そして、メディアは日本を戦争に導いた [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  『あの戦争と日本人』のあとがきで著者は、メディアの果たした役割に言及するのが抜けていたと語っている。本書はちょうどその不足を補うようなテーマで、保阪正康との対談形式で存分に語っている。

     まず最初の段階で指摘されているのは、戦時中の新聞が政府に迎合することしか書けなかったのは、言論統制されて仕方なかったという新聞各社の釈明がウソだということだ。著者いわく、日本の新聞は、好戦的で戦争を煽る記事を書いた方が「売れる」ということを日露戦争の時にはっきり学び、それを昭和になって存分に活かしたというのだ。

     もちろん新聞も営利企業である以上、不買運動などされれば経営できなくなるのだから仕方ない面はあるだろうが、しかし気概のあった明治の新聞と違い、昭和の新聞はあからさまに「売れる記事」を書いていたようだ。

     とはいえ、言論弾圧がなかったというわけではない。たとえば本書で繰り返し取り上げられている桐生悠々のようなジャーナリストが弾圧されたのは事実のようだ。しかしそれは本当に一部の話に過ぎないのだろう。

     本書は2013年に発行されたもので、かなり時事的な話題も盛り込まれている。読むなら早いうちがいいと思う。数年経てばまた状況は変わってくる。多分、著者らが危惧する方に。

  • 昭和史は戦争の歴史であり、その中で日本のメディアがどのように機能不全に陥り、戦争に加担したのかを振り返る。

    今どきの若いジャーナリストは現在のことは詳しいが歴史に疎いというのがお二人の見解。歴史に学ぶことで、ジャーナリズムが適切に機能するよう取り組む必要があるという指摘。ここでは特にジャーナリストに焦点が当てられてはいるが、情報を選び受けとる一般人も同じように歴史に学ぶ必要がある。

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プロフィール

半藤 一利(はんどう かずとし)
1930年、東京府東京市向島区(現在の東京都墨田区)生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、文藝春秋新社に入社。編集者として活動しながら匿名記事も記す。1965年に大宅壮一の名義を借りて『日本のいちばん長い日』を執筆、発行。『漫画読本』『増刊文藝春秋』『週刊文春』『文藝春秋』編集長を歴任。1995年に文藝春秋を退社してから作家・評論活動専任となる。
1993年『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、1998年『ノモンハンの夏』で山本七平賞、2006年『昭和史』で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。2009年の語りおろし『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』はベストセラーとなった。
妻の半藤末利子は、松岡譲と、夏目漱石の長女・筆子の四女で、夏目漱石が義祖父にあたる。

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