。

  • 岩手県遠野郷に伝わる話を佐々木鏡石という者から聞いた形で語られる。
    原文が古文なのでとても読みづらく、
    日本古典文学摘集というサイトから現代語訳を読んだ。

    伝承、伝説はいろんな所に存在するが、
    今後事故に遭わないように人を戒めるため、科学的根拠が分からなかったためにレアな自然現象に驚いたため、農耕や狩猟がよく出来るように導くためなど様々なことを伝えんとするものだと思う。
    ただ、そのままを伝えても伝わらないから噂好きな人々が興味を持つような内容になっていったのではないのだろうか。
    遠野郷独自のものもあった。河童の顔が赤い。そして、わりと外国人が来ていた感じもあった。

    そして、遠野郷は岩手県の山奥で田舎のイメージがあったのだが、陸奥守源義家や安倍総理に後々繋がるという安倍貞任が出てきたりとビッグな人物も登場し驚く。

    昔も今も人々が生活していて、退屈したときには娯楽を求めて、自然から恵みを享受し、また畏敬の念を持って自然を崇め、暮らしてきたんだろう。

  • 文語調なのでぼんやりとしか読めなかった。学術的な視点からの価値が高いのかな?基本的には遠野の人の伝聞と、それに関係する他の話がどこにある、等が記載。狐に化かされる、山姥、カッパ、座敷わらし等々、よく聞く妖怪類はたいてい出てきており、複数人の目撃症状もあることから、「昔はこういう非現実的なことがあったのでは?」と思わせる。

    こういう伝承を科学的に解明してほしいな。カッパが魂を抜く、という話は水死体の特徴だった、みたいな感じで、単なる伝承や怪奇話で終わらせないと面白そう。ただし、今はそんな妖怪が出そうな雰囲気は遠野にはないだろうけど…

    あと、読み逃したのかもしれないけど、アイヌ語との関連性を書いている。岩手なのにアイヌ語?居住区が昔はそっちまであった?となった。調べてみようかな。

  • ここで出てくる昔々に続くのはトトとガガなんだよな。後は娘とヤマハハ(山姥)。
    おじいさんとおばあさんじゃないのは善人設定だったり奇跡ものじゃないからか?

  • ふと、遠野物語が読み返したくなって青空文庫から Kindle に収録されているものを読了。ザシキワラシとか山人、マヨイガ(迷い家)など、こういう民間伝承の不思議物語は好きなので、久しぶりにのんびり楽しんだ。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1875年生。民俗学者。『遠野物語』『海上の道』などの著作により民俗学の確立に尽力した。1962年没。

「2022年 『沖縄文化論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柳田国男の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
堀 辰雄
夏目 漱石
夢野 久作
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×