- Amazon.co.jp ・電子書籍 (185ページ)
感想・レビュー・書評
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多忙な毎日の中で、心に恵みをもたらしてくれるのは上質な読書である。
座右の本を脇に置く、それはつまり精神に故郷をもつということだ、という。
この本は『ゲーテとの対話』の中からゲーテの言葉を抜き出し、「発想の技法」という観点からまとめられたもの。人生のヒントがほしくなったら何度も開いたらいいと思う本だった。
構成は「まえがき」「Ⅰ集中する」「Ⅱ呼吸する」「Ⅲ出合う」「Ⅳ持続させる」「Ⅴ燃焼する」「あとがき」
自分の知らないことは山ほどあるし、自分が常識だと思っていた事実に対する反論やそれに関する書籍も存在するにも関わらず、そんなものは普段眼中にないし想像することもない。本屋さんの本棚に並ぶ本を眺めているときに、そういうのに似た気持ちになって焦ってしまうことがあった。私って考えが偏っているんだろうか?物事の一側面しか見ようとしていないんじゃないか?
でもゲーテや齋藤孝さんは、世に言う常識人の部類に入ると思った。常識というより通説というか、有名な論というのはそれなりに裏付けがされているものなのかもしれない。何もかも疑うより、疑うべきは何かということにアンテナを張ることが大事なのだろうか。なんてことを考えていた。 -
オーディオブックにて
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エッカーマン著の「ゲーテとの対話」は岩波書店から上・中・下と出版されているが、最初からそちらを読みこなすのは退屈さもあり難しい。本書は"上達論"という視点で、「ゲーテとの対話」の中のゲーテ的価値観のエッセンスを抽出しており、古典の価値をダイレクトに感じられよう。
目次を眺めて、刺さるテーマがあればその部分から読み進めると良い。著者である齋藤氏は各テーマの最初にゲーテの言葉(主な引用元は「ゲーテとの対話」)を提示し、そこへ現代人の理解が深まるよう齋藤氏の解説(若干、現代社会の無理解に対する著者の鬱屈した不満も入り混じる)を添えている。個人的に刺さるテーマを一つだけ選ぶなら、"独創性などない"(新書版:p56~p63)だ。この数ページのためだけに買う価値は(私に関しては)あったと今も思う。独創性・天才・才能といった思考停止を誘発する空虚な言葉に頼るのは止めて、しっかりと過去の遺産を受け継いだと自認できる"系譜意識"を育てよう…というのがゲーテ及び斎藤氏の主張である。個人的には独創性などという大袈裟な表現は、その分野における知性のなさ、想像力のなさを露呈しているに過ぎないと思うので、積極的に使う表現でもないな…と考えている。
余談だが、齋藤氏がメディアに出始めた初期の書籍に該当し、齋藤氏の価値観の基盤がここにあると見受けられる。 -
アマゾンプライム。