三国志 02 桃園の巻 [Kindle]

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  • 2013年10月22日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 登場人物全員謀略を巡らし、一つ一つの台詞に重みがある。劉備、関羽、張飛、曹操等三国志を大して知らない私でも聞いたことのある登場人物が一通り登場したが、まだ世の中心ではなく今後の展開が楽しみ。

  • 吉川英治著、三国志の実質的第一巻です。涿県の若者、劉備が世の乱れを感じ立ち上がります。政治の中心である洛陽では、帝の死とともに後継が乱れ、様々な人々の思惑渦巻く乱世の始まりが訪れます。劉備をはじめ、関羽、張飛の義兄弟、曹操や呂布といった英雄たちの顔見せが続きます。主人公の人となりを、乱世の足音感じるなか、まだ平穏の残る舞台にて感じることのできる導入部といった内容です。

  • R3.1.23~2.1

    (あらすじ)
    後漢の終焉期
    劉備登場
    黄巾党の乱
    桃園の誓い、劉備、張飛、関羽
    一軍を率い官軍に加わる。
    官軍として黄巾党を滅ぼす一助となるも恩賞なし
    小さい県を治めるも、賄賂政治に嫌気さし反抗、官軍に追われる身となる。劉備軍一旦解散。
    十常侍が何進に滅ぼされた後、董卓が官を制し、現帝を廃し権勢を恣とする。
    曹操、董卓暗殺失敗、洛陽を去る。


    (感想)
    青空文庫にて。
    初めて三国志を読む。
    とりあえず面白い。
    吉川英治のこの作品はまるでダイジェストのように、重要そうな事柄がナレーションだけで進む。原作はどうなんだろう。

    あと、三国志って最初から魏蜀呉が争っているのかと思ったら、漢からスタートなのね。しかも一巻終わってなお漢一国のみ。
    何巻から三国になるんやろ。

  • 読みやすし。
    ほー、これが有名な吉川英治の三国志か~
    と言う感じで読んでおります。
    サクサクいけそう。
    しかし中国の権力人って、どうしてこうも腐りやすいのだろうか・・・・

  • 劉備、関羽、張飛
    曹操

  • 吉川英治版 三国志 桃園の巻


    「とことん三国志」企画も、これやっとで3シリーズが並立してスタート。
    最も遅い開始設定は劉備を主役にする吉川英治版で、
    この桃園の巻の黄巾の乱から物語が始まる。


    3つのシリーズを「天・地・人」で表現すると
    人の視点から、登場人物のドラマや心情を描写する吉川英治版
    地の視点から、歴史のうねりを政局の変遷で語る宮城谷版
    漫画らしく、天の視点から、人間の業や欲を描く蒼天航路
    と、それぞれの特長が開巻から、遺憾なく発揮されている。


    人間ドラマに重きを置く吉川英治版は、徹底して劉備の立身出世物語になる。
    劉備が関羽と張飛と出逢い、桃園の誓いをし、黄巾の乱に参戦するまでが長い。
    その分、3シリーズの中では、黄巾の乱の描写が最も詳しい。


    吉川英治版を理解するには儒教の教えを知る必要があるだろう。
    儒教で言う「孝徳」が高い人として、劉備を持ち上げる権威付けが目に付く。
    さらに、これほど母親とのエピソードが多いのは、母の口を通して語られる
    劉備の出自を皇統として証明する仕立てだろう。


    鬼嚢として暗躍し、姓名だけの劉氏をかざす蒼天航路の劉備とは逆の扱いだ。
    関羽や張飛との連合を、お互いの「俠の志」で呼応するという流れでは、
    蒼天航路の方が納得しやすいのだが、多様な解釈を楽しもう。


    ライバルの曹操にも、その劉備の正統性の影響する。
    宦官の孫という出自は消され、漢の丞相・曹参の末孫とされ、
    普通は記述として目立たない父親の曹(とう)からの名門の子弟としている。
    実際の曹とうは、夏候氏の生まれで、幼くして宦官・曹鰧の養子に入り、
    霊帝から官位を買っただけのただの成り上がりに過ぎない。
    宮城谷版では、曹操も父親の日和見主義、権威主義には辟易しており、
    距離を置いた旨が紹介されるのは面白いところ。


    漢朝衰退の真因である宦官の家系というコンプレックスだからこそ、
    本当の意味で名家である袁紹との差が大きく、
    その後の曹操を曹操たらしめているといえるのだが、
    三国演義の勧善懲悪のストーリーには
    その手の複雑さは入らないようだ。

    この辺りが読み比べてからこその、面白みなのであろう。

    黄巾の乱の後の霊帝崩御、十常侍による何進暗殺、
    袁紹による宦官征伐と董卓上洛も吉川英治版が詳しい。

    禁中からの逃走中に陳留王と董卓が出会うシーン、
    陳留王の凛々しさは鮮烈である。

    この場面に袁紹がいたとするかしないかで
    その後の董卓と袁紹の関係が変わる。

    圧倒的な存在として董卓を表現するか、
    普通の悪者として袁紹と並び立つレベルの存在とするかで
    反董卓軍の意味も変わる。

    吉川英治版には邂逅シーンで袁紹が存在し、
    蒼天航路と宮城谷版では袁紹はいない。

    吉川英治版の董卓は、呂布を率いる丁原に負けたり、
    帝位簒奪を何度も確認を百官に尋ねるなど、意外に普通の軍人である。

    漢帝国の没落を決定した存在に
    董卓をおくか、黄巾族をおくか
    その扱いに注目すると、その後の読み比べも楽しくなるだろう。

  • 高校生の頃に読んで以来の再読中。
    大筋以外はすっかり忘れているうえに、三国無双のイメージで補完されてしまうのがちょっと余計だけど、やっぱり面白い。
    まったく古臭さを感じないし、かなりのスピードで物語が展開していくため超ワクワクしながら読めます!

  • 虎牢関の戦い直前まで。自分にとって初の三国志の小説。
    おもしろい。時々難しい言い回しがあるが、文脈から想像できて問題なし。無料なんてありがたい。

著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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