友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える (ちくまプリマー新書) [Kindle]

著者 :
  • 筑摩書房
3.77
  • (6)
  • (13)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 194
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (99ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書は現代社会における適切な人間関係と「親しさ」のあり方を改めて提起するものです。

    筆者はニーチェの言葉、「愛せない場合は通り過ぎよ」を引用しつつ、「親しさ」「敵対」の二者択一ではなく「態度留保」というもう一つの道を繰り返し強調します。それは時によっては濃密な関係から、あえて距離を置くことで「気の合わない人間とも併存する」ことの重要性を説くもので、「同調圧力」という言葉に代表されるような息苦しい関係性を予防しつつ不要な争いを避けるための工夫でもあります。そして少しでも違うと感じるときに関係を保つ努力を放棄するのではなく、「自分というものをすべて受け入れてくれる誰か」は幻想であるという醒めた意識を持ちつつ、全て受け入れてくれるわけではなくても、自分のことを理解しようとしてくれる人と出会うことを、人間関係における現実的な希望として提示します。

    漫画的な挿絵が随所に添えられていることからも、主に中高生を対象とした形式となっていますが、集団におけるルールのあるべき姿や、「生徒の記憶に残る先生を目指す必要はない」といった教師への過度な精神的関与に釘を刺す助言なども含んでいます。大人になるために必要な人間関係についての考え方の見取り図を標榜する本書は、当然同時に大人はどのようにあるべきかも示唆しており、社会人を含めたそれ以上の年代も意識した、装いよりずっと射程の広い著書といえます。

  • 1日もあれば読める、人との付き合い方のヒント集。

    「みんな一緒」「話し合えばわかる」「みんな友だち」そんなひと昔前なら重要視されてきたムラ社会的発想が、ひとりでも生きていける現代には通用しなくなっているのではないか?それが逆に人付き合いを苦しいものにしているのではないか?という疑問からスタートする。

    自分以外はみんな他者である。見知らぬ通行人も近所の人も会社の同僚も友人も恋人も伴侶も兄弟も親でさえも。100%分かり合えることなんて不可能である。不和も不一致も理解できない部分も衝突する部分も必ずある。ならばその違いを理解した上で、お互いに配慮したルールを作り適度な距離感を見つけることが大事なのではないか、という考え方に共感する。

    どこにでも必ずいる「自分とは相容れない人」を排除するのではなく上手く付き合っていく方法など、具体的とまではいわないけど、考えるきっかけとしてはちょうど良い内容になってると思う。

  • 自分の素直な意見を主張することが苦手だと感じている人におすすめ。ルールはみんなを束縛するものではなくて、「自由」にするためにある。この言葉が印象に残っている。教員はもちろんのこと、子供への接し方も大きく変わる本だと思う。

  • 記録。

  • 友だち幻想というタイトルがなかなかよかったと思う
    そうだね人間は原理的に理解し合えない通じ合えない。
    私が長い間「友だち幻想」、「運命の人幻想」に浸っていた…アニメや漫画の中の素敵な人間関係が私の現実世界にあるはずがない。
    人間は理解し合えないってことについて私はどうも言えない絶望を感じるが、そんなこと当然じゃんって全く気にしない人もいる…どうしてだろう
    私だってそんなに人に理解されたいわけでもないが…

    理解し合えないから、努力して理解しようとしても誤解が免れない。複雑なこと、大事なことであればあるほど理解できない…真実をどうせ手に入れない…
    どこが希望の出発点だろう(´。`)

  • 学生時代も色々あったけれど、
    おとなになってからの人間関係って大変だなーと思う。
    大人になる前、つまり学生のときに、どれだけその移行期でうまく学んで、人との距離感について知って、いわゆる社会人になるか、ってことやと思う。
    だから、大人の社会ってこれまでの経験とか学びによる個人差が大きいし、年齢幅も、経てきた経験もかなりバラバラだから、戸惑うこと多い。人間関係の在り方は、固定された正解がないからこそ、常に振り返る必要のある、大事なことやと改めて思った。

    砂漠で一定程度共生している動物たちの関係性は、人間にあてはめるとちょっとさみしい気もした。寛容でありつつ同じ社会とか地球を共有して生きていくためにはどうしたらいいのかなーと思う。

  • 11年前のちくまプリマー新書となると、2019年現在に30歳の私にはあまりピンと来なくなってしまうが、当時はそんな感じだったかな、とも思う。アップデートされたつながりの話も読んでみたい。

  • 主催者権限で、5回に分けた読書会のテキスト(うち3回を実施)として採択したもの。読めてよかった。説教じみるが、人は一人では生きてはいけず、他者との関係の中で、時に苦味を味わいながら「人生のうま味」を味わえるようになっていく。特に最終章で、常日頃世界を捉え、構築している言葉の「使い方」に配慮すること、その手段の一つとして読書が取り上げられていたことは注目するべきだと思う。もっと活躍してほしかった学者さんです。

  • 人間関係がうまくいかないと悩む全ての人たちに読んでほしい本。中高生向けに書かれているようですが、大人が読んでも得るところが大いにあります。
    タイトルから想像されるのは、「友だちなんて幻想だから必要ない」という主張。そうではなく、友だちなら全て分かってくれるはずと思ってしまうことは幻想であって、時にぶつかり合いながら、うまく関係を築いていくことこそが〈生のあじわい〉なのだと筆者は言う。
    特に気が合わない人との付き合い方は、必要最低限のマナーで接し、相手と深く関わり合わずにうまくかわす方がよいというのはすぐにでも実践したい。合わない人と向き合った結果、嫌な感情を増幅させて心身をすり減らすのはもうやめましょう!

  • 歪んできたら、捉えなおさねば。共存性と、コミュニケーションの大切さを説いた本。優しい語り口で読みやすい!

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年生まれ。東北大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程単位取得。東北大学文学部助手などを経て、現在、宮城教育大学教育学部教授・学長特別補佐。専攻は社会学(社会学思想史・コミュニケーション論・地域社会論)。著書に『友だち幻想』『教育幻想』(ちくまプリマー新書)、『ジンメル・つながりの哲学』(NHKブックス)、共著に『社会学にできること』(ちくまプリマー新書)などがある。

「2018年 『愛の本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

菅野仁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
恩田 陸
ヴィクトール・E...
トマ・ピケティ
有効な右矢印 無効な右矢印

友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える (ちくまプリマー新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×