老ヴォールの惑星 [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 「ギャルナフカの迷宮」「老ヴォールの惑星」「幸せになる箱庭」「漂った男」を収録。いずれも秀逸な作品だった。

    「ギャルナフカの迷宮」
    政治犯が1枚の地図とともに投獄される地下の「ギャルナフカの迷宮」は、猜疑心に囚われた囚人たちが互いにいがみ合う地獄。元教師テーオは徐々に仲間を増やし、そこに助け合うコミュニティを築いていった。

    「老ヴォールの惑星」
    熱風の惑星サラーラで唯一の生命体は、2本の鰭肢を持ち、体表に無数の汎眼を備え、高速の光学的コミュニケーションのできる知的生命だった。星々の観測により、5万日先にサラーラが巨大天体と衝突することが判明すると、生命体は力を合わせて他の惑星へメッセージを送ろうとする。

    「幸せになる箱庭」
    地球を救うため、地球外知性体クインビーとの交渉に向かった特使船クルーたちは、ビーハイヴに到着するとたちまち仮想世界トランザウトに囚われ…。超進化文明に弄ばれる人類。「百億の昼と千億の夜」のゼン・ゼン・シティを思い出す。

    「漂った男」
    辺境の惑星バラーザに不時着したタテルマ少尉。陸地はなく、海を漂うしかないいが、適温の海水は食糧にもなり、生きるには困らない。本国の妻や前進基地とのUフォンでのやり取りが唯一の心の慰めだったが…。

  • 小川さん20代の時の代表作とも言える初短編集。奔放な想像力に圧倒される表題作もいいけれど、何より「漂った男」(星雲賞受賞作)が秀逸。水の惑星に墜落し、「火星の人」どころではない極限状態に置かれたパイロットのサバイバルストーリーが胸を打つ。最後の1行に痺れた。

  • 『幸せになる箱庭』はちょっといまいちだったけど(若い2人の愛情がそこまで深いとは感じられなかったので…)、他はすごくおもしろかった!ほぼ一気読み。
    最初の『ギャルナフカの迷宮』は実は途中でくじけそうになって1週間ほど間を空けてしまったけど。主人公の最愛の人が無惨な死を迎える展開がどうも苦手で、続きを読む気になかなかなれなかったんだけど読むのやめないで良かった~(昔るろけんで同じミスをしかけた)。
    どんなに絶望的な状況であっても、やめたらそれで終わりだから。本のテーマに通じるな、うん。

  • 4つの短編が収められた本。どれも絶望的な立場から始まり、希望へと繋がるラストでとても面白かった。SF的な要素は難しすぎて分からなかったものの、何となく理解できるくらいのエッセンスだったので、さほど気にはならなかった。ラストが気になってどんどん読み進めてしまうくらい面白かった。

  • どの短編小説も面白かった。
    どの物語もほとんど希望もない中でいかに最後までもがき抗うかを描いていた。

    SFといっても、ガンダム、攻殻機動隊のような未来の技術に浪漫を馳せるようなものではない。

    宇宙技術や仮想現実のような科学要素は出てくるが、非現実的な思考実験のための舞台装置として出てくる。

  • 老ウォールの惑星が強烈です。
    すごくわくわくしました。

  • ギャルナフカの迷宮
    老ヴォールの惑星
    幸せになる箱庭
    漂った男
    の4編からなる短編小説集

    「幸せになる箱庭」と「漂った男」が面白かった

  • SF短編集。

    ◆ギャルナフカの迷宮
    何もないゼロから、あるいはマイナスから人間関係を構築しやがて社会が生まれていく過程を覗き見ることができる。
    非常に興味深く、淡々とした語り口ながら心惹かれる物語。

  • 2018/12/31
    ・ギャルナフカの迷宮
    国というか、部族と同じ様に発達して行くのはDNAに刻まれた群れるための術なのか?
    病気がやはり怖い。それがなければサバイバルも生きられるのかな?
    ・老ヴォールの惑星
    アンコウみたいなイメージだったけど表紙にいた
    母星が無くなるのはどんな気持ちなんだろう
    ・幸せになる箱庭
    5分前仮説。俺は演算結果ではないとどうして言えるのか
    ・漂った男
    何もしない恐怖。最後の一文が鳥肌立つ。

  • 老ヴォールの惑星

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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