わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書) [Kindle]

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  • 光文社
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感想・レビュー・書評

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  • 実際に文章題が出て、やってみるので、自分の「わかったつもり」が露呈されて愕然とするのが良い。かと言って現実では誰かが正解を教えてくれるわけでもなく、正解すらないのだから、わかったつもり状態を打開するのは困難だなあ。物語から始めて、文章をゆっくり、意味を捉えるように読めるようになりたい。

  • 文章をなぞって、読んだ気になって、わかったつもりになる、それはなぜ起こるのか、人間の情報処理の仕組みはどうなっているのか、具体的な例と共に書かれている本。

    その例と解説がややくどく感じて後半は流してしまったけど、文章を読むときに頭の中で何が起きているのか、に目を向けることができて良かったなぁと思う。

  • 「わかったつもり」の状態は私たちにとって乗り越えるべき障害になる
    本書は「わかったつもり」の脱出法のヒントが書かれています。
    「わかったつもり」の状態を放っておくと解釈のレベルは当然ながら深まらないです。
    「スキーマ」
    私たちの中にすでに存在するひとまとまりの知識を認知心理学でこう呼ぶそうです。
    自分の中のスキーマが沢山あるから少し話を聞くと理解できることがあるんですよね。
    大学時代友人と喋っててなんであんなに早口で理解し合えたのかというとお互い共通の知識があったからやとわかります。
    ①文脈がわからないと「わからない」
    ②文脈がスキーマを発動し、文脈からの情報と共同してはたらく
    ③文脈がそれぞれの部分の記述から意味を引き出す
    ④文脈が異なれば、異なる意味が引き出される
    ⑤文脈に引き出されたそれぞれの意味の間で関連ができることで文がわかる
    この5つでまとめられたことが本書の言いたかったことやと思います。
    わかったつもりで流すのはやめようと思いますσ^_^;

  • 教育学の先生による、文章をより良く理解するための読み方指南、と言ってしまうと退屈に思えてしまうのですが、読み出してみると「あー、こういうコト(たまに)あるなぁ」というわかったつもりな現象が登場して、肯きながら読めました。Prime Reading様々です。

    多くの例題があって、自分の読み落とし、誤った理解を徐々に自覚していくと、何と言うか…無知の知という言葉がずっしりと重く響くような感じになります(笑
    さすがにこの本を読んで、自分が「わかったつもり」になっていた事例を山と見せられると、知ってますなんて軽々しく言えない。。

    この本を読むにつけ、不十分な理解、間違った理解は「普通の読み方」をしている以上、間違いなく起こるものです。
    ではどうすべきなのか。毎回紙に書き起こしたり、一文毎に文脈を確かめながら読むのか。そこから先は「より良く理解する」ための本である本著には書かれていないので、現実的な落としどころはまさに十人十色。
    個人的には、仕事のメールなんかであれば、良いトコ2回、本著にあるように気をつけて読むくらいで、あとはスピードを優先するんじゃないかと思います。

    受験の現国向かいの話であれば、丁寧に理解を進められる非常に良い本です。仕事している人向かいであれば、文章に対して気をつけるための本として、一度読んでも悪くはないのでは、という印象でした。

  • Kindleで再読。文章を読み解く、つまり読解とはどのようなことなのかを事例を挙げて解説している。そして、いかに分かったつもりの読解をしているかを突きつけられる。特に『「いろいろ」というわかったつもり』には改めて自分の浅はかさを思い知らされた。自分が文章を書くときにも「いろいろ」で思考停止をしてごまかすことがあるなと反省をした。なので、読むときも「いろいろ」には注意しなければならない。他にも読解でよりよくわかるために必要なことを解説している。定期的に読み直したい良書である。

  • 自分が何を分かっていないのかを分かるというのが難しい。だから人は容易に誤読する。だからと言ってタイトルだけでコメントするのは許さないが。

    結局のところ、この手の問題を解決するには要約を書いてみるのが一番なのだろう。だから俺は読み終えた後にレビューを書いている。

  • 10年以上ぶりに再読。

    「わかる」から「よりわかる」上で必要なのは「わかったつもり」を乗り越えることなのです。「わかったつもり」が、そこから先の探索活動を阻害するからです。(P.79)

    思うに読んでいる文章が元々自分が持っているスキーマに合致した瞬間に安心して、そうだ、そうなのだと早合点してw「わかったつもり」になってしまう。

    著者は大事なのは文章の整合性だという。
    数式を解くように、計算した数式を検算するように読むという態度が「わかったつもりを乗り越える」に求められる態度なのかもしれない。

  • 小学校の国語の教科書や大学試験の文章を用いて、いかに私たちが『文章』をわかったつもりになっているかについて考察する本でした。

    わかったつもりになる主な原因は以下の3つだそうです。

    ①結果を知っているからこその先回りわかったつもり
    ②分からないところを勝手に補填して納得してしまうわかったつもり(整合性が妙にあっていたりすると余計勘違いが加速する)
    ③わかっている、というわかったつもり

    一番私が面白かったのは③で、{人は「分からない」と思えばその先もわかろうとする努力をするが、「分からないところは特になかった」という思考が、その考察が浅かろうと間違っていようと、もうわかろうとする努力をさせなくする}という部分にしびびときました。

    そしてこれってコミュニケーションにも言えるなあとも思いました。
    「ああ、この人早合点してるなあ」「自分の持っていきたいオチに向かって話してるなあ」「なんだか分からないけど、決めつけでしゃべってるなあ」などなど。
    ・・私も気をつけたいものです・・。

  • 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」同時期に並行で読んだのも良かったと思う。「AI…」は飛ばし読みでわかったつもりになってしまっているが、実は読めていない。
    こちらの「わかったつもり」は読んでいるのだが、きちんと読みきれていない。
    かなり浅い理解だったり、自分で勝手に解釈を加えてしまい、書かれてもいないことを書いてあった気になってしまう‥というあたり、非常に面白かった。

    「わからない」と思っていれば、誤読はないが、「わかったつもり」の恐ろしいのは、誤読をしているという認識が読み手に全くないので、そのまま通過してしまうということ。

    この本には、なぜそのような「わかったつもり」が生まれてくるのかという説明と、それをしないようにすればどうすればいいのか?というのが、豊富な文章事例をもとに、とてもわかりやすく丁寧に書かれている本。

    最後には、国語教育のあり方の話も出ていて、国語が苦手な人が読むと、なぜ自分は国語が苦手なのかよくわかり目からウロコとなることもありそう。

  • 確かに、読んでわかったつもりでも改めて確認すると曖昧なままだったりミスリードしている部分があることに気づけた。わかったつもりの要因を解説しているが、対策は書かれていない。

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