アップデートする仏教 [Kindle]

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  • 完全に世俗的に形骸化し、求道の様相を失った日本の仏教を主に対象とした現在の大乗の教えを、1.0。ミャンマー等を震源として、欧米圏にも広がる、瞑想を完全にメソッド化した上座部仏教を2.0。それら双方に欠けるものを、どちらも体験してきた藤田氏、山下氏が指摘し、かつ良い所もあるとし、それらを止揚。新たな仏教の実践の形として仏教3.0を提唱する意欲的な一冊。禅や瞑想の今日的な在り方を探るという形で、マインドフルネスという概念と脳の生理学的な状態、なんて言葉が踊るところは中々先進的で刺激に富んでいる。

    で、教えと、それの実践。と言う形で、練り上げられた3.0の仏教こそ、むしろ、本来の釈迦が成し得た、"大乗とかテーラワーダに分かれる以前のワンダルマ(一法)"であると結ぶ。ここだけ取ると非常に首肯出来る興味深いお話。

    ただ、それが、自分が仏教、ひいては宗教的なものに求めている、より具体的な処方箋であるか、と言うと疑問。そういう意味で、禅や曹洞宗的な立場から、釈迦の実践が捉えられており、「思いを手放す」と言うそれが、果たして「悟り」と呼べるものなのか、と言う点は疑問が残るし、例え、そうだと言うのならば、やはり、仏教にも答えはないのかなぁと言う気がしてしまう。

    "エゴは本当は自分が幸せになると困るような存在゛と良道氏の言葉にあるが、それが仏教的な正しい見解であるなら、仏教でも自分は救われない。息苦しくもありながら、その息苦しさを用いた厭世感をこそ、この世に自分を繋ぎ止める錨として利用している類のアイデンティティの中から、自己を否定し、息苦しさから解き放たれるというモチベーションは生まれ得ないと思うんだよなぁ。

    救いを求める人しか救われないと言うか。

    あと、仏教1.0をあまり肯定的に捉えず、批判する向きも少なくもないけど、ある種の形骸化を招くほど、社会に膾炙し、溶け込んだ宗教的観念が及ぼす功績と言うのも無視は出来ないんじゃないかなぁとも思った。この国の仏教では、黙々と修行することすら困難と、著者たちは苦言を呈するが、実存的な問題の根本から喘ぐ苦者を救うだけ宗教の役目ではなく、底までの悩みを持っているわけではない大多数の人間に、宗教的価値観から見いだせる精神の豊穣さをみたいなものを、わずかばかりでも灯すと言うのも、一つの在り方なんじゃないかなとは思う。

  • 「ワタシ」と思っているもの、それは本当に「私」ですか。
    "シンキングマインド"、この言葉が印象に残る。それは理性と呼ばれるものかもしくは言語か、それをワタシと思っているモノ、とにかく現代人がしがみついているモノ、エゴ。
    そこから救われるには。
    この本はあらためて仏教に向き合う機会を与えてくれたように思う。
    そしてホントウの理性を思い出すためにも。

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プロフィール

1954年、愛媛県生まれ。東京大学教育学部教育心理学科を経て、大学院で発達心理学を専攻。82年、博士課程を中退し禅道場に入山、翌年得度。87年、渡米し現地で坐禅を指導する。2005年帰国。国内はもとより、Starbucks、Facebookなど、アメリカの大手企業でも坐禅指導を行う。17年5月より、オンライン禅コミュニティ「大空山磨せん寺(たいくうざんませんじ)」開創。著書に『現代坐禅講義』(佼成出版社)、共著に『アップデートする仏教』(幻冬舎新書)、『<仏教3.0>を哲学する』(春秋社)など。

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