闇の奥 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 今はどうか分からないが、昔の学校の世界地図の色でイギリスの旧植民地だった国はピンク、フランスは紫、ドイツは焦げ茶、イタリアは綠、ベルギーは深緑、日本は赤だった気がする。
    どうしてベルギーを覚えているかというと、アフリカの真ん中に深緑のコンゴという国があり、隣接して紫のコンゴがある事が不思議だったからでした。未開のジャングルがあり、ゴリラがいる国は名前だけで太鼓の音が聞こえてくるきがしました。内戦が続き、モハメッド・アリがジョージ・ホアマンと首都のキンシャサでヘビー級のタイトルマッチを闘い、エポラ熱が見つかった国。
    大航海時代にポルトガルの植民地だったが、1885年ベルギー国王の私領となり、圧政による国民の虐待が問題になり、1908年にベルギー国が管理する植民地になった。
    この本が発表された1899年はそんな時期に当たる。
    ベルギー国王の私領内で起きている虐待が公になったきっかけの本なのかもしれません。深い森の中にある闇を描いた作品であり、そこに君臨していたクルツの心、その婚約者の心を見事に描いている。
    しかし、当時は文明国家が未開の地を治めるのが当たり前の時代です。「闇の奥」に名前を持つ黒人が何人出てきたでしょうか?コンラッドは私領として統治することを問題にしているが、植民地を当然としている。

  •  

  • 解説まで読了

  • 帝国主義と白人のオリエンタリズムと批判されることもある本だが、本来的に人間に潜んでいる「悪」や他人軽視と、それに魅了される心理をテーマにしていると読める。この感覚の指摘は現代でも活かされるだろう。

  • 【期待したもの】
    ・「2001年宇宙の旅」と「地獄の黙示録」の着想の原点と聞けば読まないわけにはいかない。

    【ノート】
    ・松岡正剛によると(「世界と日本のまちがい」)、本書を読んだキューブリックとコッポラが、それぞれ「2001年の宇宙の旅」と「地獄の黙示録」を作ったそうな。この2作品に通底している作品って、一体どんなの?

    ・舞台はアフリカ。象牙の収奪のため、現地住民を奴隷として酷使していた植民地支配の描写もあるが、それはあくまでも背景としてのもの。複数の登場人物の口から語られるある男の姿は様々だが、傑出した人物であることは皆が認めている。その彼を「迎え」に行くために主人公達は蒸気船でアフリカの奥地に分け入っていく...。

    ・「地獄の黙示録」は分かるのだが、「2001年宇宙の旅」にはどうつながっていくのか、ピンとこなかった。本書とニーチェとA.C.クラークをマッシュアップ(笑)すると、ああいう映画になるのか。ちなみに、少し前に「蝿の王」を読んだところだったので、似た臭いを感じた。

    ・「罪と罰」の時もそうだったのだが、そこまでのインパクトを感じたわけではなかった。色々と麻痺しちゃってるのかな。「君の名は」でも、そんなにキュンキュン来なかったと知り合いに言ったら感性の老化を言われた(笑)。

    ・中編なので、読むのに時間はかからない。Amazon Prime枠で読めます。

  • 冒険好きだった少年時代に憧れたアフリカ大陸へ、コンゴ川の蒸気船船長として訪れたマーロウ。徴税、過酷な強制労働、わずかな見返りで持ち出される大量の象牙。蹂躙され、搾取される19世紀末アフリカ大陸の内部へと大河をのぼる彼が見た闇。エキゾチックな舞台装置、謎を残したまま終わる感じも良かった。

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