アニメ8話まで見た状態での感想です。
作品内でも頻りに書かれていますが、尚文のメンタルが1巻に比べると格段に安定しましたね。ラフタリアの偉大さよ…。
ラフタリアと同じく、やっぱりフィーロ育成もアニメでは大幅カットされていたことが判明。最初はあんなに我儘だったのか。
女王に相応しい力を持ちながらも、やることは小さい子らしい我儘というのはその内とんでもない事態を引き起こしそうなので、尚文の躾って実は世界を救っているのでは。
やっぱり奴隷商の商売は汚かった。いや綺麗な奴隷商なんていないでしょうけど。でもそういうところも含め、いちいち尚文に「~なところに感服いたしました」などと大袈裟なリアクションを取るところ、嫌いじゃありません。
奴隷商といい武器屋の親父といい宝石商といい、尚文は商売人に好かれますね。お金の運用とか商いに強いキャラクターが好きなので、勇者というより商人になってきている主人公、好きです。
生まれた瞬間から育ててくれたというのに奴隷商のところへ置いていき、迎えに来たと思ったらそのまま売却をチラつかせ、挙げ句言うことを聞くなら傍に置いてやる、と改めて尚文の行動をまとめるとアメとムチが外道寄りに絶妙。そしてその後フィーロの替わりはいないのだと態度で示すという、これを狙わずにやっているのだからそりゃフィーロも落ちますよ。アニメでは唐突感があったフィーロの「番」発言ですが、奴隷商に一度戻されたことによるフィーロの不安や、尚文と二人きりでの会話でそれなりに納得いったので、これだけでもこの巻を読んだ甲斐がありました。ラフタリアとフィーロを戦わせている尚文の罪悪感を筆頭に、小説はキャラクターの内面を深く知ることができるのが楽しい楽しい。
この巻だけでも槍と剣の不始末の尻ぬぐいをさせられているので、弓のターンもその内あるのでしょうね…。恩も恨みも必ず返すという主人公のスタンスが妙にツボです。片方ではなく両方、という逞しさがたいへん好み。
今回はそれほどつらいシーンはなかったのに読み終わって妙に疲れたと思ったら、卵ガチャ、フィーロ育成、レース、フィーロの服調達、行商開始、植物駆除、ドラゴンゾンビ退治、合間合間に文字と魔法の勉強、とやってることが盛り沢山でしたね。疲れたと言っても嫌なものではなく、旅行の後のような満足感のある幸せな疲労です。
書き下ろしのフィーロのおつかいがめちゃくちゃ可愛い。力が強いだけでなくさらっと敵の本体を当ててしまうという敵に回したらかなり恐ろしい存在になりそうですが、味方のフィーロは食いしん坊で甘えん坊の重要な癒やし要素ですね。かなり早い段階で買うものを忘れているのは鳥だから…?
尚文のメンタルが安定して、ラフタリアにはもはや正妻のような安心感があって、フィーロという可愛くて強力な仲間が増えて、ものすごく順調な2巻。反動でこの先かなりつらい展開があるのでは、とやや怯えています。